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外伝 Ⅳ 入れ替わってるぅう!③

☆★☆★ 第4巻 好評発売中 ☆★☆★


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BookWalker 6位!!

紀伊國屋書店 7位!!!


巻数が増えるごとに、ランキングが上がっていってるように感じます。

お買い上げありがとうございます。

週末お出かけの際には、是非書店にお立ち寄りください。


挿絵(By みてみん)

 辿り着いたのは、大きな木だった。


 といっても、単なる「大きな木」ではない。

 人の常識を覆す、もはや1つの巨大な城のようにそびえていた。


 その周りにはまるで人間の王都を思わせるような大小様々な樹木の家が広がり、さらにルヴィアナに似た魔精霊たちが飛び交っている。


 魔精霊たちの住み処と呼べる場所には、清らかな水が流れて、涼やかな音を立てていた。


 同じ魔族圏といっても、魔王城周辺とはまるで違う。

 巨大な森に現れたオアシスのようであった。


「ここが魔精霊の里か」


「里? 都の間違いじゃないのか?」


 さすがのブレイゼルとカプソディアも驚いたらしい。


 ルヴィアナは「こっちよ」と言って、都の真ん中に立つ巨大樹木に向かって行く。





 樹木の根本にそびえ立つ大きな門が開き、一行は入っていく。

 中は空洞になっていて、家臣と思われるものたちが忙しそうに働いていた。


「ふぇ~。聞いちゃいたが、まさか大精霊様ってこんなところに住んでんのか? ブレイゼルの屋敷よりデカいじゃないか?」


「ふん。……不勉強だな、カプソディア。確かに魔族の格に於いては、我々赤竜族の方が上だが、そもそも魔精霊族というのは、精霊の一部が魔族側に与したものなのだ。そして精霊とは――――」


「わかってるよ。人間、魔族(おれたち)、そして精霊族。つまり、第三の勢力ということだ。まあ、俺たちの戦争には不干渉を保ってるけどな。風の精霊以外は……」


「そうだ。そして精霊族の長となれば、その強さは魔王様に匹敵する。だからこそ、魔王城よりも大きな建物を住むことが唯一許されているのだ」


「へぇ~。そいつは知らなかったぜ」


「「お前は、もうちょっと勉強しろ!」」


 あっけらかんというヴォガニスに対して、カプソディアとブレイゼルは総ツッコミを加える。


 その後、一行は誕生日会が行われる部屋へと通された。


『おお!!』


 と思わずカプソディア、ブレイゼル、ヴォガニスの3人は声を上げる。


 元々食堂であったと思われる場所には、如何にもパーティー然とした飾りが飾られていた。奥には「カプソディア&ブレイゼル 合同誕生日会」という文字が書かれた看板が壁に掛かっていて、端の方に「おめでとう!」とポップな文字が添えられていた。


 テーブルにはまだ例の料理は置かれていなかったが、ブレイゼルのイメージカラーである赤のテーブルクロスと、カプソディアをイメージした漆黒の燭台が置かれている。


 人間から見れば、随分とど派手だが若き魔族たちは気に入ったらしい。


「気に入ってくれた?」


「ああ。ありがとな、ルヴィアナ。俺たちのために骨を折ってくれて」


 カプソディアは微笑みながら、素直に感謝の言葉を口にする。

 すると、ルヴィアナは顔を赤くした。


「べ、別に……。わ、私も家に帰る口実が欲しかったし。折角誕生日が重なってるんだから、わいわいがやがややりたいじゃない」


 何度も髪を掻き上げ、必死に照れ隠しをする。


 しばらく誕生日会場で待機していると、唐突にドアが開いた。現れたのは、ルヴィアナにそっくりな見目麗しい淑女である。


 そっくりといっても、放たれた色香というか空気が違う。

 しっかりと根が張った大樹を見るような落ち着きと、開いた胸元から見える豊満な乳房は、明らかにルヴィアナのそれよりも大きかった。


 男性陣は思わず凝視し、ゴクリと息を呑む。


「紹介するわ、私の母。そして風の大精霊ウィンディリアよ」


「「――――ッ!」」


 すべてを悟ったブレイゼルと、カプソディアは素早く膝を折って、平伏する。

 地面に額を付けて、頭を下げた。


 よくわかっていないのは、ヴォガニスだけだ。

 突然頭を下げた幼馴染みを見て、呆然としている。


「何やってんだ、お前ら? ルヴィアナのかーちゃんってだけだろ。おっす! オレ様はう゛ぉがっっっっ!」


 ブレイゼルとカプソディアはおもむろに立ち上がり、揃ってヴォガニスの後頭部を掴んで床に叩きつけた。


「お、愚か者が!!!!」


「アホ! お前、俺らのさっきの説明を聞いていたのか? 鳥頭かよ!!」


「風の大精霊――すなわちこの方は魔精霊族の長にして、我ら魔王様に匹敵する地位にいらっしゃる方なのだ!」


「魔王様?」


「お前にわかるように言うとだな。魔精霊族の魔王様ってことだよ」


「へぇ……。そいつはすげぇなあ」


 ヴォガニスはのんびりした声を上げる。


 ルヴィアナは頭を抱える横で、細い指を口元に当てて笑っていたのは、ウィンディリアであった。


「あらあら……。そんなに畏まらなくてもいいですよ。わたくしも今や魔王様に忠誠を誓う身。あなたたちと一緒なのですから」


「滅相もございません、大精霊様」


「お目にかかれて光栄です」


 さすがにカプソディアと、ブレイゼルは礼節を弁えていた。


「ふふふ……。でも、初めてというわけではないのですよ。ブレイゼルくんが生まれた日には、わたくしも赤竜邸にいたのですから。今でも可愛いですけど、あの頃はもっと可愛かったですねぇ」


 昔を思い出し、ウィンディリアは目を細める。

 しかし、ブレイゼルには寝耳に水だったようだ。

 まさか生まれたばかりの時に、魔王と比肩する存在と会っていたとは、さすがに予想外だったのだろう。


「ブレイゼルが可愛いねぇ。信じられないなあ」


 横でカプソディアが疑いの眼差しを向ける。


「馬鹿者! 赤子の我だぞ。可愛いに決まってる」


「ええ。とっても可愛かったわよ。いきなりわたくしのことを焼き殺そうとしたりしてね」


「ちょ! ホント? 母さん!?」


「てめぇ! 大精霊様に何をしてるんだよ、ブレイゼル!!」


「し、失礼しました!!」


 さすがのブレイゼルも深々と頭を下げる。


 その姿を見て、ウィンディリアはまたくすくすと笑った。


「別にいいのよ。子どもがやることだし。まあ、その後わたくしが風で吹き飛ばしましたけどねぇ」


「何をしてるのよ、母さん!!」


「だって~、子どもの教育は早い方がいいっていうでしょ?」


「破天荒すぎてついていけねぇわ」


 その後、ブレイゼルは栄養失調になりかけていたところをギリギリで救われたという。


「カプソディアくんは…………」


「え? 俺もなんかあるんスか? いや、あるんですか?」


「う~~~~ん。どうしよっかなあ。……ま、いっか。今は秘密にしておきましょ」


 一瞬、ウィンディリアは意味深な瞳を向けるが、すぐに元の笑顔に戻った。

 カプソディアはもう少しツッコんで聞きたかったが、その前にウィンディリアに誤魔化されてしまう。


「さあ、早速誕生日会を始めましょう。お料理持ってきてくれる~」


『料理!?』


 男性陣一行の試練の時がやってきたのだった。


拙作『公爵家の料理番様』が重版しました。

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挿絵(By みてみん)

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