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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第96話 研究会ではなくほぼ再研修みたいなもんだろ

「ティア~!」

「あぁ……シャルか。久しぶり。」

「えぇ、久しぶり。帰ってきてたのね。それで……そ、の。体の方は大丈夫?」

「あぁ、一応。」

「……一応?」

「言わんとしている事は分かっているし、俺自身も断言してしまいたいが調律(チューニング)というのは元からそういう物なんだ。一応、そういう……リバウンドというか、後から何かしらの症状が出てくる事を考慮して作業後数日間休んで様子を見る訳だが、場合によっては症状が出るまでに数か月を要する場合もある。だから断言したくても出来ないんだ。」

「あぁ……そういう。」

「あぁ。……それで? 何か用があったから呼んだんだろ。」

「なかったら呼んじゃ駄目なの?」

「別にそういう訳じゃないが……その、あんまり用もなく呼ばれる事がないから。」

「そっか、そういえばティアって軍人さんだもんね。」

「あれだけ好き放題させておいて今更過ぎるんだが。……まぁ良い。それで? 用はあるのかないのかどっちなんだ。」

「ある。」

「あるんじゃねぇか。」

「体調的にも一応大丈夫なのは分かった事だし、ティア。今からこの校舎の2階の端にある部屋に来てくれない?」

「この校舎の2階の端にある部屋……?」

「授業学研究室。」


 もう少しばかりマシなネーミングはなかったのかと思う物の、こういうのは医療と同じで見れば大体内容が分かるような名前を付ける法則がある。それを考慮すればこの辺りが塩梅なのかもしれない。

 それにしても、勉強会ならまだしも、殆どその集まりが俺が一方的に。“教師に対して” 授業を行う場。……子供も子供で面倒だが、成熟した大人というのは教育するのが非常に面倒で仕方ない。

 と言うのも、当然ながら大人というのは子供と違って頭が固い事が殆ど。自分達が大人であるという自覚があるからこそ、無用なプライドだったり固定概念が悪さをし易い為、個人的には酷く面倒だったりする。


 ただ陛下に言われたからなぁ……。変に蹴飛ばす訳にもいかないだろうし。


「……はぁ。」

「ねぇ~そんなに嫌な声と顔しないの! 陛下もご許可下さったでしょ?」

「で?」

「 “で”、じゃないわよ!」

「いやいや、幾ら陛下が許可されたからと言って俺がやる気を出す訳じゃあないし、俺にもちゃんと人格やら心やらがあるんだから嫌な気持ちにぐらいはなるだろうよ。」

「それは……そう、だけど。」

「あ、先生!」

「先生、今日から教師復帰なん?」

「せんせ、今日は家に帰ってくる……?」


 ……面倒なのが釣れた。


「あぁ帰る帰る、ちゃんと今日からあの家で過ごす。……それで? あのお転婆娘と古典娘は。一緒じゃないのか。」

「……追い払ってきた。」

「…………ディールはとにかく、リシェラは疲れるねん。」

「僕は普通に断ってきた。」


 お転婆娘のディレラはディール。古典娘のリアナはリシェラという偽名を名乗る事にしたらしい。個人的には俺がお前らに魔法やら何やらを教えていた時と何も変わらないじゃないかと突っ込んでしまいたいぐらいではあったが、まぁそれもこれもあいつらの自由だろう。

 ポジティブに考えれば無駄な記憶力を浪費しなくて良いのかもしれないが。


 まぁでも、ディールはトルニア。リシェラはセディルズと馬が合いそうな気がしなくもないがな。


「会って早々悪いが、俺は今から非常に面倒な仕事をやらにゃあならなんだ、ガキは適当に遊んでろ。」

「む、久々に会ったのに酷いんだぞ。」

「へ~へ。すんませんでした~。」

「全然反省してないだろっ!!」


 する訳ないだろ。


「面倒な仕事って、何するん?」

「せ、せんせのお仕事見学したい。」

「うざい。」

「前に話してた、授業学研究室でこれからの授業について研究するの。」

「シャル。」

「え、見たい! 見たい見たい見たい!」

「せ、先生、現役の学生の意見も欲しない!?」

「ぼ、僕も提案したい!」

「お前らの話を聞いて一体どうしろと」

「良し、じゃあ皆でティアのお仕事見学しよ~!」

「「おぉ~!!」」「お、おぉ~!」

「シャル、お前は働け。」

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