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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第65話 俺だけで、独り占め

 酒を飲みながら。酒を飲んでいる関係もあり、猛暑の関係もあり、空調がよく仕事をしている室内とは言え、元々自分でもびっくりするくらい脆弱な体とは一応おさらば出来た物の、定期的に水分補給をしなければいけないのだが。

 窓から見える運動会も終盤に差し掛かり、最初は元気に走り回っていた生徒達も段々と疲れてきたんだろう。力なく座り込んでいたり、日陰へ退避しているのも確認出来る。

 まぁあの阿呆3人組は元気いっぱいのようだが。


 やっぱりお貴族様が多いのか。


 学校と言う関係もあり、やはりある程度の資金は必要と言う事なんだろう。貴族や王族の類も確認出来る。

 とはいえ、差別は全くしていないこの学校ではただの一般人もそれなりに居るようで、きっと彼らもまさか……。……いや


「本物を知らない奴らにはあれが本物、か。」


 何とも悲しい話だ。魔法とは本来、常に自由である物なのに。

 だからこそ、魔法に限界はない。想いが強ければ、イメージが強固であれば、魔力が濃ければそれだけ出来る事もやれる事も増える。……ルシウス達はああ言ったが、本物の魔法と言うのは奇跡と呼べうる物となる。


「……ん。」


 運動場の北東から世界に手を伸ばす、夜の来訪を告げる夕暮れが刻一刻と迫ってくる。

 夕暮れの光はまるで早朝に世界を起こす朝日のように、あれらも疲労を覚えるのか時が流れるに連れて少しずつ細くなり、とうとうピアノ線のようにまでなっていた魔流が、草木が水を吸い上げたかのように太く、星が燃え尽きる時のようにギラギラと輝いて校内を巡る。

 生徒にも、教員にも、魔法具にも、結界にも。

 色を塗るかのように、染めるかのように世界は温かくも熱い想いの宿った色が移っていく。こんな光景を今は俺しか見る事が叶わない。


「こんな綺麗な物を見れないあいつらは酷く勿体ないものだ。」


 いつか、あいつらにも見せてやりたい。

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