魔王荘廊下
無駄に長い廊下をサラの後ろを追うように、ついて行くと酷い惨状が目につく。
所々に鎧、それも剣を構えた鎧がうろついて歩いているのが分かる。
しかし中にはひしゃげた鎧、黒焦げになっているもの、壁に叩きつけられたのかヒビが入った壁にもたれかかったように倒れているのも所々で見受けられる。
「……あの馬鹿が」
只でさえ修繕費がピンチな状況だというのに……あの野郎は‼︎
頭の中でぐるぐると考えが回り始める、無論、お金のことだ。
「申し訳ございません、達也様。侵入者を止められなかったせいでここまでの被害が」
さらっと凄まじいことを言うサラ。
「は?侵入者?!」
「はい、侵入者です。勇者と言った方がいいかもしれませんけど」
何事もないように言う、サラの横に慌てて駆け寄る。
「おいおい、大丈夫なのかよ!あいつは!」
「そんなに慌てなくても大丈夫ですよ、落ち着いて下さい」
「いや、落ち着いてられるかよ!あいつに何かあったらどうすんだよ……」
そこで、疑問が一つ生まれる。
「てか、勇者は魔王の方に行ったのに何で見張りしてたんだ?」
サラは正直なとこ相当強い。並大抵の強さではなく、
偶に魔王退治ということで、勇者が来ることもあるが、必ずと言っていいほどサラに倒され病院送りにされている。
並の勇者では相手にならない強さだ。
そんな、彼女が勇者をみすみす魔王の方に送るとは思えない。
その答えは簡単にサラの口から出た。
「勇者様はどうやら魔王様のご友人らしく通してもいいと言われたので通した次第です。そして、魔王様から達也様……大家さんが来ないようにしてくれと言われたので見張っていた訳です」
「なるほど」
それなら、少しだけ分かる。少しだけだが。
「なぁ?その魔王の友人が歩いた後はこんなことになってんだ?爆発音もするしよ」
「それは、私には分かりません。何故でしょう?」
本当に分からないらしく少しだけ困惑した顔をする。
「大体、その勇者ってのはどんな奴なんだ?」
「そうですね、利発そうで可愛らしい女の子でしたね……年は魔王様と同じぐらいでしょうか」
「そんな子がこの惨状を作り出したのかよ」
どういうことなんだよ、さっぱり分からんぞ。
「まぁ、魔王様のことですし、何かあるのかも知れません。心配するほどのことでもないかと、ここでやられている鎧人形も弱いやつばかりですし」
サラの足元近くに転がっている鎧の頭を手に取りながらそう言う。
「それに、魔王様本人から聞いた方が早いかと思われますし、どうぞ、こちらです」
そうして、この城の一番奥の馬鹿デカイ扉の前に着いたのだ。




