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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章幕間:夏休み 相応しき器に想いを込めて
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第115話 学びはいつも、身近な所に

「さて。じゃあそろそろ仕上げに行こう。」

「勿論この石を使う……んだよな?」

「じゃなきゃ何の為に手に入れたのか分からん。一度俺が見本を見せる。お前達はそれを見て、何を得られたのか是非とも聞かせてくれ。」


 内容的にはそう難しい事ではない。しかし、それでもまだ何も知らないこいつらにとってはまだまだ分からない事だらけだろう。

 ついさっき買ってきたばかりの黒曜石を手に取って。血が溢れてしまわないよう、専用の器の上に乗せる。

 本来、俺の体には血がないらしい。ただそれでは色々と不便なのもあり、幾度か自分の体で人体実験を繰り返して得られた、他の生命体と同じように血液が自動的に生成され、循環し、再生成する技術を身に着けた。

 その分多少は余分に血を多く生成する事が出来てしまう為、これはこれで王宮経由で安全に輸血出来るように加工してもらう為の研究もしてもらっているのでそう遠くない未来では輸血用の血液不足も大分解消されるだろう。


 考えるのもこれぐらいで良いか。


 別に何でも良いが、適当に取り出したナイフで指先を切り。重力に従って滴り落ちていく血液に魔力を注ぐ。

 普通に出血すればただただ滴り落ちて宝石を汚すだけだが、魔力を多く高い濃度で含まれているのもあって地面へと落ちる事はなく、黒曜石へと吸い込まれ。元より綺麗に輝いていた宝石は更なる輝きを増す。

 そのまま最後まで、心を無心に保ったまま多少目を細めてしまいそうな程に輝きを持った黒曜石が眩しく思えるまでになったら精製は終了だ。


「……どうだ、お前達の観察眼の成長度合いを見せてやろう。各自、感想を。」

「血を魔力で水みたいに制御しているように見えた。」

「まぁ、液体である事には変わりない。それこそ、セディルズの訓練の為に水槽を用意したのと大差ないからな。」

「でも、せんせ。それって血の構成物質を正しく理解出来てるからこそ……出来てる事、だよね?」

「あぁ、その通りだ。理解出来ていない物を操れる程、魔法は万能ではない。何より魔法は “魔法学” と呼ばれる程の物だからな。学問である以上、限界はある。」

「血の構成物質なんか気にした事ないんやけど……。」


 まぁそうだろうな。


「赤血球、白血球、血小板、血漿。その中でも血漿は水、電解質の他にざっくり有機物と説明されているが老廃物、脂質、糖質、タンパク質なども含まれてる。」

「……な、何でそんな事知ってるん。」

「知らないと色々困るからに決まってるだろう。……まぁ、ディールとリシェラは分かってるだろうが。」

「えぇ。初めてじゃないもの。」

「だ、大丈夫です!」

「では諸君。純粋な黙祷を捧げ、死者への弔いと共に自身の無病息災を願いながら魔力と血液を石に結合させてくれ。」

「難しいんだからな、それ。」

「これも魔力制御や魔力操作、魔力の循環の練習の一種だ。泣き言言ってないでさっさとやれ。」

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