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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第二章:一年生第二学期 ご無沙汰、我が家
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第43話 当たり前のようにある地下の自然の不思議は止まらない

「ジーラ、かつてダンジョンに家を建てた例ってあるのか?」

「テントは幾らでもあるけど、家はないねぇ。そもそもの話、大工さんはダンジョンの中に建物を建てるなんて仕事、絶対に受けないからさ。」

「それも……そうか。それで、ここにある物は喰っても本当に大丈夫なのか?」

「それは大丈夫みたいだよ。その例は幾つもあるから。」

「へぇ……。」


 俺が狩り、イルグが狩ってきたあの草食系モンスターの肉。あれは意外と美味かった。

 何方かと言えば、地上のモンスターの肉よりも美味しかったので今後モンスターの肉が食べたくなったら地上で狩るよりもこっちで狩る方が良さそうな気がする。何かと色々雑なイルグも野営料理はびっくりする程美味いお陰で助かった。

 これで後で腹を壊したらもう笑うしかない。まぁ、ジーラ達は大騒ぎするんだろうが実験なんてそんなもんだ。

 地下である上に異常な広さを誇るここにはちゃんと風も存在するようで、随分と心地の良い風が何度も肌を撫でている影響で思わず欠伸が零れてしまいそうで。そんな事を考えていたら俺の意思でも読み取ったのか、視界内にそっと現れた白く長い尾に腰から腹のあたりまでを捉えられ、後方にある体に横たえられる。


「……≪深淵からの呼び声≫。」

【主様、お休みする?】

「……いや、そのつもりはない。ただまぁ……そうだな。背もたれは欲しかった所だ。」

【主様の為なら喜んで。】

「……≪深淵からの呼び声≫。」

【どうしたの、主様。】

「輪廻零界にもダンジョンは存在するのか?」

【いいえ? 輪廻零界にダンジョンなんて存在しないわ。沢山あるのは巣だけね。】

「お前から見てもこのダンジョンは不思議か?」

【勿論、この世界にある物はぜ~んぶ不思議よ? なんたって、輪廻零界には存在しないもの。】

「それも……そうか。」


 風に関してはダンジョンの扉が開く度に流れてくるというのも考えられなくはないが、今の所そんな気配はない。ただこれだけ広い空間ともなると、外部から自然の風が流れてこなくても発生する要因も、循環する要因も無数にある事だろう。

 個人的にはそれ以上に、何でここに居るモンスター達の攻撃性が低いのかは非常に気になる所ではある。外のモンスター達は此方を見るなり直ぐに襲ってくると言うのに、それもこれも全てここには天敵が居ないからと言う理由があるからだろうか。それならまぁ……多少は納得がいく。


 もうちょっとやばいモンスターでも出てきてくれれば俺も楽しいんだがな。


「ティア。」

「何だ、イルグ。」

「そろそろあいつらの実力も安定してきたし、下層に降りるぞ。次の場所だったらティアも多少は暴れられんじゃねぇの?」

「……そうだな。あぁ、降りよう。」


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