第1話 日常
現役高校生、跡野間釣の朝は遅い。
今日も例のごとく寝坊し、寝癖を直そうともせずに家を飛び出ていった。
「絶対遅刻だろ」
と呟きつつも走るのをやめない。
走ること5分、ついに巨大な建物の前に辿り着いた。私立ヘルド学園高等部。日本唯一の私立学校。
そこでようやく走るのをやめ、門の前に立つ守衛とおぼしき人に
「1年B組の跡野です。」
と話しかけ、カードのような物を見せた。守衛は無言で門の前からどき、間釣はまた走り出した。
1年B組の教室は2階にある。
階段を駆け上がり教室に駆け込んだ。
とたんに教室中が笑いにつつまれた。間釣は若干ムスッとしながらも教壇に立つオールバックの黒髪に白髪がちらほら見える壮年の男、和光道仁に話しかけた。
「寝坊しました。」
「その言い訳は聞き飽きたわ。もう通用せん。」
また教室が笑いにつつまれる。
「本当ですって!」
「どちらにせよ遅刻だ。進級する気あんのか。」
「ありますよ。」
「まあ良い、席につけ。」
「はい。」
間釣は不服そうな顔で自分の席へ行く。
また今日も長い1日が始まる。
初投稿です。至らないところなどあるかもしれませんが楽しんでいただけたら幸いです。