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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第二章:一年生第二学期 ご無沙汰、我が家
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第40話 慣れない世界への第一歩

「お前らには新しい実技授業として俺と一緒にダンジョンへ潜ってもらう。」

「だ、ダンジョン!?」

「だ、ダンジョン……。ここから一番近いのだと……?」

「さ、さぁ……。」

「ぼ、冒険者ギルドの……真隣に……1つ、大きなのが。」

「確か、名前は……。」

「クリシュタールダンジョン。今回、お前達が潜る事になるダンジョンだ。ただ……流石にまだまだ碌にお前達は攻撃魔法は勿論だが、正しい戦闘方法という物を俺は一度も教えていない。それ故、今回俺がお前達をダンジョンへ連れて行くのはその学習の為。そして、それ以上にお前達の実力を推し量る為にも今回は良い機会だと思っている。……まぁでも安心しろ、万が一に備えてジーラとイルグが同伴するし……あいつらも色々と魔法を使って手本を見せてくれるとさ。」

「せんせは?」

「言ったろ、俺も同伴する。」

「そうじゃ……なくて。せんせの、戦闘も……見れる?」

「……まぁ、見る事は出来る。が、俺はお前らに何も教えない色々事情があってな。俺は俺で適当に暴れるから見たければ見れば良い。」


 気がかりもある事だし。


 殆ど戦場に出ていた俺達七漣星はダンジョンに潜った経験が少ない。それはそうだろう、元より俺達の任務はあくまで国家の安全確保と戦争での絶対的な勝利を維持する事。ダンジョンでの問題の大半は警察か冒険者ギルドが担当する為、俺達の方にまで話が持って上がってくる事は殆どない。

 しかし、蓋を開けると“殆どない”だけであって、“全くない”訳ではない。俺も詳しい事は知らないが、ダンジョンの階層やモンスターの強さである程度の危険度が階級、モンスター別でそれぞれ分けられており、稀に下層から危険度の高いモンスターが上がってきて大惨事になる事がある。

 そして、俺達七漣星がわざわざダンジョン関連の問題に足を運ばなければならない時は大抵その稀に下層から危険度の高いモンスターが上がってきた時。それも、ダンジョンの第1階層から第3階層にまで上がってきた場合のみだ。

 それ以外は大抵警察か冒険者ギルドだけで何とか出来る。しかし、他の任務や依頼でダンジョンの近くに居ない場合や単純にモンスターの数が多過ぎて対処しきれない場合に限り俺達が呼ばれる事になる訳だ。まぁ、市民の安全をという意味ではそれで良いのだろうが。

 その為、俺だけでなく七漣星の大半はダンジョンについて詳しい事を知らない。それこそ冒険者の方がよく知っているだろうし、例外としてギルガぐらいしか七漣星内でダンジョンの事を知る者は居ないだろう。師匠達に関しては……何とも言えないが。

 そういう意味でも、今回は良い経験になる。こいつらにとっても、俺達にとっても。一応、現段階では力で押し戻す事が可能にはなっているが、これから先もその力業が有効だとは限らない。そんな来てほしくないその時の為に何らかの情報を得る事は重要だ。


「でも師匠、ダンジョンって冒険者ギルドで冒険者登録しないといけないんじゃないの?」

「一応やり方はある。そろそろあいつらが持ってきてくれるさ。」

「こんにちは~。……あれ、待たせちゃった感じ?」

「悪ぃ、ティア。これでも急いだ方だったんだが……。」

「いや、丁度説明が終わった所だ。到着して早々に悪いが、動けるか。」

「うん。ティアの為なら何処までも。」

「こんなもんで疲れてちゃあ戦場になんて出れねぇよ。」


 それもそうか。


「それで、頼んでいた物は?」

「ここに。」

「それは……札、か?」

「七漣星直下部隊へ仮入隊した物に与えられる仮の身分証明証だ。頻度は少ないが俺達七漣星は何の許可も取らずにダンジョンへ入る事が出来るからな。四大大公家の血を引くディールとリシェラに関しては不要な気もするが、念の為だ。」

「なくすなよ~?」

「仮入隊証の発行には必ず陛下の許可が必要だからね。なくしたらなくした理由を陛下に話す羽目になっちゃうからさ。」

「き、気を付ける。」

「……せ、先生。先生、これ、俺らがダンジョンに着くまで持っててくれへん?」

「何よ、腰抜けね。これ1つ護れないのに師匠の傍に居たいって願う訳?」

「し、七漣星直下部隊への……にゅ、入隊試験の一部にはし、支給品を保持したまま……それを確保、したまま試験終了時間までま、護る種目も……ある。これは、その、れ、練習。なのに……や、やらないの?」

「いや、気ぃ変わった。自分で持つ。」

「そうか。ならそうしてくれ。」

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