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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第57話 初めての弟子に期待を向けて

 “命を大事にしてください”。



 何の脈略もなく、ふと森に入って突然綺麗な空気が入ってきた時のような感覚でその言葉を思い出した。

 何の関連性もなく、何の関係性もないのにふと思い出されたそれは俺の手を止めるのには十分過ぎる程だった。

 どれだけ気を逸らそうとしてもその言葉を振り払う事は出来ず、むしろどんどん強くなっていく。


 ……この俺にそう言ったんだ、当然俺が聞いても答えられるよな。


 我なら何とも性格が悪い返しだろうか。それが分かっている癖に改善しようともしない俺も俺ではあるのだが。

 しかし、普通に考えれば色々と諦めて問題を飛ばすはず。なにも、テストに出ているからと言って全てを答える必要はないのだから。

 その為、敢えて遠慮なしに行く事にし、挑戦編として【生と死の概念についてのレポート】でも書かせてみるとしよう。それで彼らがどんな反応を見せるのかも然りだが、彼らの価値観を見たいのも事実なのでこのまま貫き通すとしよう。

 ただこの学校のレポートは普通であれば定期試験当日から1週間後の期間内に提出する事を求めているらしいので、此方もその例に倣えば問題ないだろう。


「筆記は……これで良い。実技はどうするか。」


 正直言って、俺の得意分野であり専門分野はこっちだ。

 いつもと違う場所と言えばここでのろまだったら叩き直してはいけない所だったり、いつも通り加減なく力をぶっ放してはいけない所だったりと幾つがあるが、まぁ命に別条がない限りは完全放置に徹していれば問題なく


「……いや、別にこっちへ向けてきてくれても良いな。いや、むしろ向けてくれた方が楽だ。」


 「魔法を使え」とは言うが、「魔法を暴走させるな」とは言っていない。

 大体、あいつらは何だかんだ言ってそういう意味で杜撰だ。俺が何かを言わずとも簡単に暴走するに決まってる。

 そもそも今現在、ルシウスは炎魔法を使った魔力の調整に成功した。

 トルニアも同時並列での魔法の行使もそれなりに出来る上、この前は暇だと言いながら地面の幾つかの岩を動かして自主訓練に努めているのも確認した。

 セディルズも水中での無詠唱魔法の行使がようやっと満足に出来るようになってきた頃だ、多少は問題ないだろう。トルカに負けたくないと勝手に水魔法での造形を楽しんでいたし。

 ならばルシウスの方は慣れていない複合魔法での調律具合を確かめる事を目的としつつ、あいつには特に調整の難しい炎魔法と重力魔法の複合魔法を実践してもらう事にしよう。

 それこそ普段無意識でやっているからこそ、わざわざ指定されるとそれなりに面白い姿が見られるはずだ。

 次にトルニア、此方は日頃から幾つもの魔法を多重に掛け、並行して使用する事が多いので瞬間的な重複しない想像と同時に複数の物体の操作を目的としつつ、同時に種類の重複しない武器の召喚とそれを使った剣の舞でもしてもらう事にしよう。

 幾ら日頃からやっていたとしても、あいつがやっているのは存在する物を浮かしたりする程度。自ら作った、全く違う形のそれらを常に維持し続け、動かすと言うのはなかなかに至難の業だ。それを今回は即興でやってもらうとしよう。

 最後にセディルズだが、あやつはあれからずっと授業外でも水に関する研究を続けている。……どうやら俺の言葉である「水を極めろ」を正しく、しっかりと守っているらしい。

 ならばそれの後押しがてら、水の制圧と形状の変形・形状の運動を目的としつつ、水中での無詠唱魔法行使と水槽型の巨大水泡を使った造形を課題とするとしよう。


「さて、あいつらは何処まで俺を驚かしてくれるのやら。」

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