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#10「排出率に気をつけろ!」

「よしガチャだ」

「はい……? これはどんな物でございますか?」


「一種のギャンブルだ。 対価を支払い、ランダムな何かを得る」

「なるほど、でございます」


「大半はハズレだがアタリだと凄いアイテムがゲットできるはずだ」

「悪魔のような儀式でございますわ」


 あながち間違ってない。

 世の中、ガチャで人生狂わす人だっているのだ。


「そのコインのマークに触れてみてくれ。 何か説明が出てくるはずだ」

「かしこまりました……まあ、本当『毛根ガチャ』という文字が――」


「はい、解散!」

「えええ!」


 ………


 ……


 …


「……あの、マサト様」

「ん? 何かねファルフナーズ君、金属バットさんの次に強い俺に何か?」


「よろしければ、無知蒙昧なる私に説明をして頂けませんでしょうか」

「――~~……ッ! 仕方無い。 説明しよう」



「要するに俺の毛根を代償に捧げて、何か冒険に役立つアイテムや装備をもらうというシステムだ」

「まあ、殿方でしたら髪の毛くらい医者に見てもらう手間が減ってよろしいのでは」


「医者?」

「はい?」


 なんかまた翻訳ミスかな?


「ファルフナーズ、髪の毛じゃない。 毛根だ」

「はあ……何か差がありますので?」


「大有りだ。 髪の毛は次々生えてくるが、毛根は髪の毛の根っこ。 一度死んだら二度と髪が生えない」

「まあ! つまり……禿――」


「言うな。 みなまで言うな」

「これは失礼しましたわ」


「俺も20歳を迎えた男、まだまだフッサフサだがこれは一生モンの話だ」

「お、恐ろしい事態ですわ」


「これがファルフナーズの髪だったら遠慮なく全ぶっぱするんだが」

「マッ! マサト様ー!」


「あれ? 姫巫女って髪の毛全部剃らないの?」

「剃りませんわ! マサト様の世界の巫女は剃ってしまわれるのですか?」


「いや、巫女じゃなくて一部の僧侶の話だけどな」

「なんと無慈悲な……確かにトリピュロンでも男僧は剃髪する宗派もありますが」


「じゃあファルフナーズの代から女性の巫女も全員剃髪するって事で」

「わっ、私の一存では決められませんっ!」


 ……


 …


「おやりになりませんのですか? このガチャという物ですが」

「悪い未来しか見えてこないからなあ」


 無視を決め込んではいるが、ファルフナーズがチラチラとこちらを見てる。


 畜生、興味津々でたまらないって顔だ。

 だが俺は心を鬼にしなければ。


 なぜなら髪の毛の性質は遺伝による所が大きい。

 そしてマイ・ダディは……禿――いや、とても薄いのだ。


 だから俺もいまから気をつけている。

 丁寧に毛根をいたわり、少しでも母親の血筋が濃いことを祈るのみだ。


「でも説明文に初回特典無料、とありますが」


 …


「分かった、1回だけな?」


 ま、無料なら仕方ないよね?

 俺の意思が弱いわけじゃないからね!


 タダより安いものは無いのさ。


「一応、説明文を一通り読んでからにしよう」

「はい。 毛根ガチャ、毛根を300本捧げる毎に1回引ける。」


「ふむふむ」

「排出される品物はグレードの低い順に、コモン・アンコモン・レア・ベリーレア・スーパーレアとなっており、☆の数で1~5と表される事もある」


「現在の最高レア(スーパーレア☆5)は伝説の勇者剣無限ソード」

「まあ絶対出ないだろうな」


「ええと、剣でありながら無限に伸びて狙いを絶対外さない必中の剣、だそうですわ」

「フーン……排出比率の設定は書いてある?」


「いえ、記述は以上で他には書いてありませんわ」

「そっか、まあ確率が分かるほど引いたら完全に禿げ上がるからな」


「よし、初回特典無料、回してくれ!」

「かしこまりましたわ!」


 ファルフナーズが人差し指で空中に触れる。


 突如俺の頭上が光り、現れた謎のドラムが回転し始めている。


 ピタッ!


『コモン』


 平べったい板のようなものが俺の頭上に降り注ぐ!


「危ねっ!」


 身をよじって回避した。

 もっとゆっくり出せよ!


「ほらなー? ガチャなんて良いモノがそうそう出るわけないんだ」

「残念ですわ」


「で、これ何だ? ただの扉に見えるが」

「あっ 説明文が見えます。 ええと、コモンアイテム:どこでも扉――」


「ただのドアじゃねえか! 何か特殊な能力でもあるのか、ファルフナーズ開けてみてくれ」

「はい。 ……普通のドアですわ」


「ニトリかドイトで普通に買える代物だな」

「あっ、アイテムの追加詳細説明文がありますわ」


「お? 何だー?」

「重量0、サイズ変更可能なダンジョン・オープナー必携の便利アイテム、だそうですわ」


「ふーん……あ、ホントだ。 軽いし両端を持って引っ張ったり狭めたりするとサイズが変わる」


 最小で週刊誌程度の大きさにまでなるようだ。


「便利っちゃあ便利だけど……まあリセマラ作戦の時に歩き回る手間が少し減る程度だなー」

「思ってたより地味でしたわ」


「ガチャなんてそんなもんさ」

「また次がありますわ!」


「ねーよ」


 ガチャ業者の回し者か!?

 実は俺の毛根を狙うヘアー・アサシンなのか!?


 用心せねば、用心。


「まあ! マサト様!」

「何だ!」


「ラッキーチャンス、次回ベリーレア以上確定、だそうですわ!」


 その手に乗るか!


 ………


 ……


 …


「い、一回だけな?」

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