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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第95話 まだ壊れてほしくないから

「……あ。おはよう、ティア。気分の方はどう?」

「……少し、はっきりしました。申し訳ありません、陛下。また例の如く醜態を―――んむっ。」

「はい、直ぐに謝らない!調律(チューニング)はそういう物なんだから仕方ないってギルガ達にも散々言われてるでしょ。ほら、それ食べたらこっちおいで。もっと沢山用意してるから。」

「……っ。はい、陛下。」


 仮にも俺の命と時空層の幽炉核(コア)を連結している関係から、俺の意識がある状態では調律(チューニング)が出来ないので必ず意識を落とさなければならない。そしてその間、目覚めてしまっては意味がない。

 つまり、あの部屋は一時的に幽炉核(コア)との連結を解除し、お互いを調整してから再連結する為の仮眠部屋ならぬ仮死部屋のような物。元より長い生きている身だ、体はクローンでも魂も劣化はする。

 その為、それを少しでも遅らせたり。あらゆる感覚を全て遮断する為に水というクッションを使ったのがあの場所だ。

 ただ、その装置にも多少の問題はある。例えばついさっきか、数時間前かにやらかしたように再連結後して目が覚めて直ぐ、間髪入れずに発狂したり。酷いフラッシュバックで必ず錯乱する。


 いつになっても……色褪せてくれないな、あの時は。


 いつの間にか寝かされていた陛下のベッドから体を起こして。徐に口へ突っ込まれたクッキーを咀嚼して。まだ多少痛む頭を抑えつつ、テーブルに目をやればそれはもう置き場がないぐらいにお菓子が積まれている。


 えー……。


「……へい、か。陛下?」

「どうしたの?」

「ど、どうも何も、正気を疑うレベルのお菓子でテーブルが埋め尽くされているように思えるのですが、何をお考えで?」

「お茶会をしようと思ってね。」

「……どなたと?」

「貴方とよ、ティア。どうせ貴方の事なんだから変な事考えるでしょ、少しでも暇があったら。今は甘い物でも食べてリラックスしてなさいな。」

「あれから……どれくらい経ちましたか。」

「さぁ、どれくらいでしょうね。ほら、こっちいらっしゃい。」

「……作業時間はどれくらいでしたか?」

「5日。全く、仕事病なんだから。」

「陛下には言われたくありません。」

「その私がお茶会をしようって言ってるんだから、大人しく従ってなさい。」

「はーい……。」


 俺が一体どれだけ寝てたのか知らないが、この様子だと追加3日ぐらいかなぁ……。

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