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俺が銀髪美少女に幸せにされるまで  作者: 結城ナツメ
銀髪美少女は俺の胃袋から幸せにする
25/40

三澄には幸せになってほしい

兵頭視点

「兵頭。君は三澄と仲が良かったな?」

「へ?はい。ファーストフレンドっす!」


 僕は兵頭翔。学園ではおふざけキャラで通ってる普通に頭が良い高校生さ!

 今日も一日平和だったな。さぁ帰ろーっと思ったら、なんか担任の先生に呼び止められちった。面倒事はごめんだよ?


「実は学園が終わった後、いつも先生が三澄の家にプリントを届けてたんだが、今日は大事な職員会議でな…」

「あ~。中間テスト終わったら、すぐに体育祭っすもんね」

「そうなんだよ…。そこで、大変申し訳ないんだが、代わりに三澄の家までプリントを届けてくれないか?」

「はぁい!喜んで承りますよぉ!たぶん三澄んちを知ってるの、僕くらいだし」


 どうやら三澄んちプリントを届けて欲しいというご依頼のようだ。

 結局僕の必死の言い訳虚しく、三澄は謹慎をくらってしまった。

 くっ!僕にもっと屁理屈をこねる才能があれば、三澄を救えたのにっ!


 とまぁ、大切なものを失った主人公みたいなテンションは置いといて……僕は三澄の家に一回だけ行ったことがある。まだ三澄が今よりも尖ってた頃の話だけど、去年の夏休み明けた時に無理矢理一緒に帰ったことがある。

 すんごい暴言を吐かれてたけどね。でも気にしてない。これっぽっちも。


 そのおかげで三澄の家の場所は把握している。ていうか僕の帰り道の近くだから、仮に嫌だったとしても覚えるね!


「助かったよ。内心点は色付けておくな」

「先生。賄賂はダメっすよ…。そこは平等にお願いしやす」

「あははは。冗談だよ。兵頭は相変わらず真面目だな」


 真面目か……まぁ勉強や行事には真面目に取り組んでるから、たぶんそのことを言ってるんだろう。


「それじゃあ頼んだよ」

「お任せください!」


 プリントを受け取って、職員室に向かう先生に敬礼で見送る。

 それにしても久し振りだな~。三澄んちに行くの。遊びに行っていい?って聞くと、凄い睨まれるからマジで一緒に帰った時振りだ。

 あ!今だったら普通に一緒に遊べるのでは!?よぉし!謹慎が解けたら絶対一緒に遊ぶぞー!ていうかもう、今日誘お。


 僕はらんらん気分で下駄箱に向かった。

 やっと三澄と友達になれたんだ。週末にでも三澄が忘れられないくらい一緒に遊ぶぞー!


 そんなことを考えながら玄関に着くと、天津川ちゃんと小鳥遊ちゃんがいた。

 今朝は僕の作戦が狙い通り決まって、二人と七森ちゃんの距離がほんのちょっと縮ませることが出来た。

 たぶん「流石にこれはダメだ。七森ちゃんを変態から離さなきゃ」程度の関係までには持って行けたでしょ。あとは七森ちゃんがしっかりと罪を償って、二人に認められるだけだ。


 かく言う僕は、あの二人からは「女子にエロゲを勧める最低な男」という変態のレッテルを貼られてるので、しばらくは庭の花壇の手入れ以外では話すことはないでしょうね。

 でもそれでいい。僕が変態なのは変わりないんだし。それに……美少女から変態って罵られるのは、良いもんだぜ?凹むけど。

 だけど「どんどんどん♪鈍器~♪」って鈍器で殴られるのは勘弁だね…。物理的に凹む。


 僕は天津川ちゃんと小鳥遊ちゃんを視界に入れないようにしながら、靴を履き替える。

 たぶん僕のことを蔑んでるからね。


「あの、兵頭さん。少しよろしいですか?」


 しかしなんということでしょー!?まさか向こうから僕に話し掛けてくるなんて思わなかったー!


「はい?この変態さんになんの御用でしょうか、お嬢様方」

「用も何も、兵頭君さっき三澄君の家に行くみたいな話を先生としてたでしょ?」

「え?あー、聞いてたんだ」

「そりゃあ同じクラスなんだから、嫌でも耳に入ることはあるでしょ?しかも三澄君の話なんて聞こえて来たら、気になって聞いちゃうわよ」


 要は盗み聞きしたってことね。いいね、嫌いじゃない。むしろ好都合!

 おそらく今の三澄は食に飢えてるはずだ。天津川ちゃんのお弁当を五日も口にしてないんだからね!

 プリントを届けるついでに、天津川ちゃんが良ければ三澄に飯を作っていただこう。

 もしかしたら禁断症状が出てるかもしれないし。


 ……その禁断症状で味覚が戻ってたりして(・・・・・・・・・・)……いやないか。

 しかしこれは僥倖!僕だけではまだ断られる可能性があったけど、この子たちが一緒に頼めば三澄とほぼ百パー遊べるはずだ!


「つまりお二人も、三澄に会いたいってことでおけ?」

「私は謹慎明けでも良いんだけどね…。天津川さんが三澄君に会いたいって気持ちを抑えられないみたいで…」


「え~!?私、三澄君に会いたいなんて言いましたか!?」

「口には出してないけど、毎日態度に出てたよ。授業中も休み時間も、ずっっっと三澄君の席を見つめてたじゃん」

「そ、そんなに見てましたか…?」

「うん。凄い愁いを帯びた表情で」


 小鳥遊ちゃんの指摘に、顔を真っ赤にする天津川ちゃん。

 この子って三澄のことになると本当に可愛くなるな~。見ててほっこりする。


「オーケー!それじゃあ皆で行こうか。だけどその前に、まずはスーパーで買い出し済ませようか」


 天津川ちゃんを見て尊いと思うのはそこそこに、そんな提案をする。

 二人は首を傾げて、小鳥遊ちゃんが聞いてくる。


「なんでスーパー?家の人から買い出し頼まれてたの?」

「そうじゃないよ。でも天津川ちゃんが三澄んち行くんだよ?つまり三澄へのアピールチャンス!ここで胃袋を掴みに、いや捕まえに行かずにどうするのって話よぉ!」


「はっ!?確かに!」

「いや確かにじゃないでしょ…。お家の人に迷惑だから、プリントを届けるだけにしましょうよ」


「いや、前に三澄は言っていた。妹ちゃんの飯を作ってるって。つまり家の人は誰もいない!」

「妹ちゃんがいるじゃないのよ…」

「小鳥遊ちゃ~ん。妹ちゃんだからこそだよ!天津川ちゃんの料理を食べてもらって、『兄のお嫁さんに来てください!』って言わせる……まずは外堀を埋めるのさ」

「うわぁ~。アンタってば本当に最低ね…」


 なんとでも言うがいい。僕は三澄と天津川ちゃんの味方だ。三澄が本気で嫌がるなら提案しないけど、少なからず三澄も天津川ちゃんには心を開いてるはず。ならば余計なお節介だと自覚しつつも、何かしら作戦の提案くらいはするさ。三澄には、幸せになってほしいからな…。

 だけどその先は干渉しない。結局は、天津川ちゃん次第だ。

 ここで三澄家にアピールするか、しないのか…。


 そう思って、天津川ちゃんを見る。


「早く行きましょう!三澄さんのご家族に、私を認めてもらいに!」

「天津川さん!?」


「恋は盲目、いつもハリケーン……一度恋した乙女には、もう常識のじょの字も無いんだよ。……なお天津川ちゃんみたいな重めの女の子に限る」

「あぁ…。あの真面目が服を着たような天津川さんはどこへ…」


 最後の言葉は小鳥遊ちゃんにだけ聞こえるようにぼそりと呟き、それを聞いて天を仰いだ彼女の背中を押して、三人でスーパーに向かった。


 だがそこには、思いがけない出会いがあった。

 そして僕たちは知ることになる。三澄乙葉の秘密について。

兵頭がなぜ三澄と無理矢理にでも関わりだしたのか、その理由も書いていきます。

好きな人のことになると常識が無くなる女の子って面白くて好きです。


この話が面白いと思ったらブクマ登録と高評価、いいねと感想をよろしくお願いいたします。


次もこちらの作品を投稿します。

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