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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第54話 響く声は戦争を知らなくて

 ったく、やっと静かになった……。


 随分と楽しそうにきゃーきゃーわーわー言いながら走っていったガキ共が通学路に就いた事を確認した。

 あのガキ共の所為でかなり予定が押している為、そそくさと自室に戻って棚から幾つか本を取り出し、封筒の封もすぱっと切り裂いて中身を取り出せば案の定だ。

 わざわざあのガキ共3人の為だけに作らされるテストと言うのも面白い話ではあるが、逆に言えばこっちの方が良かったりする。



 そもそも、数百人を全く同じ内容で教えると言うのはかなり無理がある。



 それは勿論生徒についても言える事だが、教師に言える事でもある。

 幾ら理論上難しいと言えどもそれを言い訳にして甘ったれ、勉学の質を落としてしまうのであれば少しぐらい努力や工夫をするよう義務付けてしまえば良いと思う。

 そうすれば教員は自分の実力に驕り高ぶって子供達を馬鹿にするような事もなく、子供達の成長を妨げる事もないだろう。

 そして、子供達としても社会を経験していないからこそ。まだ世界を知らないからこそ、自分の実力が本当に努力が足りていない結果なのか、それとも環境の補佐がないからなのかを理解出来るはずだ。

 ここで違うのは大人には無駄なプライドがある。無駄過ぎるプライドが、持っていた所で人を殺すか傷付ける事しか出来ない無能で無価値で無意味なプライドが。それは皆、例外なく未来のある子供達にとっては毒となる。


 大体、子供の面倒を見るっつって自分から教師の道選択してんだから子供達の為に全てを注げよ。金目的で教員になったり、権力目的で教員になったりって吐き気がして仕方ねぇわ。

 まだお前らより教会で「主の為に」とかって居るか居ないのかも分からない神様とやらに全てを費やし、身を尽くすあの妄信者共の方がまだマシ。



 医療は命を救う為に。

 軍事は民を護る為に。

 教育は自分を護る為に。

 ―――それが、当たり前でなければならない。



 なのにどうだろうか?

 軍事は勿論、医療も、教育も、最近の奴は金目的で悪さをする連中が多過ぎる。どれもこれも子供の見本なんて物にならない癖に、子供から見え易い距離にあったりするのだから本当に聞いて呆れる。


「……まぁ、そういう無能を殺すのが俺の役目なんだけど。」


 だから本来、俺もあいつらのような無辜(むこ)の子供の傍に居るべきではない。俺の存在その物が猛毒だ。

 だと言うのに、それを一番分かっていらっしゃられると言うのに陛下はこれを了解されている。

 個人的に一番文句を言いたいのはディアルだが、陛下が了承されていると言う事実がある限りは其方に関しても文句を言える立場にない。



“俺達にとっての夏と言えば体育祭と夏休み! 先生、俺達と何処かに遊びに行かないか?”

“先生、先生ってお堅い職業やから全然遊びに行った事ないんやろ? 俺らと遊びに行こ~や~!”

“せんせ、僕達と遊ぼ……?”



「……本当、能天気な奴。俺がどれだけの数を殺したとか、どういう風に殺したとか、それを楽しんでるとか、そんな話をしても全くビビらないとか。……あんまり想像したくなかったんだけどなぁ。」

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