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【白銀の黒帝:6】全帝とその相棒  作者: 八木恵
4章:全帝と水帝
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世界最強の称号の行方 前編

それから半年が経過し、ヴィンスとカイルも学園を卒業した。


カイルは王都のギルドでギルド隊員となっていた。 学園で仲良くなったデール達も隊員となり、隊員として活動もしている。 


一方、ヴィンスは、大公なみの地位と栄誉を手にいれ王宮近くの豪邸でハーレムたちと生活をしている。財産もあり、貴族として特に管理する領地は他にまかせ、帝の任務だけしている。 ハーレムたちには卒業後、自分が全帝である事をあかし、まだ結婚はしていないが、皆と婚約していた。


半年間の間で、この大陸の様々な場所で魔物の氾濫が発生し、規模は数千~1万単位と週1ペースで同時で数か所で発生しており、王国軍、傭兵団、ギルド隊員そして帝たちも討伐にあたっていた。


シュン達はというと、学園都市から迷宮都市に変更して食堂を開いている。 

金の夜と週末のみ営業の食堂で、今回はカフェはしていない。 


迷宮都市にいる冒険者たちも魔物の討伐にいっており、ダンジョンに行く頻度が激減していた。

そのため、シュンとリンはダンジョンの魔物の氾濫防止の関係から夜な夜なダンジョンの間引き対応をしている。 もちろん、魔界のダンジョン課も対応しているが、シュン達が対応したほうが早いので、ダンジョン課の担当者達は実はこぞって休暇をとっているのである。


◇◇◇

ここは王宮の会議室。 

5大貴族、3大公、魔道国家の王、皇国の教皇、本部ギルドマスター、騎士団長、竜騎士団長が、多発する魔物の氾濫について議論している。


宰相から、今回の多発する魔物に関する調査状況や研究者の見解などを報告していた。

「魔物の氾濫に神獣が関与しているのではないかという歴史研究者の意見もありますが、約2,000年前から神獣の目撃情報がないので何とも言えません。 また、他の歴史研究者の報告によると、約6,000年前に記述が残っている魔王襲撃の際に、度重なる未知の魔物の襲撃があったようですが、それに該当するのかまだ研究者の中でも調査中です。」


「魔王の襲撃って、おとぎ話だったのではという説もありますよ。 それを鵜呑みにするのはいかがかと。」と怪訝な顔をしながら言う貴族。


「フローシア家代々の書庫によると、創世記の記述では、この世界とは別に魔族がすむ魔界があります。 そこの王が魔王となるのですが、今回の魔物と、その際に現れた魔物とは種類が異なるように思います。」


「魔界とか創世記とか、神話のお話ですよね。 これこそ、おとぎ話ですよ」と、魔道国家の王ドミニクの見解を嘲笑うのであった。


「いえ、創世記も魔界も本当の話です。 ギルドにも同一の資料が残っておりますので」と、ドミニク見解を擁護したのは、ギルドマスターのジョンだった。


そう言われてもやはり現実的に信じる事のできない、貴族達は自然と国王のほうを見て見解を求めるのだった。

「確かにお主らのいう通りで信じられん話じゃが、創世記や魔王については、代々の国王にも受け継がれておる。 じゃが、今は魔物の氾濫の話じゃ。」


そう王が言ったとしても、魔界やら魔王などやはり信じられない者が多く、とりあえず魔物の氾濫に関する議論を進めるが結局の所は、継続調査となり、結論は出ないままである。


「当面、魔物の氾濫については、今、各軍、そして、ギルドも傭兵団も帝たち、皆で力を合わせて対応していくしか対策がないという事ですね。 私としては、今回の魔物の氾濫の討伐で最も貢献していただいている全帝様に、最強の称号であるランクXを与えるべきと考えますが、皆さんいかがでしょう?」

そう言って提案したのは、3大公の1人で、ヴィンスの婚約者の1人のうちの親であった。 

「私も、賛成です」というのは、やはりヴィンスの婚約者の1人の親である。

「彼にかなうものはおりませぬ」

「国民の人気も高い。」

と、続々と賛成していく他貴族、騎士団長、竜騎士団長そして教皇だった。


「儂も娘から、ランクXをといわれとるんじゃが、フリークス、フローシアよ、古の盟約については本当なのかのう?」と国王は、このランクXの称号に関して静観している2人を見るのだった。


「古の盟約はお守りするべきかと」

「フローシア王と同じ意見で、私もお守りするべきかと。 国王様、最近墓守の記録は確認はしておりますか?」


「いや、前王も含めてこの30年ほど確認はしておらんぞ」といい、国王は、宰相に告げて、文官に記録を持ってこさせるように伝えるのだった。


国王が記録を待っている間、『古の盟約』について知らない者達は、不思議な顔をしている。

「国王様、その古の盟約とは、何かご説明いただけませんでしょうか?」


「古の盟約については代々王国の王と代々のギルドマスターとフローシア家当主のみに継がれている内容で、教えるわけにはいかんのじゃ。 だが、ランクXについては盟約の一つでな、称号として与えることはできんのじゃ。」と、悩ましい表情になる国王だった。


「「「どういう事ですか!!」」」

そんな、国王の説明に、驚愕し騒ぐ者達だった。


そんな騒がしい状況下の中、30年分の記録の束が、国王の前に積み上られるのだった。 

「静かに! この記録を見てからじゃ。 フローシア、フリークスも手伝ってくれ」


こうして、周りが静まり、国王3人が直々に記録を確認していくのを凝視していく中、ドミニクがある記録の所で手が止まる。 ドミニクが、王とジョンに見せると3人は驚愕な顔をする。


「すまんが、今日の会議はこれで終わりにする。 フローシアとフリークスは残れ。 それ以外は今すぐ出て行ってくれ!」という国王の命令に、皆もの言いたげに不満な顔をするが、命令のため退室していくのだった。


その後、ある日付けの記録を見る3人。

「あの方の縁者がいるという事でいいのか?」

「ええ、国王のおっしゃる通りで、たぶん。 しかも1年も前とは。。 今いらっしゃるのか」と溜息を吐くドミニクだった。


「とりあえず、私は迷宮都市へ。 フローシア様は学園都市を」というというジョンの言葉に、2人頷くのだった。


◇◇◇

一方、ヴィンスに最強の称号を与える事に国王の説得に失敗した、ヴィンスの婚約者の親達は、国民に向けて全帝にランクXの称号を与えるべきと情報操作をし始めるのである。


そして国王は、毎日のように王女や王女の味方につく王妃にもランクXを与えるように進言されるが、「駄目だ」という一言でしのいでいた。


そして、徐々に世論もランクXについての話題で盛り上がるのである。。

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