表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
96/192

第93話 静かな泉の中で

「陛下、只今帰還致しました。」

「あぁ、ティア。お帰り。準備は出来てるわよ。」

「はい、陛下。」


 一応は教師の真似事にも区切りを就けて帰ってきたのは王城地下深くにある、俺専用の調律(チューニング)室。

 陛下を含み、このネビュレイラハウロ帝国の隠密機動に所属する者は皆、幽炉核(コア)に連携されており、その同調具合を確認する為にも定期的に調律(チューニング)を行わなければならない。これを怠れば、ありとあらゆる方面に被害が及んでしまう。


 今回は異常が確認されたからする訳だが。


 調律(チューニング)室は隊員ごとにレイアウトも、設備も変わっており、俺専用の調律(チューニング)室は一見静かな森の奥にある、木漏れ日が少しだけ差し込むような泉のような部屋。勿論水面には色んな花が浮かんでいたり、底がしっかりと見える物の、雰囲気を損なわない為にも本物そっくりに加工されているのでここが王城である事を忘れれば錯覚する事は容易だ。

 それもこれも、俺が時空層と連結されているから。少しでも向こうの世界と環境を合わせなければならない。

 これまでは溺れないように気を就けなければならなかったここも、今となっては特に気にせず沈んで眠れば良い。それだけで全ての準備が終わる。


 良し。


「陛下、いつでも構いません。」

「じゃあティア、今しばらくお休み。」

「えぇ、陛下。……お休みなさい。」


 そっと泉の中に横たわる。本来であれば息が出来なくて長時間この場に居られないのだろうが、その点本来は呼吸する必要のない俺には大した問題にならない。

 人工的とは言えど、本物そっくりに作られた木漏れ日の発生源である天井から流れ込む光。水面を通して見える世界は幻想的で、日頃の疲れなど簡単に吹き飛んでくれる。


 これから先、もしかしたら何度もストレス発散的な意味で足を運ぶかもな。


 水面から遠く離れた場所で響いたがこん、と言う音を最後に意識が途絶えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ