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勇者を継ぐ者  作者: 本城達也
オストルン大陸冒険へ
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クロエの水泳教室(3分間)

「うわぁこれが海かぁ!目の前でみるとすごく綺麗だね!波が気持ちいいや!」



「ここからずっと北に行ったところの海はグレートコーラルリーフ(巨大な珊瑚礁)って言って、サンゴっ

 ていう色鮮やかな宝石みたいなものが海の中にたくさんあってとても綺麗な海で有名なのよ。といっても私も見たことないんだけどね」



「へぇー!海にもいろいろあるんだね!

 あっ!あれは何!?あの人、海の上に乗ってるよ!すごい!もしかして魔法!?」



「ふふ。あれはサーフィンっていうものなの。板を浮かべてその上に乗ってるだけで魔法で浮いてるんじゃないのよ。あとでやってみましょ!

 でもその前にタズは泳げるようにならなきゃね!」



「うん!お姉ちゃん泳ぎ方教えて!」



「うっ・・・そ、それは・・・。

 この浮き輪っていうのをかぶれば身体が浮くからあとは足をばたつかせるだけよっ!簡単よっ!」



「うふふ・・・」



「な、なによ、クロエ・・・」



「イリアちゃんってば、凄く物知りのお姉さんぶってたのに、泳げないんてかわいいーーー!」




「えっ!?お姉ちゃん泳げるんじゃなかったの?」




「うう・・・

 ごめんね、タズ・・・・・・。

 私、本当はちゃんと泳いだことないの・・・過保護なおじいちゃんが浮き輪つけてしか泳がせてくれなくて・・・」



「そうだったの?ならちょうど良かったね!一緒に泳げるようになろうよ!クロエよろしくね!」




「うふふ

 二人の指導は私に任せなさいっ!」



「うん・・・タズ、ありがと!

 本当に良い子ね!」

 


 こうしてクロエの水泳教室がはじまったが、悲しいことに二人共クロエが見本で泳いで見せただけで、見よう見まねで泳げるようになってしまったため、クロエの水泳教室は約3分間で閉鎖となった。




「(ほんとに2人ともいろいろな意味で別格ね・・・私、教える意味あったのかな・・・?)」




 ついにはサーフィンまでやり始めた二人を浜辺から見ながらクロエは小さなため息をついた。




(はぁ・・・やっぱりタズくんたちは勇者様なんだね。二人ともちっちゃくて可愛いけど、グレン様から直々に指導を受けているだけあって私とは・・・ううん、普通の人とは運動神経もセンスも全然違う・・・。泳ぎを教えてカッコいいところ見せて振り向いてもらう作戦が台無しだよぉ。

 てゆうかサーフィンしてるタズくんカッコイイよぉ・・・

 私ばっかり惚れ直しても意味ないよぉ・・・)




 クロエたちの周囲のすぐ側には他に人は誰もいないが、それはこちらを気遣って近寄って来ていないだけで、大勢の人たちがこちらを遠目から見るために集まってきているのがわかる。



 そうして集まってきていた人々の構成は、はじめは美少女2人に目を引かれて男性が大勢集まってきていたが、今見ると、その男女比は1:1くらいに近づいてきている。



 勇者二人の姿は老若男女の足を止めさせるが、あの無邪気で可愛い少年の姿に女性陣の反応が特に凄い。傍から見てもあの少年からは眩しいくらいのオーラが出ており、ただの無邪気な少年ではないのがわかる。一度目に留まってしまえば、成長していく少年の姿から目が離せなくなるのだ。



(タズくんが成長してもっとカッコよくなっちゃったらホントにどうなっちゃうんだろう・・・)



 クロエは浜辺からタズを見ながら未来を想像して再び不安な気持ちになるのであった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・





「クロエー!サーフィンってすごく気持ちいいよー!クロエも一緒にやろうよー!」


「ごめん!私、サーフィンできないの!

 もう2人とも!先生を超えるの早すぎ!」


「クロエ、ごめんね!勝手に楽しんじゃって。

 ボクがコントロールするから一緒にボード乗ってみよ?」


「えっそんなことできるの?」


「ちょっと魔法でズルするけど全然行けるよ!ボクにしっかり捕まってね!」



 クロエはタズに言われるまま、タズの腰に腕を回して後ろから抱きつくと、タズは水魔法で海面の表面を固めて足場を作り、その上にボードを敷いてクロエと共にボードに乗り、魔法で作った紐を使ってしっかりと2人の両足をボードに固定した。そして、そのまま水魔法を行使してボードを浮かし、風魔法で空気をコントロールして、海の上を滑りだした。



「すごい!ボードが勝手に動いてく!これが魔法使ったサーフィンなのね!海の上に立ってるはずなのにすごく安定してる!不思議!」


「でしょ!どう気持ちいいでしょ?」


「うん!(しっかりと抱きつけちゃうし)最高よ!!」


「あっ!タズってば魔法使ってボード乗るなんてズルいわよ」



「お姉ちゃん!これはこれで楽しいよ!お姉ちゃん!向こうに見える小島まで競争しようよ!今日の魔法勝負、いいでしょ?」



「うーん・・・確かにちょうどいいし、仕方ないわね。

 今日の勝負はこれにしてあげる。

 水と風はタズの得意魔法だけど、そんな重り(脂肪の塊)を背負ってたらお姉ちゃんには絶対勝てないってこと、教えてあげるわ!」



「ちょっとイリアちゃん?重りってなあに?

 それにあんな遠くにある小島なんていくらなんでも遠すぎて無理よ」



 タズたちが指摘している島はここからでは米粒ほどにしか見えないほどのもので、明らかに100km以上は離れている。ちょっと行こうと言って行ける距離には見えなかった。



「「私たち(ボクたち)なら大丈夫だよ!」」



 恐ろしく遠くにある小島を目指して競争をしようとする様子にクロエは不安に思ったが、タズが「絶対大丈夫だから、絶対楽しいよ」と強く言うので一抹の不安を感じながらも参加することにした。あんなに遠くまで行くことについて保護者はどう感じているのかと思い、アルフレッドの方をチラッと見るも、アルフレッドはイリアが一緒にいるなら絶対大丈夫だといった顔をして「イリア様、がんばれー!」などと手を振って応援している始末である。



「(まったく、あのロリコン、保護者失格ね・・・私とタズくんの方を応援しなさいよ。

 帰ったらあの緩んだ顔を絶対しばいてやるんだから)」



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