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夜に煌めく炉は蒼銀で  作者: 夜櫻 雅織
第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
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第105話 せめて、安らかに逝ってくれる事を願う

 多少不要な足踏みをしてしまったが、ようやっと足を踏み入れた旧ケリューカ家は……それなりに色々と問題が多いらしい。

 何かの拍子に大変宜しくない結界や術式の類でも見つかったのか、壁紙も床板も無残に剥がされたこの屋敷には確かにそれらしき物も。恐らくだが、精霊に限定して効果のある術式のような物も確認出来ている。

 その多くは魔法式を解除してもまだ効力を発揮しているらしい。


 ならこれの所為で出られなくなってこの屋敷内を彷徨ってる精霊も居る可能性がある、か。


「ティア、気付いた?」

「あぁ。……ただここに閉じ込められて何をされていたかは知らんが、場合によってはその精霊達が災いを振り撒く悪霊になっている可能性もある。何も考えずに解除するのはあまり気が進まん。」

「だよね……。一応、市街地だし。」

「それで、肝心の精霊は?」

「まだ見つかってない。幾つかの壁や床はこれだけ所狭しと描かれてるはずの魔法陣とか魔法式が描かれてないから壊してみたら秘密の通路が~とか、秘密の部屋が~とかっていうのも珍しくないからしばらくかかるかも。」

「……悪霊の場合は分かってるな。」

「うん。……哀しいけどね。」


 一度何かを恨んでしまった精霊は二度と、元の形に戻る事は出来ない。

 人にその恨みを植え付けられたのであれば人間を見る度に、必ず呪いを掛ける。それが直接その精霊に災厄をもたらしたのかどうかは関係ない、“同族だから連帯責任で” 絶滅させようと。根絶させようとする。

 ただその構造は地縛霊にも近い為、自分が悪霊に堕ちた土地から離れる事は出来ない。

 そのお陰で多少は被害を軽減出来るだろうが、だからと言ってそのまま放置する訳にはいかない。俺達が、浄化してやらなければならない。


 浄化され、少しずつ大気や水に溶けていく悪霊達の “ようやっと楽になれる” って顔が……どれだけ辛い事か。


「それで、トルニア。お前の部屋は何処だ?」

「に、二階の右端。中庭がよく見えるから、あそこが良いって小さい時の俺が頼んでん。あの時はまだ……俺のお願いとか、聞いてくれたから。」

「そうか。」

「それはそうと、先生。使用人の……皆は?」

「ジーラ。」

「皆、既に事情聴取を終えて解放したよ。今は皆それぞれ、次のお仕事を探したり。しばらくお休みしてたりするんじゃないかな。」

「そう……ですか。良かった。」


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