表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第二章幕間:色褪せた記憶 在りし日の悲劇
191/192

第56話 惜しむらくは

 暗く、深い場所に居た。周りには何もなく、ただ深海のように奥にも前にも横にも上にも下にも暗く、底も果てない場所。そこで自分の足を懐に折り畳み、我が身を抱いてる。

 里は……どうなった。煌星の(キュイ ヘーリ )夜想曲(ソリシティ)は、アルドレディア帝国は。あの時、私を止めて抱えてくれたあの人は。

 魔力は霧散したから、奥に居た人達は大丈夫であるはずだ。問題は私と零距離に居た、あの人。

 どうやって魔力を霧散させたのかも、あの至近距離に一瞬で飛んできたのも、強い睡魔を引き出した方法も分からない。


 ……そんな、事よりも。


 これから……私はどうなるんだろうか。あの場所に投げ捨てられて、ここは死後の世界だったりするんだろうか。……そしてまた、苦しむ羽目になるんだろうか。

 分からない。でも、このままでも良い気がする。このまま記憶も存在も薄れて、やがて自分の事すらも認識出来なくなって真っ新になる。そしてまた、魂が使い回しにされるような最期も良いのかもしれない。元より、私は巫女という使い回しの役目を担うだけの忌み子だったのだから。


 でも……最期に、あの温もりだけはもっと触れていたかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ