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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第66話 さぁ足掻いて藻掻いて苦しむが良い

 ……さて。


「自称優等生諸君。君達学徒の本分たる第1期定期試験が近付いている訳だが……勿論俺に構う事に必死で勉学を疎かになどしていないだろうな?」

「先生、俺達の反応見て絶対楽しんでるやん。」

「結構酷い事やってるぞ、知ってるか?」

「はて、散々人で遊んでおいて自分達は遊ばれるのが嫌とほざくか、このガキ共は。」

「「ぐっ、……。」」


 季節も流れてとうとう第1期定期試験。

 このシャレル魔導学校では一年に3度の試験が存在し、それぞれを第1期定期試験。第2期定期試験。そして第3期定期試験と言った風に分かれており、当然ながらこの成績によって色々と制限が定められる。

 食堂で利用出来るメニューだったり、受講出来る特進コースだったり、その他にも挙げればきりがない。山程ある選択肢がこれによって色々と定められる為、ここで変に加減するとこいつらの未来を奪う事になる。

 当然、国家に尽くす立場である俺がこんな小僧3人の未来なんて気にした所で……とギルガ達は言うだろうが、それでも気になってしまったのだから。もうその手を取り、教鞭をしっかりと握ってしまったのだからもう簡単に手放すつもりはない。


 取るだけ取って、期待するだけさせて蹴落とすのは……もう見飽きたし、され飽きた。俺までそんな奴らになるつもりはない。


 そんな俺の心境を知らないこいつらはただただ目の前の試験と言う名の脅威に戦々恐々としているらしい。普段から勉強勉強と喧しい癖に、まともに勉強していなかったのだろうか?


「……せ、せんせのテストだけが怖い。」

「ほう、他のテストは余裕だと。なら当然満点を持って帰って」

「ち、違う! そ、それは無理だけど……ほ、ほら。他の先生ってグレイブ先生に比べたらあんまり……あ、頭良くないから。」

「相変わらずとんでもない事をさらっと言う奴だな、お前は。」

「でも、面倒だって思う時くらい……せんせにもない?」

「さぁな。生憎、俺が関わってるのはシャルとディアルぐらい。他の奴らとは極力距離を取ってるし、向こうも変に突っ込んでこないからな。殆ど交流のない相手について言及を求められても困る。」

「学校長とシャルロット先生の事はどう思ってるんだ?」

「ディアルとシャル? あんなんのただの嵐だろ。」

「嵐。」

「……ふふ。先生、校長先生とシャルロット先生に困らせられてるん?」

「あいつらはその手の事の天才だからな。」

「他の先生に興味はないのか?」

「ない。どうせ知った所で俺は俺を引き摺り込んだディアルとその妻であるシャル意外と交流は取らんし、別に学校以外で会わん相手と仲良くした所で何にもならん。」

「先生も先生でどぎつい事言ってるんだが……?」


 何でだ。関係の薄い相手の名前を覚えるより知らない事を勉強する方が有意義だろうが。


 普通の一般人であればそうもいかないのだろうが、ただの教師ではない俺にとっては些末事。避けようと思えば簡単に避けようとするだけの身体能力もあるのだから特に心配する必要だってない。

 だが何らかの要因で他の教師と関係を持たなければならないようになればそうも言っていられないだろう。まぁでもその時はその時だ。


「なぁ先生。ちょっとだけ、ちょ~っとだけヒントとかくれたりせぇへん?」


 ヒント?


「何の話だ?」

「も~先生の鈍感さんっ! テストに決まってるやん、て・す・と。」

「はぁ、テスト。」

「そ、て・す・と!」


 ふむ。


「他の授業を蔑ろにしていれば半分も点数を取れないテストにした。」

「「この鬼教師!!」」「せ、せんせの鬼……!」

「はははは!! さぁさぁ励め学徒共、いつまでその大口を叩いていられるのか楽しみだなぁ!」

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