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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第89話 全ての魔法は少しずつ分かれていった物

「ほれ、早くベッドに乗れ。」

「え、ええん……?」

「どうせ部屋に戻してもまた来るんだろ。今日は皆で寝よう。俺としても何度も起こされるよりもそっちの方が良い。」

「……せん、せ。」

「……ほら、こっちに。傍で寝て良いから。」

「……う、ん。」


 子供扱いされたくない、という割にはまだまだ人肌恋しいらしい。まぁそれもこれも、あんな家庭環境で育っていれば愛情が足りなくなるのはそう珍しい事でもなければ、むしろそうでなければ異様ですらもある。

 それもあり、随分と消耗している様子のセディルズはあっさりとそれはもう深く、眠り込む。

 泣き疲れた様子の、まるで幼子さながらのセディルズは安眠の限りを尽くしており、優しく撫でた所で目覚めたりはしない。……こんな殺戮者に優しくされて安らぎを感じるなど、随分と世知辛い世界に生まれさせてしまったらしい。


「……せぇんせ。」

「お前も眠そうだなぁ。直ぐに寝ても構わんが?」

「……や。」


 駄々っ子かお前は。ルシウスはルシウスで静かにくっついて黙ってるし……。


「先生、何か……何か、話して。」

「な、何か。何かって言ったってなぁ……。……魔法の根源の話でもするか。」

「「魔法の根源?」」

「ああ。元々、魔法は1つしかなかったんだ。魔力がない人からすれば何でも出来る万能の魔法。今の魔法みたいに、魔力さえあれば出来る魔法ではなく、もっと神秘的で素晴らしい物だ。当時、“魔法” としか呼ばれていなかったそれはやがて2つに分かれた。1つは生を司る儚生(もうせい)魔法。もう1つは死を司る悠死(ゆうし)魔法。」

「後の白魔術と黒魔術……?」

「ああ。その2つの魔法が更に派生して、お前達の知る魔法が出来たんだ。定期試験でも課題に出したが、常に生と死は表裏一体。何方も素晴らしく、何方も儚い物。人間は生を喜び、死を嘆くがその本質は同じ物だ。……悔い無きよう、今を大事に生きろ。何があっても道を踏み外さんようにな。」

「……ぅん。」


 まだおこちゃまの彼らには。……疲労に纏わり憑かれて本調子でない彼らには色々と限界だったようで、あまりにもあっさりとその意識が落ちるルシウス。

 そんなルシウスの頭を優しく撫で、そのまま目を閉じた。

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