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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第二章幕間:色褪せた記憶 在りし日の悲劇
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第57話 日に焼けた日記の1ページのように

 次に目覚めた場所はまるで別世界のようだった。

 私がもう数人寝ても大丈夫そうなほどに広い非常に高価そうなベッドは私以外に利用者はおらず、一応は来賓として扱ってはくれているらしい。ちゃんと治療の類もされていて、捕虜として捕縛された可能性も十分あるが少なくとも乱暴はされないのかもしれない。

 それでも痛む体を無理にでも動かして体を起こし。ベッドから降りて周りの状況を確認するも特に進展はないまま、初めて王族に会った。


 曰く、彼女らが私をここに連れてきたと。

 曰く、私はこれからこの国で管理され、護られ、生きていくのだと。

 曰く、あの里はもう完全に滅ぼされてしまい、生き残りは私しか居ないと。


 それを求めて暴れたのに満足感はなかった。あぁそうなんだといった冷めた感情しか出てこず、忘れていたらしい酷い疲労感に包まれた。

 他にも得られた情報があった。あの時、私を暴走させて。煉掟ですら悲鳴を挙げさせた謎の何かは私から分離され、今は目の前の王族の体の中にあると。最初は暴れていたが腕の良い魔法師や魔導士、そして治療師のお陰で鎮静化に成功しているようで、あれは私を強く望んでいるらしい。

 私が大事で、私が愛しくて、私が恋しくて。私の何もかもが欲しいらしいそれと対話したらしく、私を護れやら。私を満たせやらと口うるさく声を掛けているそうで、それの所為で気が狂わなかったこの王族に驚愕したのもまだはっきり覚えている。

 だからといってこのまま世話になり続けるのも嫌で。でも、自分の中で煉掟が生きる為にはもっと力が必要だと唱えて、言われたままにその国……ネビュレイラハウロ帝国とやらの「七漣星」に入る事になった。



 はっきり言って、毎日が地獄だった。



 私に色々と教えてくれる他の「七漣星」達はかなり厳しくスパルタで、何度も訓練中に倒れたし恐怖やら疲労やらストレスやらが溜まりに溜まって泣いた事もあった。何なら「七漣星」の影星達の殆どは無表情で恐ろしくて。意外にもそれを指摘しても困った様子を返してくるだけだったので散々言いたい事を全て伝えた事もある。

 更に話を聞けば元々私をあの時抱き留めてくれた人と、奥であの王族……。陛下を護っていた人はまた旅に出たらしい。でも、私の事は気にかけてくれていたようで色んな本を置いて行ってくれた。

 たまには帰ってきて色んな事を教えてくれて、一度影星達が。ギルガ達があまりにも怖くて発狂にも近いパニックを起こしたり、元からあの里があのタイミングで戦争を起こす事を知っていたと陛下から教えられて牙を剥こうとしては幼さ故に簡単に抑え付けられ、何もかもを嘆いた時もあった。



 それも……今となっては昔の話。この続きは……またのご機会に。

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