第101話 貴方の好きなように
「あ、そうそう。ティアに我らが親愛なる皇帝陛下から預かり物だ。」
「陛下から……?」
渡されたのは、何の変哲もない手紙。
珍しくも普段から何かと俺に構って懐いてくるガキ共も必要以上には近寄ってこず、同じ組織のイルグが「陛下から」と言って渡したのもあって教師達も近付いてはこない。
それを良い事に、受け取った手紙をそっと開封すれば案の定。以前、俺が陛下に頼んでいた件だ。
まず、トルニアとセディルズの保護を承認され、俺がその保護者になる事も了承された。何なら養子縁組としての手続きも殆ど済ましてくれているようで、この手紙を開封したその時から彼らは俺の養子を名乗って良い事になっているんだと。
一応は俺が直接見に行くよう定められてはいる物の、この手紙を送った時点でトルニアの生家であるケリューカ家は爵位剥奪と郊外への追放。セディルズの生家であるリューンジュ家は同じく爵位剥奪の他に、現当主である父親を未成年暴行罪で20年の懲役となるらしい。
但し、最終判断は俺に任せるらしい。当人達にも必要事項を確認した上、聴き取りを行った上で最終的な処分を定めるようにと大臣達からも要請されているとの事。
随分、信頼されてるもんだな。……まぁしかし。
「……イルグ。」
「 “最終判断はお前に任せる”。そう、書いてるだろ?」
「あぁ。俺も赴けと。当事者は今、何処に?」
「仮置きで王城の地下牢獄に繋いでる。……まぁでも今、ホワイズとギルガが警察を引き連れて両家に滞在して屋敷も土地もぜ~んぶごった返しにしてるらしいがまぁ色々と見つかってるとは聞いてる。まぁ、俺も直接見た訳じゃないし、これが終わり次第お前を連れて見ろって。必要とあらば、お前のお気に入りを連れてくる許可も貰ってるぜ。」
「……そうだな。荷物の回収も必要だろうし。」
「分かり易くさえしてくれりゃあこっちで運ぶからそっちの心配はしなくて良いぜ。」
「……煙草、吸ってくる。」
「ん。じゃあその間、俺が全体に説明しとくからゆっくりしてこい。」