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俺が銀髪美少女に幸せにされるまで  作者: 結城ナツメ
銀髪美少女は俺の胃袋から幸せにする
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銀髪美少女も毒を吐く。人間だもの

「やぁ皆!俺だ。兵頭翔だーッ!」

「朝っぱらからうるせぇんだよ。その口縫い合わすぞ」

「んもー。三澄君たら、イ・ケ・ズ♪なんだかはぶぅ!?」


 謹慎明け初日。登校中に偶然会った天津川と一緒に花壇の手入れをしていると、兵頭が見覚えのない女子を連れて来た。

 さっきLITIで事情説明のメッセが飛んできたから、たぶんこの子が例の七森遥なんだろう。


 兵頭にはムカついたので、頭に拳をハンマーのようにして振り下ろしてやった。その衝撃で落ちた眼鏡を「本体~、本体~」と探しているが、無視しよう無視。


 ……七森という子を見た感じ、とても天津川に酷いことするようには見えない。優等生っぽい雰囲気が漂っている。

 兵頭曰く、環境のストレスで天津川に八つ当たりプラス逆恨みをしたそうだ。

 今は猛反省して、皆と一緒に花壇の世話をしてくれていたらしい。


「本当に花たちを見てくれてたんだな…」

「え、ええ……この程度では許してくれないでしょうけど…」

「まぁ、まだ少し身体が痛いからな。でも、なるべく気にしないようにはする」


 俺の言葉に首を傾げる七森。

 自分がやったことに対して、やけに寛容だなと疑問に思っている様子だ。


「兵頭から聞いたんだよ。お前、他三人よりも早く登校して世話してくれてたんだろ?そんだけ反省して、一番の被害者である天津川が納得してるんなら、俺からは何も言わねぇよ」

「っ!……あ、ありがと…」

「別に礼なんていい。つうか礼を言うなら俺の方だろ?花壇の世話してくれてたんだから……ありがとう」

「……………」


 俺からお礼を言われて、七森は視線を右往左往させて戸惑う。

 ただの罪滅ぼしのつもりでやっていただけなのに、逆に礼を言われたからだろう。


 気持ちは察するけど、今朝はおばさんの桐ヶ谷誠とかいう新人俳優自慢に付き合わされたせいで家を出るのが遅くなった為、あまりゆっくりしてる時間がない。

 手伝ってくれるなら、早めにお願いしたい。


「今日も来たってことは、手伝いに来てくれたんだろ?」

「ええ。そのつもりだけど」

「じゃあ早速頼む。まだ花壇が一個しか終わってなくてな。時間がない」


「よっしゃ来た!今日も頑張ろうぜ、七森ちゃん」

「……そうね。わかったわ」


 二人も軍手を着用して、俺と天津川とは別の花壇の手入れに取り掛かる。

 そういえば小鳥遊も一緒だったそうだが、流石に俺の謹慎明けからは不参加なのか?

 俺は元々謹慎明けまでだろうと思っていたから、別に構わないけど。


「ごめーん!お姉ちゃんの懺悔を聞いてたら、遅くなったーっ!」


 と思っていたら少々不吉なこと言いながら小鳥遊も手伝いに来てくれたわ。

 プリンでも勝手に食われたか?


「小鳥遊ちゃん、お姉さんがいたんだ。なに?懺悔って……一体何があったの?」

「お姉ちゃんが私のプリン勝手に食べたっ!」


「想像してたこと的中しやがった」

「え?そうなんですか。三澄さんはエスパーだったのですね」

「ごめん、たまたまなんだ。だからそんなキラキラした目で見るな。エスパーだったら記憶障害に悩まされてねぇんだから」

「あ。確かに」


 記憶障害の部分を小声で伝えると、はっとしたような反応をする天津川。


 天津川ってしっかりしているようで、実はかなりアホの子だよな。

 こういうのを天然って言うんだっけ?


 まぁどうでもいいか。俺に散々告白紛いなことしておいて、それを告白の内に入れてねぇような奴だ。

 多少、天然でアホな言動をしたところで気にしない。


「おはよう三澄君。謹慎明けオメデトー!」

「おう。小鳥遊も花壇の世話してくれてたんだってな。サンキューな」

「いえいえ、どういたしまして~」


 そういえば小鳥遊にはまだ話していなかったな。俺が記憶障害であること。

 でもこの場には七森もいるし、話すのはまた後でだな。


「小鳥遊さんのお姉さんは、どのようなお方なのですか?」

「えっとねー、男を弄ぶような人」

「? 弄ぶ……つまり、男性を悲しませるような人、ということですか?」

「まぁ中学までの話だけどね。最近はまともに口を聞いてなかったけど、今は心を入れ替えて真面目に高校生やってるよ」


「へぇー。小鳥遊ちゃんのお姉さんって、ここの生徒?それとも大学生?」

「ううん。別の高校」


 小鳥遊は自分の姉のことを話しながら、兵頭が作業している隣の花壇へ行く。

 ……更生したなら、別に中学の頃の話はしなくても良かったんじゃね?

 姉のこと嫌いだったのかな。口を聞いてなかったって言ってたし。


「そういや七森ちゃん、今は誰ルートなの?」

「えっと、兵頭君が言っていたタイトルや伏線を全部回収出来る女の子のルート……あ。サブヒロインの二人はもう終わったわ」

「え?貸してから一週間も経ってないはずなのに、もうそこまで行ってたの?終わりそうとは言ってたけど、サブヒロインまで終わらせてたとは思ってなかったよ…」

「お、面白いんだから仕方ないじゃない…。なんか自然と引き込まれちゃって、気付いたら深夜になっているんだもん…」


 なんか兵頭と七森が異様に仲が良いような気がするが、気にしないでおこう。

 どうせ七森が可愛いからって理由で、口説いてんだろ。赤メッシュなんてダサいオシャレしてるけど、無駄にイケメンだし、女の子の扱いには慣れてそうだ(偏見)。


「三澄ッー!今とてつもなく失礼なこと考えただろ!?」


「天津川。ああいうのをエスパーって言うんだ。わかったか?」

「なるほど!兵頭さんのような自意識過剰な変態さんを、エスパーと言うのですね!」

「え?急に毒吐くやん。お前そんなキャラだっけ?」


 兵頭と何かあったんか…?

今でも七森(女の子)にエロゲを貸した兵頭(変態)を許していない銀髪美少女。

そして変態のおかげで書きやすい。


この話が面白いと思ったらブクマ登録と高評価、いいねと感想をよろしくお願いいたします。


次は『神様は純粋な者にこそ、夢のような力を与える』を投稿します。

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