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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第二章:一年生第二学期 ご無沙汰、我が家
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第27話 だから俺の言う事を聞けって言ってんのに

「今回は魔法属性について学んでもらう。早速だが……お前ら、魔法属性に対する理解度は。」

「ある程度なら。確か……15じゃなかったか?」

「おん、そのはず。」

「うん。」

「そう……だっけ?」

「ディール……。」


 大丈夫だ、リシェラ。そこの脳筋には何も期待してない。


 これをこのまま口に出せば喧しくなる事、色々と面倒な事になるのは百も承知なのでそこまで馬鹿な事はしない。まぁ、心の中では常に思っているが。

 仮に、ディールがその分何かに秀でていないのであれば俺は教育者としてある程度説教しなければならない訳だが、こいつの剣術は十分俺と遊べる域にまで達している。正直俺が一番しっかり教えた魔法方面に特化してくれなかったのはそれなりに寂しくはあるのだが、まぁそれでも身に着いた物があるのなら別に良い。……と、思う事にしている。

 何にせよ、こういう物は結局当人に興味とやる気に左右される。本人に興味がなければ俺がどれだけ熱量を持って徹してもまともに何かが変わる訳がない。そこでどうやる気を出させるのか、どう売り出すのかが教師である俺の腕の見せ所でもあるのだろうが……生憎と俺はそこまで必死ではない。

 俺がこいつらに教える事で、1つでも良いから多少なりとも特化してくれれば俺はそれで良い。何か1つでも得られるのなら、俺としては十分大収穫と言えるのだから。


「じゃあリシェラ、ディールの代わりに答えてくれ。」

「水、氷、炎、緑、樹、光、闇、風、雷、土、地と……。……師匠がき、禁じた死、血、命。」

「よく学習しているようで何よりだ。」

「死、血、命……?」

「命はギリギリ聞いた事があるが……禁術じゃなかったか?」


 禁術、か。まぁ意味合いとしては別に問題ないが。


「死属性はその名の通り、死に関する属性。具体的に言うなら……死霊術や呪いとかがこれに分類される。」

「じゃあ……死の魔法、もここ?」

「あぁ。血属性は血液に関する物で、お前達はあまり馴染みがないだろうが……血流を止める、血を別の物に置き換えるなどの魔法だな。まぁこれは普通に生活してりゃあお目にかかる事も噂を聞く事もないだろうよ。」


 それか、俺みたいに殺戮と塵殺が当たり前の軍人とかにでもならない限りはな。


 少なくとも、俺達七漣星は血属性の魔法も。死属性の魔法も頻繁に行使する。それらの魔法が生まれた理由でもある、虐殺の為に。戦争で死体を増やす為に。

 元々は何方も悪魔を呼び出したり、儀式を用いて悍ましい物を生み出す為の贄を用意する為の魔法として作り出された訳だが今はもうその儀式のやり方やそれで生み出される存在の事も。悪魔の召喚陣も完全に情報が途絶えており、俺ですらも追う事が出来ない。

 それ即ち少なくとも国内では決して死属性の魔法と血属性の魔法が本来の用途で行使される事はないだろう。仮に行使された場合、直ぐさま鎖国して犯人を国内か。国外に追い出した上、何が何でも他の何よりも最優先で情報の確保に死力を尽くす事になる。


 その時は、流石の俺もこいつらにつきっきりとはいかんだろうなぁ……。何より、俺だってそんな存在を野放しにしたまま日常生活が送れる程、現実を楽観視しながら生きるような阿呆じゃない。


「命属性はゴーレムの生成など、命がない者に命を吹き込んだり。治癒魔法、蘇生魔法などが分類される。」

「「「「「え。」」」」」

「命属性はそれなりの危険度が伴う魔法属性。それこそ、さっき説明した血属性や死属性よりも遥かに危険な物に化ける事すらも可能な魔法属性だからな、お前達が扱うにはまだ早過ぎる。」

「せ、先生? 俺ら……先生に言われて錬金術でゴーレム作ったけど。」

「“錬金術で”、だろ。魔法じゃないから良い。」

「え、ええんか……?」

「何が違うの、師匠。魔法と、錬金術と。」

「魔法で作るゴーレムは錬金術とは違い、遥かに生成速度も早ければ応用が利く。命令もより鮮明に出せる上、魔力と集中力が許せば一度に数体も洗脳した傀儡以上に役に立つ兵器にすらなりうる。そんな存在は錬金術のように生成に時間が掛かったり、材料が必要になったり、素材に強度が依存する訳だが魔法で作ったゴーレムは魔力に依存する。魔力耐性も、ゴーレムが使える魔法も、全て。……極端に言えば魔法生命体か、機械兵かって感じだな。ちなみにだが、陛下の認可なしに死属性、血属性、命属性の魔法を行使する事は法律上禁止されている。」

「けど……命魔法の分類のさ、治癒魔法はええんじゃないん?」

「行き過ぎた魔法は奇跡に見えるかもしれんが、一定ランク以上の治癒魔法を行使する事は禁止されている。」

「じゃあ、法律に触れんランクまでの治癒魔法は使ってええん?」

「あぁ。何方にせよお前らが手を出すにはどれもまだまだ早い。」

「ちなみに、どれくらいまでなら良いんだ?」

「骨折を治したり、出血を止めるぐらいなら大丈夫だ。」


 しかし


「命属性の分類の中に、俺の意見に反してお前達が行った魂結は分類される。」

「そ、れは……。」

「……。」

「だが、今回は俺とジーラの監督下で起きた事。それもあって、今回に限り例外として犯罪にはならなかったが本来魂と魂を繋げるのは一歩間違えばお互いが死ぬ事になる。分かってはいると思うが……以降は避けるように。」

「わ、分かった。」

「お、おん……。」

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