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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第83話 軽い訳がないのだから

「……さて。」


 草木も眠る、丑三つ時。この静かな時間が、今も昔も何よりも好きだ。

 静かで空気も落ち着いたこの時間は何か作業をするには丁度良く、自分の時間に浸るには丁度良く。幼い頃からよくこの時間帯に勉強などの、多少集中力の要求される作業をしていたのもあり、今もその癖が抜けない。


 直す気はないが。


 換気も兼ねて換気扇を掛け、煙管に火を点ける。……今日は人が多かったり、陛下のお傍に居たりとこの愛しい煙を肺に入れる事すら叶わなかった。お陰でストレス量がえげつない。

 このままだとディアルに提出する報告書にも、俺が見るだけの資料にも匂いが付く事にはなるが、まぁ……相手はディアルだ。そこまで気にする事もないだろう。

 3人の答案用紙と答えを見比べながらもどんどんと採点を進めていく。

 元のスペックが良い所為か、それとも俺の脅しが効いたのか。復習については全員が満点。その後の応用はそれなりに個性が出ており、ルシウスは流石の40点満点。トルニアは湖を瞬間的に蒸発させる魔法を行使する為の魔法式で引っ掛かって30点。セディルズは湖を瞬間的に蒸発させる魔法を行使する為の魔法式と学園を呑み込める量と規模の津波を掌握する為の魔法式で引っ掛かって20点となった。

 実践であればセディルズがかなり優位になる物の、このように筆記になると一気にルシウスが優位に立つ。トルニアは安定している方ではあるが……それでもやはり、同じ魔法を行使する為の魔法式でもトルニアの方が一番綺麗で、かつ一番速く。魔力も効率的に扱える魔法式となっている。

 まぁセディルズは元々記憶や基礎は得意だが、応用となると数度実践して物にするタイプ。又は、誰かが行使し、失敗から学ぶタイプ。前例がない状態である試験という形式ではその特徴を活かしきれないのも無理はない。

 一方で、トルニアは正解を見せればその世界に辿り着けるよう、自力で答えを導き出す事が出来るタイプ。今回は試験時間不足か、知識不足かの何方かだろう。


「レポート……か。」


 ここまでしろとは言っていないが、わざわざそれなりの大きさの茶封筒に入った彼らのレポート。彼らの表情を思い出すに、まぁ~……碌な事は書かれていないだろう。それか、彼らなりに知恵を絞ったか。


「…… “弱き者の意思を汲んでやるのが本当の強者なのだから、常に強者であり続けなければならない私達が臆して何を掴めると言うの”、か。陛下、早速で申し訳ありませんが貴方のお力添えを願うやもしれません。」

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