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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第82話 早く、知ってほしくて

「……ご馳走様。」


 分かってはいたが、あの後色々と。最初から何から何まで準備していたんじゃないかと疑ってしまう程の手際の良さで全ての手続きがなされ、ディアルの方からも宣言通り有事の際には俺のたった一言で教師も、生徒も拷問室。裁判所。刑務所へ飛ばせる事になった。

 俺が提案したとはいえ、あまりにも二つ返事過ぎて心配になるぐらいだ。まぁ言った所であの阿呆どもの耳には正しく。望んだ形で届いてくれないのだろうが。

 長いのか、短いのか分からない1日が終わり。相変わらず、何故か家事をやりたくて仕方ないらしいトルニアが用意してくれた夕食も済ませた。……別に急かされてはいないが、今日中に終わらせるつもりだったこいつらの筆記試験の採点をしなければならない。


 陛下に背中を押されてしまった以上、手を抜く訳にもいかん……。さっさと残った仕事を片付けて色々と準備をしなければ。


「先生。」

「何だ、ルシウス。これから少し忙しいから特別授業はしてやれんぞ。」

「これを。」

「あ、俺も。……は、恥ずかしんで誰にも見せんとってくださいよ? あ、勿論ルールゥ先生にも駄目ですから!」

「……ぼ、僕も。せ、せんせ以外には見られたくない……ので。」


 生と死の概念についてのレポート、か。


 本当に、今日は変な事が多い。

 確かに早くに済ませてくれれば此方としてもさっさと片付けられるので助かるには助かるが、この手の書類という物は一度提出したら取り下げは難しい。なので個人的にはもう少しばかり慎重になってくれ、と言ってしまいたい気持ちはある。

 しかし、目の前で何処か怯えたような……否、不安そうな様子の彼らを前にそれを口にするのも難しい。


「……念の為に言っておく。こんなにも早くに提出して良いんだな?」

「あぁ。ちゃんと内容は考えて書いてある、そのまま受け取ってくれ。」

「俺もです、先生。元々先生に渡すもんに手ぇなんて抜いてないですし、返してもらおうとも思ってないです。」

「…………せんせ。」

「何だ。」

「……読んでも、今まで通りで居てください。」

「……何を心配しているのか知らんが、今まで俺がお前らに態度を変えた事がないように、これからもそんな事は絶対にありえない。まぁ勿論、お前らが急に犯罪者になるような事がなければ、だがな。……とりあえず分かった。これは受け取っておく。……今日はもう休め。良い時間だろう。」

「あぁ、お休み、先生!」

「お休み~! あ、皿はそのままでええから!」

「お休みなさい、せんせ。」

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