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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第56話 分からない事を知るのは楽しいのに

 ……ぐっ、マジで面倒くさい。


 これも必要な事なのだろう。それは分かっている。

 しかし、だからと言って今更分かり切った基礎の基礎なんぞを問題に出さねばならない自分の身にもなってほしい。まぁこんな事も分からない程度で魔法を行使してきた連中には欠片も分からないだろうが。

 そもそも、学問と言う物は多くが階段だ。

 だからこそ本当に基礎の基礎、初歩の初歩。それこそ上と言われて「上って何処ですか?」と言っているような、何故分かっていないのか分からないような物が今の俺の感情に当たる。

 それは本来、学問に対して本気で誠実な物であれば誰でもあるはずだ。

 例えば、音楽をやっているのに楽譜を読めないのもこれに当たる。

 本来初歩の初歩を踏み倒すと言う行為はあらゆる学問に対する愚弄であり、挑戦でもあり、挑発でもあり、侮辱とも言える。

 これが出来るのは本当に生まれつきの天才か、はたまたわざわざ学ばなくとも肌で分かるような物だけだ。しかし、説明出来なければその何方も価値はない。


 それを量産してたんだよなぁ、あの馬鹿は……。


「……おし、終わった。やっと、やっと応用だ……。」


 個人的にはここが一番やりたかった場所だ。

 学校と言う物に通った事のない俺には縁もゆかりもない文化だが、大学と言う学校階級では論文と言う物。又は予測を立てた小論文的な物を書くらしい。

 これならば文章の内容から出題者が言いたい事を何処まで理解出来ているかだったり、何処まで身に染みているのかを確認出来る良い機会になるらしい。



 学生からはよく嫌われる傾向にあるが。



 俺は楽しいと思うんだけどなぁ……。


 何はともあれ、やるのはあいつらだ。多少難しくしても良いだろう。

 いや、もしかすると変に簡単な物を持っていくと逆にうるさいかもしれない。日頃から難しいのが良いと喧しい元気のあり余ったガキ共だ、ここでも多少は虐めてやらなければならないのかもしれない。

 嫌いながらも規定に従って復習の項目にやたらと問題を組み込んだので応用は本当に何もして良いし、何ならディアルには「遠慮なくかませ」と言われているので復習程手を抜く事は出来ない。


 まぁ、信じてみるか。


 別にこういう目的ではなかった物の、俺はあの3人それぞれに合わせた課題を課せている。

 そうする事で彼らも自分の適性や周りの適性、果てには誰がどんな課題を貰っているかの傾向を見る事で自然と俺の考え方を予測する癖が就く。

 結果、それは一生の宝となる。

 俺は彼らと初めて会った時にも言った通り、何かを教えてやるつもりはない。但し、あいつらが俺から知識を盗み易いように調整してやるだけの話だ。

 なら、今回のこのテストでもそれぞれに合わせた問題を出してやるのも良いかもしれない。


 ……いや、答案を返却した時に情報を共有出来るように同じ問題の方が良いか。


「なら内容は同じにしつつ……無詠唱だけでもかなりだが、ルシウスに至っては重力魔法使ってる時点で複合は大丈夫だろうし、第1問は複合魔法の結果予測で良いか。まぁあいつも何となくで使ってるだけみたいだし、1度考えさせてみれば良いし。意外に癖が出る魔法式も書かせてあいつらの困惑する顔でも想像するとして……そう、だなぁ。結果だけでなく、湖を瞬間的に蒸発させる魔法の魔法式を書かせるとして。2つじゃ遊び足りないだろうし、ちょっと意地悪で学園を呑み込める量と規模の津波を掌握する為の魔法式も書かせるか……ふふ。まぁ、掌握方法に関しては定めないでおいて、どういった反応をするのも見物だな。」

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