宣戦布告
週1ペースで発生する魔物の氾濫は、いぜん数千または万単位で続いている。
ヴィンスは、帝の任務というよりもハーレム達をつれて討伐しており、英雄パーティとしてもてはやされている。 一方、カイルは、帝としても、ギルド隊員として堅実に任務を遂行していた。
それから数か月後、突如魔物の氾濫がおさまるのだった。
それと同時に、魔物の姿が大陸から確認されず、異様な状態となる。 その状態に危惧するものの、討伐に明け暮れた者ため、殆どの者がようやく疲労を回復できると、休息を取っている。
そんなある日、昼だというのに大陸全土が暗くなる。
〖 我は魔物の王、魔王である。 幾度となくわが配下の魔物を送り続けていた。 この世界の戦闘能力は把握した。 1週間後、いまから雷鳴の響く所に我が配下の魔物1,500万とわが配下の兵30万をひきつれてここを支配させてもらう。 わははは、贖ってみるといい 〗
どこからともなく低い声が、この大陸中にいるもの全ての人間に聞こえるだった。
そして雷鳴がとどろいた場所は、王都から南100KM地点あたりに広がる平原と高原の場所であった。
そして、雷鳴が届くと、空は明るくなるのだった。
◇◇◇
大陸中が混乱する中、緊急招集された者は、王宮の会議室に集まっている。
集まるのは、5大貴族、3大公、皇国の教皇、魔道国家の王、全ての帝、騎士団長、そして竜騎士団長である。
集まっている者は、一部は怯え、青ざめ、また、状況に理解できず混乱している者が多い。
宰相が、文官から受け取った過去の事例について説明する。
「魔物の王という記述は王家で保管している書庫でも該当するものはありませんでした。 しかし、1週間後に魔物の王と名乗ったものが1,500万の魔物と30万の兵を引き連れてくるという事は事実かと思います。 過去の文献で、魔界の王と名乗った魔王襲撃の際も、宣戦布告の際に昼にもかかわらず空が暗くなったと記述があります」
「皆、全勢力を投入するしかないと考えるんじゃが、いかがかな?」
「雷鳴の場所に本当に現れるのでしょうか? 別の場所という可能性は? そもそも現れるのでしょうか?」
「念のため、主要都市と国家の警備は維持していたほうがよいでしょう」
まだ、魔物の王の存在や、宣戦布告に関して半信半疑の者達は、国王の見解に意見をするのだった。
「しかし、我が王国の軍と傭兵団の全勢力は約50万じゃ。 数が圧倒的に足りない。」
「皇国は、わが聖騎士団と傭兵団の25万のうち20万を派遣いたします。」
「皇国の協力に感謝する。」
「魔道国家は、騎士団がないが、少ないが1万の兵を派遣いたします。」
「ギルドは、全支部のギルド隊員は500名と少ないですが、一般隊員からランクB以上に緊急招集をかければ600万は集まるかと。 そちらで調整します。」
「全勢力あわせて700万ですか。。、数が圧倒的に足りません。」
そう言って、数字の上で、戦力の数が足りない状況に宰相は頭をかかえている。
「心配はいりません! 俺と俺のパーティがいます! 数は足りなくともなくとも、いままで乗り切っているんです。 戦力的には我々のほうが上と考えて問題ないでしょう。 皆で力をあわせましょう。」
そう、前向きな発言をしたのは、英雄として人気のある全帝 ヴィンスだった。
「そうでした。 我々にはヴィンス様率いる英雄パーティーがおります。」
「世界最強界の証であるランクXのヴィンス様がいれば、もう大船に乗ったのも同じですな」
など、などその場の暗い雰囲気は一変し、周りはみな勝利は約束さえたと信じる者が多い。
結局、各都市部の警備として合計1万を残し、それ以外の王国軍、傭兵団、ギルド隊員、竜騎士団、ヴィンスパーティーとカイル含む全ての帝、総勢約700万が王都からやく100KM離れた場所に急遽簡易的な砦を作り続々と集結するのである。
◇◇◇
一方、緊張感漂う、大陸の中で、ほのぼのなのは『魔の森』にある2階建てのログハウスだ。
『魔の森』の家の広場で、俺は片手にエール片手にタバコを加えながら、赤竜を焼いている。
「やっぱ、来たか」
俺がニヤリ笑うと、俺の前に姿を現したのは大魔王だった。
「あはは、当たり前だ。 祭りの時間が来るのだろ。 それに、魔王種だった場合もあるしな」
そう言って、笑う大魔王に俺はエールを渡した。 大魔王は、美味そうにエールを飲んでいる。
「当たり前じゃ。 暇つぶしに来たんじゃ」
そう笑って、勝手にエールを飲んでいるのは、元竜王だ。 お前、いつの間に来たんだって突っ込みたい俺。 まぁ、いいけど。
「そろそろ焼けたぞ、アーク、リン」
俺は、ベンチで談笑していた2人を呼び、これで何時ものメンバーだな。 ちょうど、赤竜のバーベキューもいい感じに焼けた。
「んじゃぁ、食うか」
隠居組もそろい、俺たちは肉を頬張りながら、ちょっとした宴会をしている。
「シュン殿、大魔王様まできて、俺どうしたら」
俺たちの宴会で、なぜか隅に座りながら、独りもじもじしているコリー。
「コリー、お前は参加しなくてもいいんじゃねぇー」
俺は、もじもじしているコリーにエールを渡している。
「俺も参加しますが、危なくなったら逃げます」
堂々宣言したコリーに俺たちは苦笑していた。 自分の身は自分で守るべきだから、コリーの宣言は俺としても間違っていない。
「シュン殿、5人で1500万を相手するすもりっすか?」
「そのつもりだけどな。。 麒麟と玄武も祭りに参加してぇーって言っているから、連れて行くつもりだ。 だが、最初は人間達にやらせんけどな」
「なんで? 総取りしなくていいのか?」
俺が総取りしないのが珍しいので、肉を食べてるリンがツッコミを入れてきた。
「あー、魔術師の仕事があんだ」
「「「「あー、納得」」」と棒読みである。
その後、麒麟と玄武も合流して、肉を食べながら、談笑したり、皆で模擬戦という名のじゃれ合いをするのであった。