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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第3話 友の為なら何処へでも

「……遅い。」


 数時間前、何とか教師としての契約に応じてくれたティアが、まだ帰ってこない。

 本職の任務が終わった後、王城へ報告に向かうと聞いていた。遅くとも日付が変わるまでには戻ると言っていたのに帰ってこない。

 集中力はとうに削がれ、手元の書類は机の端に積まれたまま。その中に、ティアが残していった仕事の本職の業務を行う時に利用する物で、それを俺達も使えるようにと複製してもらった2枚の木札があった。



 これらは外出札と帰還札と言う物だ。



 外出札は、任務のある夜に外出中であることを示すもので、内部には要件や行き先が記されたメモか、あるいはUSBが入っている。中身は俺とシャルしか開けられないよう細工されており、防水・防刃・防炎・防塵。呪いや状態異常対策まで完璧に施されているらしい。

 一方の帰還札は、「校内在中」とだけ書かれた、ただの木札だ。こちらには特別な魔法などは施されていない。


 ……何かあった、とか?


 無論、分かってはいる。 あいつだって仮にも軍人だ、仕事の関係から何らかの非常事態に巻き込まれて危険な目に遭う事だってあるだろうし、多少帰りが遅くなる事だって当然あるはずだ。

 だがそれでも何の一報もないと言うのはなかなかに謎が残る。

 あいつは何だかんだ言って律儀な性格だ。何かあれば必ず連絡を飛ばすはずだし、その連絡がないのであれば何かの非常事態が起こったとして間違いないはずだ。


「行ってみるしかない、か。」


 コンコンコンッ。


「ディアル、起きてる?」

「あぁ、おはようシャル。悪いがちょっと行く所が出来てしまってな。……ここを任せて良いか。」

「えぇ、勿論。ティアの事でしょ。日付が変わる頃には帰ってくるって言ってたのに、朝になっても帰ってこないんだもん。気になっても仕方ないと思うわ。」

「少なくともかなり時間が経ってる関係から一応は大丈夫だとは思うんだが、念の為に行ってくる。」

「目星は?」

「恐らく王城だ。ついでに、陛下にも報告を済ませてくる。朝食は外で食べる。……すまないな。」

「いいえ。2人で仲良く、無事に帰ってきて下さい。」

「あぁ、行ってくる。」


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