「短編」形式と「連載」形式
・はじめに。
「小説家になろう」で小説を投稿するとき、投稿形式をかならず選ばなければならない。
「短編」か「連載」。
ここでは、この形式の違いをどう解釈して使い分ければよいか、私の思うままに書いていこうと思う。
従って、あくまで投稿形式としての「短編」「連載」であって、本来の言葉の意味について考えるものではない。
ってことだから、よろしくね。
・基本は「短編」
「短編」と「連載」では、短編のほうが圧倒的に書きやすい。特にはじめて小説を書く場合など、「短編」を選択するのが無難だと思う。
なぜなら、全体を見渡すことが容易だから。
「連載」形式にしてしまうと、物語の流れを確認するのにいちいち各話を開かなければならず、面倒くさい。
また、思いついた展開を順々に書いていくことで、ただ出来事を時系列に沿って並べていくだけの平べったい小説にもなりかねない。
また、物語を細かく分割しすぎると、それぞれに意味を持たせるのに苦労する。「この回では○○がテーマで、それからこの回は……」そんなことをやっているうちに、書いている自分自身が全体像を見失ってしまう。
対して、「短編」形式であれば、書き終えてから一度に全文を投稿するため、全体像を見たうえで内容を確認して投稿することができる。
そこで引っかかる箇所があれば手直しをするわけだが、第○話という垣根のないほうが、より楽に、大胆な直しができる。
まー、そんな感じ。
要は、「短編」形式のほうが、シンプルで書く側として楽だよ、ってこと。
・「連載」のメリット
基本は「短編」。ならば、わざわざ「連載」形式を選ぶためには、それなりの理由がなくてはならない。
そこで、「連載」形式のメリットを挙げていこうと思う。はじめにも述べたが、ここではあくまでも投稿形式としての「連載」について考える。
まずは、読者が一話ごとに「しおり」を挟めるという点だろうか。
長編の場合は特に、区切りのいいところに「しおり」を挟めるというのは読者としてありがたい。
また、「しおり」を挟んだ部分から読書を再開するときに、目次やサブタイトルがあることによって、読者自身が物語の内容を整理しやすくなる。
次に、一話ごとに小テーマや起承転結を作ることができるという点。
もちろん、「短編」形式であっても「一、……」「二、……」と分けることは可能だが、前述の「しおり」機能や目次があることを考えれば、「連載」形式のほうが効果的なのは明らかだろう。
一話ごとにページが変わることによって、視覚的にも一話のまとまりがわかりやすい。
そして、伏線。
各話に分かれていることによって、完結後でも何回かに分けて読む読者も多いだろう。その際、「◯話の伏線が△話で回収される」という構造が活きてくる。「以前読んだあの部分は、こういうことだったのか」と気づいて、前の話を読み返す読者もいるだろう。続けて読むにしても、ページが分かれていることによって、読者は自然と「次の話(前話に続く出来事)」という意識で読み始めると思う。そのなかで、前話(あるいはもっと前の回)につながる事象が出てくれば、読者はわくわくするものだと思う。
これは重要な点だ。
逆を言えば、この点、つまり、「伏線」と「回収」によって各話に連続性を持たせられるという点をうまく使えば、前述したという問題は解決され、それだけで「連載」形式が充分活かされているといえる小説が書けるのではないかと思う。
先に「思いついた展開を順々に書いていくことで、ただ出来事を時系列に沿って並べていくだけの平べったい小説にもなりかねない」と述べたが、裏を返せば「連載」だからといって順々に考えていく必要はなく、「伏線」「回収」のプランが先にあれば、立体的な読み応えのある小説にできるのだ。
ここまで書いて思いついたが、「連載」形式を効率的に使う場合、一話ごとに分けて書くのではなく、できたものを後から各話に分割するというやり方が最も賢いのかもしれない。
というか、拙作『アランとカトリーヌ』のときはそれをやってたわ……。
・終わりに。
……は、なしでいいよね。
じゃあ、また。ごきげんよう。