第2話 始まりは唐突に
題名を考えるのって難しい。
席に着くと、隣の席から話しかけられた。
金髪イケメン天威霧邦。運動神経の塊のような奴で、間釣の親友だ。
「また遅刻か?本当は間に合うのに。」
「うっせ。」
言い返す。
「本当よくそんなに眠れるよね〜」
今度は後ろの席だ。眼鏡の似合う黒髪藍園基延。頭脳明晰だが、話し方がチャラい。親友だ。
「誰にも俺の睡眠時間を削ることはできないんだよ。」
言い返す。他愛もない話を続けていると、授業の始まりを告げるチャイムが鳴る。
禿頭の社会教師、雅田陰推は世界統一機構の話をする。
「世界統一機構とは、国家の暴走を止めるために国家の管理が必要ととなええた先代機構長により設立された組織だが、分裂戦争後の今では実質世界を支配していると言っても過言ではない。皆もWUOと言ったらわかるだろう?」
分裂戦争。スターク帝国という国で起きた革命をきっかけとして世界が2つに分かれ争った史上最大かつ最悪の戦争。間釣の父はその戦争でWUO側の兵士として戦ったらしい。
間釣は父が
「先代の機構長は立派な方だったが今の機構長は金と欲にまみれた下衆だ。」
と言っていたことを思い出した。そう、それは忘れもしないあの日…
その日、間釣がポストから持ってきた手紙の中身を見て父は血相を変えた。そこに記されていたのは全世界でヒーロー活動禁止法という法律が制定される、という内容だったらしい。
父はその晩誰かとずっと電話をしていた。そして朝起きると父は置き手紙を残し帰ってくることは無かった。
間釣が物思いにふけっている間に授業はだいぶ進んでいたらしい。禿頭の教師はWUOの闇について話しているらしい。
「帝国は人権を無視した改造人間を作り上げ、それに反発した帝国の一部の人間が革命を起こしそれにWUOが同調し、分裂戦争が起きた訳だが戦争末期にはWUO側も改造人間を実戦投入したという噂があるんだ。つまり、人間を超える力を持つ者の活動を制限するヒーロー活動禁止法は…」
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン
爆音が轟いた。
次話で話が少し進むのでは?と思っています。