傘持ち
雨が降りそうで降らない。
でも、降るかもしれない。
どっちなんだろう。
傘を持つのは面倒だな。
どっちでもない空を見上げて、
小さなビニール傘を持って、
コンビニに行った。
店の傘立てには、何本かの傘が、
無造作に入っていて、
忘れられている物もある気がした。
傘って、不憫だな……
やっぱり降らない空を見て思った。
このビニール傘だって、
邪魔なものだと思われながら、
しょうがないと思われながら、
買い物につき合わされたんだ。
小さいながらも、
ずいぶんと助けてくれた傘なのに。
買い物を終えて、帰る途中、
少し降ってきた。
僅かな距離だけど、
丁重に、そのビニール傘を
差して歩いた。