第37話 少しでも、彼らの口から零れる言葉が幸せな物でありますように
「ほんでなほんでな、イルカの肌すべすべやってん!」
「握手もしてもらったんだ!」
「満喫してるようで何より。ちなみに、ここはペンギンの抱っこが出来る場所でもあるから後でやってきたらどうだ。」
「え、そんなんまで出来るん!?」
「ざ、ザリガニ怖かった……。」
「ふふ。師匠聞いてよ、リシェラってばザリガニの鋏に怖がって触る事すらも出来なかったのよ?」
「大丈夫だリシェラ、怪我はするが指を斬り落とす程の筋力はあいつらにない。」
「そ、そういう問題じゃないもん!」
「はは。」
セイズとは殆ど一緒に雑談しながら視界の端で水槽の中を嗜むような時間ではあったが、こいつらはこいつらで無邪気に水族館の中を走り回っていたらしい。まぁ楽しんでいるのであればそれはそれで一向に構わないが。
休憩がてらやってきた、俺自身も何度か世話になっている喫茶店。俺はあまり腹が減っていないのもあり、ただ後の事を考えて軽食で済ましたがこいつらはかなりお楽しみだったようで、がっつり食べられるぐらいには良い気分転換として役に立っているらしい。
流石と言うべきか、元より水族館内にある喫茶店なのもあってここに居る魚達をイメージしたような料理や料理が沢山あり、俺みたいにそこまでしっかり食べる気がなくてもかなり楽しめるのだから喫茶店は何かと個性があって面白い。
「そうだ、カワウソも居たのよ! ご飯食べてる所はちょっと怖かったけど……。」
「まぁ、そういう生き物だからな。ちなみに、ここは鳥類と爬虫類も扱ってるから泳いで餌を取る蛇も見れるから。」
「え、そんなのもあるの?」
「へ、蛇って……水の中の生き物も食べるの?」
「あぁ、食べる。速度的に追いつかない事の方が多いには多いが……食べるには食べる。好み的には爬虫類の方が良いみたいだけどな。」
「せ、せんせ。ここって魔法生物の類も居るの?」
「あぁ、居る。専用のチケットが必要だからな……後で買いに行こうか。」
「うん!」