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魔王さま、トラブル発覚!

今日は遅くなってしまいました……

本日もよろしくお願いします!

 フリーゼルの街にたどりついたが、中に入ろうとしたときに、門番に呼び止められた。


 「な、ブラックウルフだと。君たち、危ないから下がりなさい」


 どうやら、私たちが連れてきたブラックウルフたちに怯えているようだった。

 それもそうだよね。

 ティルミちゃんを見てわかるように、人間って、魔物を危険視しているようだしね。

 そんなのが街の入り口に来たら、誰だって慌てるよ。


 「すいません。私、商人のティルミっていうんですけど」


 「ああ、君は、ここを拠点として働いている商人だったね。危ないから下がっていなさい」


 「いえ、この子達は大丈夫なんです」


 「それは一体どういうことだ」


 「それが……」


 何か言いにくそうにしながらも、ブラックウルフたちが、ティルミちゃんに懐いてしまったことを説明しているみたい。

 もしかして、ブラックウルフたちのように、魔物を仲間にしている人間がいるのかもしれない。


 「なるほど、そういうことか。だったら、この首輪をつけて中に入るといいよ。あとで、ちゃんと登録するんだよ」


 「はい、わかりました!」


 「登録って何?」


 「登録っていうのはですね、テイムした魔物をギルドに登録するんです。この子達は安全だよって証明になるんですよ。問題起こしたら、登録者である私の責任になるんですが……」


 私はブラックウルフたちを見てみる。

 ティルミちゃんのことを、本当に信頼しているみたい。

 いや、あのビスケットの魔力にやられただけかもしれないけどね。

 でも、これなら大丈夫そうだね。

 ティルミちゃんのせいで問題は起こらないよ。

 もし問題を起こしたら、私がこれを処分しよう。

 あれ、私の考えを読み取ったのか、若干怯えているブラックウルフたち。

 大丈夫、問題を起こさなければいいんだよ


 「よし、君は中に入っていいよ」


 「あれ、私は」


 「君は、フリーゼルに来るのは初めてだよね。身分証を出してもらわないと」


 身分証?

 私、そんなもの持っていないよ。

 どうしよう。

 中に入れないかもしれない。


 「もしかして、持っていないのかい」


 門番が、私を怪しげな目で見てくる。

 持ってないよ。


 「おかしいな。共通界でうまれた者は、生まれたときに身分証を発行されるんだけど」


 「あ、私は魔界生まれなので。最近、共通界に来ました!」


 うん、これは嘘じゃない。

 いや、若干嘘が混じっているけどね。

 本当は、数千年ぶりに復活した魔王だからね。


 「魔界……君は人間か?」


 「私は悪魔だよ」


 「「え、」」


 あれ、ティルミちゃんも驚いているよ。

 そういえば、私が悪魔だってこと、ティルミちゃんに言っていない気がする。


 「本当に悪魔なのかい。私は悪魔を見たことがないからわからない。どう見ても人間にしか見えないのだが」


 「でも、身分証なんて持ってないよ。どうすればいいのかな?」


 「これは困ったな。天界の神様たちは、教会に降臨なされるので身分証も必要ないし、前例がない。どうしたものか……」


 「あの、ベルゼさんって冒険者なんですよね?」


 「え、違うけど」


 「そ、そうなんですか!。どうしよう。私、冒険者じゃない人に護衛をお願いしちゃった……」


 「それって何か問題になるの」


 「問題ですよ。魔物と戦う仕事は危険なので、冒険者か騎士、傭兵みたいな、戦うことを生業としている人しか頼んではいけないんです。襲われた私を助けてくれたみたいだったので、てっきり冒険者かと……」


 「もしかして、私にお願いした事が罪になったりするの」


 「……はい。私、つかまっちゃうんでしょうか?」


 ティルミちゃんの顔がどんどん暗くなる。

 けど、私もそんなこと知らなかったし、しょうがないじゃん。

 門番に聞けば……

 うん、門番も悩んだような顔をしているよ。


 『ベルゼ様。ここはベルゼ様が冒険者になればいいんじゃないですか?』


 おお、ベルフェ。ナイスアイディアだよ。

 でも、街に入れないんじゃ冒険者にもなれないんじゃ……


 『冒険者登録すると、冒険者カードなるものをもらえます。あれって、一種の身分証ですよ。それに……』


 それに、何?


 『お金がないベルゼ様は、街に入っても遊べません。冒険者として働けば、お金が入って、街で遊べて、よいこと尽くめです!』


 おお、なるほど!

 でも、あれ?

 魔法でお金を作っちゃえば、働かなくても……


 『それは私が許しません。お金なんか作ったら、お金の価値が下がったりして、世界規模で大変なことになってしまいます。それだと、楽しく遊べませんよ。私とベルゼ様の、楽しい時間が得られなくなってしまうので嫌です』


 あっそ。

 でも、お金を作るとバランスが崩れるねぇ。

 それじゃあ、作ることはできないよ。

 よし、冒険者になろう。


 「二人とも、ちょっといいかな?」


 「なんですか……ベルゼさん」


 「ん、何かいい案でも浮かんだのか」


 「うん。私を街に入れてよ。冒険者になるから。私が冒険者になれば、全てが解決するんじゃないの?」


 「なるほど、冒険者カードは身分証になる」


 「私が、報酬を払えば、冒険者に依頼したことになる?」


 「これですべてが解決だ!」


 「よし、それで行こう。冒険者ギルドまでは、俺が案内しよう」


 「わ、私は商業ギルドに用事があるので、そのあと冒険者ギルドに行って、報酬を渡します。そのころには、冒険者になっていますよね?」


 「ふふ、なっているに決まっているじゃない」


 私、いやベルフェが考えたプランで行くことになった。

 いやー、大規模情報処理システムのベルフェを作って正解だったよ。


 ということで、私はフリーゼルに入ることができた。

 街に入ってすぐにティルミちゃんと別れちゃったのは寂しいけど、やることはやらないとね。


 門番に案内してもらい、やってきました冒険者ギルド。

 案内が終わった門番は、自分の持ち場に戻るといって去っていった。

 冒険者カードはあとで見せに来いって。

 門番としての仕事があるんだから仕方がないか。

 よし、ちゃっちゃと登録して、お金稼いで、お腹いっぱいビスケットを食べよう。

 ああ、ビスケットのことを考えたらよだれが……

 ふふ、ちょっと楽しみが増えた気がする。

 よーし、頑張るぞ!

 私は、冒険者ギルドの扉を勢いよく開けて、中に入った。

読んでいただきありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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