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曇天の下の極彩色  作者: 雨水雄
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第14話

人は見た目だけで全てが分かるわけじゃないけど。

見て分かる成績だけでも分かるわけじゃない。

でも、その点と点がその人の印象が固定化されてしまうこともまた、判断材料として正しさであり、今まで無意識に分かってきてたことなのは間違いない。

その日の私は、すでに油断をしていたんだと思う。

ううん……していた。

いつも通り、休み時間になるとそっと立ち上がり、扉の外に出る。

教室から姿を消す。私が幽霊ならば廊下を闊歩していようと誰も目を向けようとはしない。

そう思い込んで私は自分勝手に歩いていた。

まだ休み時間だし、このままこの緩和した空間に紛れていれば自然とあそこまで逃げられると。

佐奈川さながわさん、ちょっといい?」

思っていた矢先、私の背後から声がした。

普段から滅多に話しかけられることのない私。

それが先生からだとなおさら仰天して肩がひどく揺れた。心拍数がいっきに全速力で走り切ったように跳ねた。

おそるおそる振り向くと、紛うことなき見知った教師の顔が映る。

見てくれは正直言って、性格の悪そうなおばさん。

その顔色を見るだけで伝わってくる不機嫌さと無愛想さ。

どうせ次に続く言葉は私についての悪態と悪口なのは自明の理。

「なんですか?」

「なんですか、じゃない。こっちが言いたいことは分かるでしょ?」

「さぁ…………」

こうして攻撃的というか棘ある態度にはどうしても反抗的になってしまうのは……私がまだ子供だからでしょうね。

世間一般に見て、悪いのは私。そんなこと分かってる。

私は勉強をしに、学業を重んじてここに受験して合格してその権利を得た。

それを今無に返そうとしている。やってきたことをなかったことにしようとしている。

…………でもさ、それは他人からの意見で正論で正攻法で最善すぎてムカつくだけ。

今の私にとっては、なんかそういう正しさはどうでもよかった。

あの楽しさがあるなら。あの笑顔があるなら。あんなにもぽかぽかできるなら、私は間違っていたいと強く言い張れそうな気がした。

「あなたの最近の授業への姿勢はこちらとしても見離さないの。以前との違いが明確だからこそ余計に心配になってしまう……分かるでしょ?」

「でも成績は変わってないわ」

別にあなたたち教師の教えだけが全てじゃないと反発しているのも同然だった。

分かってる。本末転倒だってことくらいは。だったら来なくていいじゃないかってことくらいは。

それでも、ここに来なきゃ会えないんだから……仕方ないじゃない。

私の抗いは心の中で一人歩きしていて、最も真っ当な先生にさえ苛立ちを覚えていた。

「はぁ……とりあえず今日の放課後、職員室に来て頂戴」




結果、その日は彼女に会うことが叶わなかった。

運悪く、休み時間が終わってすぐの授業がさっきのおばさん先生だということもあり逃げられなかった。

さらには授業中にも喚起を促す呼びかけを何度もして、私の逃げ場所はどんどんと狭くなり。

挙句の果てには、周知に至った私の逃避は監視されるかのような眼差しを受けて、私は身動きが取れなかった。

こんなことで注目を浴びたくなんてなかった……。

最終、放課後になり私は言われるがままに職員室に行くことにした。

あんな陰湿で狡猾な人間というのは、どうせ今回ばかりで終わる話じゃない。もし今私が断ったところでまた追いかけてくるな違いない。

だから私は仕方なく……本当に仕方ない気持ちでおばそん先生からの説教と説得を受け入れた。

話をされた内容は、口酸っぱくうるさいくらいの薄っぺらいものだった。

親がどんな顔をするかとか。学費がどうとか。将来性がどうとか。

どれもこれも、私に向けられた言葉たちではなかった。それは私だけじゃなくても言えることだし、私には私の事情がある。私だけの言い分がある。

私だけの意志がある。

そもそもの優先順位が違うのよ……と言っても、この人は全く理解してくれないのでしょうね。

どこまで行っても平行線というのはまさにこのことで、言葉の通りの意味をはっきり理解できた気がした。




冗長なくだらない個人的感想を聞いた後、私は教室に戻った。

いつもは放課後になるとすぐ帰っていた私にとっては十分遅いくらいの時間だった。

それでも、人はもういないでしょうしまた私だけの鞄が残されていることは想像ついた。


「だから、あいつまじでうざいんだって。何回も何回も静かにしろってさ……もうまじあの偽善いい加減にしろよな」

「てかあんたまたあいつと同じクラスとか完全に先生の狙いじゃない?」

「ハミればいいじゃん」

「もうやってる。グループには入れてないし無視しろって言ってる」

「んじゃ直接嫌がらせして一人にするとか、周りをハミればちょっとは気付くんじゃない? 自分が嫌なことしてたんだって」

「それあり」


それは私のクラスにはない声たちだった。

非常に耳が痛く、気持ち悪い声なことね。


どうもおはようございます、雨水雄です。

今日はどうやらこちらでは雨模様みたいです。

先週「すずめの戸締まり」を観たところで、改めて「天気の子」を見直した雨水にとっては、雨もまた悪くないなぁと思ったりしてます。このまま晴れたとき虹がかかればと思えばちょっとだけ心が浄化されるような気がします。

ただ、雨上がりの気温はきっと冷え込むと思うのでしっかり温かくして過ごしたいと思います。

みなさんも今からインフルエンザが怖くなってくる季節ですので、できるだけ心と体の元気を大事にしてくださいね!

さて、今週もここまで読んでくださりありがとうございます。

では来週もよければここで。

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