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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第90話 回り回って国家の為になるのだから

「先生、早く行くぞ!!」

「早よ起きてぇやぁ~!」

「……朝弱いんだって。」

「せんせ、頑張って起きて下さい。」


 このクソガキ共め。


 少しくらい労わってくれても良いだろうと思う反面、それを期待した所で無駄だろうと分かっている事から何かを強く言う事の出来ない俺も俺なのだろう。いつまで経っても解決に乗り出そうとしないという意味で。

 正直言って、面倒だ。

 元々性格というものは曲げるのが非常に難しく、同時に曲げるべきではない。それは己の性格をという意味でも、他人の性格をという意味でも、何においても何でもかんでも自分の思い通りになるというその自惚れの塊はさっさと捨てた方が良い。持っていたとしても全ての厄の元にしかならない。

 結局、全てはなるようにしかならないという事。何とかなるようにしたのではなく、なるようになっただけ。あくまで、出来るのは何処までなるようになるかの話でしかない。

 それはそうと、随分と暑いこの日差しの中。馬鹿みたいにテンションの高いガキ3人に引き摺られ、億劫ながらもずるずると学校へと引き摺られている。

 本来であれば俺の出勤時間にはまだまだ余裕がある為、さぁ二度寝しようと思っていたのにこれとは何とも世知辛い。


「何を急いでいるんだ、お前らは……。」

「「試験結果!!」「試験結果。」


 あー……。


 俺は俺の希望で俺が持つべきである生徒を減らしてもらっているのであれだが、基本的にここの常勤教師達は100人近くの生徒の答案用紙をたった一晩で採点して次の日に成績として纏めた物を生徒に返却する。

 俺の所属する隠密機動では直下の部下を持つ事はなく、あくまで別の誰かが管理している軍隊や警察等に命令を下す権限があるだけ。それもあり、変に俺が担当しなければならない生徒を増やす気など欠片もない。


 面倒なだけだからな。


「な、何でせんせ呆れた顔……。……ま、まさか見せるのも嫌になる程酷い成績だった、とか?」

「え、嘘やろ!!?3人で徹夜までしたのに!?」


 あの程度の課題で?


「そ、そんなに酷かったのか……?」

「……まぁ、ぼちぼち。」

「何だその煮え切らない回答は。」

「もうちょっとしっかりしてぇや、先生。」

「……眠いんだよ。」

「……? 先生、今日は運動場で授業しないのか?」

「陛下が色々と気を遣ってくださったんだよ。俺が自由に授業出来るように、人目を気にせずやりたいようにやれるようにって新しく第6特殊校舎を建ててくれたんだ。……ほら、行くぞ。」

「せ、先生の為だけに!?」

「さ、流石女王様……。」

「……陛下、せんせの事大好きなんだね。」

「……何を言うかと思ったら。元々陛下はこの国の学業の為なら何でも尽くしてきた人だろうが。無礼だぞ。」

「そ、それは……そう、だが。」

「せんせ、せんせ。じゃあ……新しい校舎って凄いの?」

「あぁ凄い。管内全域の空調設備の他にも多重の結界が張られててな。中庭にすらも天候や気候に左右されない運動場を作ってくださった。……あれなら多少俺が大暴れしてもぴくりともせんさ。」


 さぁ~て。どう活用しようかな、あんなハイスペック校舎。最早戦場の宿舎として欲しいぐらいなんだが。

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