第33話 慣れない過労は噛み砕けない
「ティア~! 書類……。ティア?」
「あれ、どうしたのティア。かなり死んでるみたいだけど……。」
いつものように折角トルニアが用意してくれた昼食も喉を通らず、流れるように自室へ引っ込んだ。何ならそのまま上体をベッドに預け、頭をがりがりと掻いてもまだ荒れに荒れた心は落ち着かない。
部屋の傍でルシェル……。ルシウス達が入るに入れず、だからと言って放置する気にもなれないのかずっと此方の様子を伺っている事は分かっているがそれに対して何らかのリアクションを取る気力もない。
部屋へ入ってきたイルグとジーラが近付いてきては優しく俺の背中を撫でたり。頭を撫でたりと、まずは俺のメンタル面を心配してくれてはいるようだがそれで解決すれば困らない。
はぁ……。
「……トルニアとセディルズの書類なら机の上だ。」
「お、おう……。」
「……ティア。何があったのか知らないけど、僕達は何があってもティアの味方だよ。疲れたんだったら一度陛下にお願いして揺り籠の中に戻るのも良いんじゃない? ティアはいつもよく頑張ってるんだからさ。」
……。
「……ジーラ。」
「うん、なぁに?」
「その茶封筒は?」
「……大丈夫なの?」
「……。」
「……うん、分かった。」
手を差し出したのに茶封筒は俺の手に渡されず、遠く離れた机の上へ。何とも言えないでいれば立ち上がらないように頭の両サイドに手を突かれた挙句、覆い被さるように影を作っているので何もさせてくれる気はないんだろう。
イルグもイルグでわしゃわしゃと人の髪をやりたい放題して此方も俺の自由にさせる気はないらしい。
「……。」
「頼まれてた追加の書類。ほら、頼んでたろ。お前の一族の追加情報。」
「……うん。」
「でももうちょっと休んでから見てね。……今のティア、ティアが思ってる以上に苦しそうだからさ。」
「……うるさい。」