狂気の読書家?
具合悪いので短いです。
スーパーであった女の子……三澄葵ちゃん。
この子は三澄の妹ちゃんらしい。通りで見たことあるなと思ったよ。
去年の夏休みの終わり頃に、ファミレスで見かけたことがあるんだ。三澄に凄く懐いていたのを憶えている。
その時は席が隣だったから、二人の会話も聞いていた。
三澄は味覚障害と記憶障害を患っているという話だ。
そんな三澄に早く治って欲しいと、子どもながらも効果がありそうなことをやる妹ちゃんの姿は、健気でいい子だと思った。
そんな妹ちゃん……葵ちゃんから、三澄が死んでしまうという話を聞いたんだけど……
「よっこいしょ……ふぅ!なんとかここまで運べた」
「お疲れ様、兵頭君」
「小鳥遊ちゃんもありがと、運ぶの手伝ってくれて。いや~、大の男を運ぶのって大変だねぇ…」
現在僕らは三澄家にいる。
買い物を済ませた僕らは、急いで三澄家へと向かった。葵ちゃんの話だと、床に倒れたままということだったからね。そりゃあもう駆け足だったよ。
本当は葵ちゃんと一緒に先に来たかったんだけど、葵ちゃんも三澄の為にお粥とスポーツドリンクを買う必要があったからね。
まぁ僕らのと一緒に会計を済ませたおかげで、そんなに時間も取られなかったのは幸いだったね。
そして三澄家についてすぐ、僕と小鳥遊ちゃんで三澄を部屋のベッドに運んだってところだね。天津川ちゃんと葵ちゃんはリビングにいる。
重かったな~…。触ってみてわかったけど、細い成りしてる癖に実はそれなりに筋肉あってびっくりした。僕が鍛えられてないとはいえ、まさか小鳥遊ちゃんに手伝ってもらう羽目になるとは……男として恥ずかしいぜ!
そういえば葵ちゃんは三澄が死んでしまうなんて言ってたけど、全く大袈裟だな~。
若干熱いけど、酷い熱がある訳じゃない。呼吸も安定してるし、寝てればすぐ良くなるでしょ。
……なるよね?
まぁ明日まで長引くようだったら、病院に連れてった方が良いね。
ちなみに葵ちゃんの「お兄ちゃんが死んじゃう!」という発言は、三澄のことが大好きなあまり出てしまう口癖らしい。本人も紛らわしいことを言ったことを反省している。
「それにしても……三澄の部屋、凄い本の数だねぇ。ファンタジー、恋愛、サスペンス……辞書まで色々なのあるな。僕の部屋がゲーセンなら、三澄の部屋は図書室だね」
「確かにそうねぇ。今度オススメの小説を教えてもらおうかな」
三澄の部屋は勉強机とベッド。それ以外は二メートルくらいの本棚で埋め尽くされている。学園の制服が畳んだ状態で勉強机の上に置かれてるのが少し気になるな。
まぁクローゼットまで本棚に隠れてるじゃ、仕方な……あ。辛うじてひら……ッ!?
「なんだよこれ…」
「ちょっと兵頭君。勝手に人様のクローゼットを開けないの」
「……小鳥遊ちゃん。クローゼットって、なんだっけ…」
「はぁ?」
僕の言葉に釣られて、悪いとは思いつつもクローゼットを覗く小鳥遊ちゃん。
すると彼女は、目を見開いて息を呑んだ。
そりゃそうだろう。クローゼットは普通、服をしまったり、そうじゃなくても使わなくなった物をしまったりするイメージだ。
だけどこれは流石に異常な気がした。まさかクローゼットの中身まで、本で埋め尽くされてるとか…。
もはや狂気を感じるくらいの読書家だな、三澄は…。
「ちょっと待ってよ。いくら本好きだったとしても、これは流石に……ていうか服は?他に服をしまっておけるような場所なんてある?」
「ベッドの下に棚を設置してる人とかいるけど……無いね。マジで図書室じゃん、ここ…」
でも今の三澄はシャツとズボンを履いてるし、どっかに普段着はあるんだとは思う。
リビングの棚とか。
にしても自分の部屋に三着くらいは置いとけよ…。
「とりあえず出ようか…。なんかパンドラの箱を開けた気分だよ」
「そ、そうね…。ちょっと引いちゃったけど、部屋の趣味なんて人それぞれだもんね。それにいつまでもここにいたら、三澄君にも悪いし」
そう言って、僕と小鳥遊ちゃんは部屋から出た。
三澄から凄い睨み付けられていたことにも気付かずに。
クローゼットまで本でいっぱいなのは引く(自分のクローゼットを見ながら)
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明日もこの作品を投稿します。




