魔王さま、少女を助ける
本日も投稿できました!
よろしくお願いします。
「はは、なんでガキがいるか知らねえが、バカみたいだな」
「同感だぜ! こんなところで助けなんてこないのによ。パパはどこでちゅか~ ぎゃはははは」
「そ、そんなことより、この二人をさっさと食っちまおうぜ。それからでも遅くないんだよな」
下衆い笑みを浮かべて、二人の男が近づいてくる。
もうひとりの男は、馬車にいる女の子を縛り付けて、辱めようとしていた。
あいつら、魔王である私を目の前にしてなんでこんなに余裕なのかな?
もしかして、私が悪魔だって気が付いてない?
数千年ほど封印されてましたけども、力の差ぐらいわかるでしょ。
人間が悪魔に勝てるわけないんだから。
ま、私の時代を考えたらそうなんだけど、今はよくわからない。
だって、悪魔の総体数、数十体だった気がするしね!
ベルフェ調べだから、どこまで正しいのかわからないけど……
とりあえず、あの女の子を助ける事が優先だよね。
そして、お礼に人里まで道案内とかしてもらおう。
早く、この世界を楽しみたいもん。
必殺魔法、空間移動!
敵の背後にやってきちゃった。
ちらっと女の子の方を見てみる。
服は無残に破られていたが、まだ何もされていないらしい。
叩かれたのか、ところどころ痣になっているみたい。
顔には涙の後が残っている。
女の子が感じた恐怖が感じ取れるぐらい悲惨な姿だった。
悪魔の私が言うのもなんだけど、ちょっとかわいそう。
これは、急いで解決してあげないとね!
とりあえず、一本、ポキッといっとこう!
「ぎゃあああああああああああ」
女の子を辱めようとしていた男の腕を一本折ってやった。
腕一本ぐらいで喚いちゃって。
ほら、もっと折っちゃう………あ、失敗した。
指から徐々にやってけばよかった。
これは、拷問の基本を学び直さないといけないかな?
でも、散々やったからな~
今更、人間の絶叫とか見ても面白くない。
私は、もっと楽しいことがしたいのだよ!
冒険者諸君。
君たちには悪いけど、即刻退場してもらおう。
『ベルフェ・ゴール。魔王ベルゼ様に強制アクセスしちゃいます。ベルゼ様、それを殺してはダメですぅ』
ん、ベルフェちゃん。
怒っちゃったかと思ったから、アクセスしにくかったんだけど……
『親愛なるベルゼさまを、あれぐらいで軽蔑しませんよ。それは置いておいて。いいですか魔王さま。今の世界は平和なんです。こんな犯罪者でも、ベルゼ様自らの手で殺すとベルゼ様が犯罪者になってしまいます』
あれ、それって自分の手を汚さなければ殺してオッケーってこと?
『まぁ、そういうことになりますね。人間が作った意味不明なルールの一つです。自分の手は絶対に汚してはならないってルールがありますから。ちなみに、汚してというのは殺人などの犯罪を示します。私、役に立ってます?』
あーうん。役に立ってるよ。ちょっとうざいけど。
でも、そっか。魔物に殺させるのはありなんだなー。
『それは、罪人の処刑方法として使われている方法になります。それまで、罪にしてしまうと、犯罪者を死刑にできなくなりますから……』
罪人を裁くのに魔物を使うって……
なんとめんどくさい世界になったものか!
さっきから、泣き喚いているだけの冒険者。
そして、腕の様子を見て青ざめる二人の冒険者。
いきなり腕を折る少女がいたら、青ざめるのも無理ないか。
でも、ちょっと鬱陶しいな。
「て、てめぇ。俺の仲間になにしやがる」
「骨を折っただけ。たったそれだけじゃない。それぐらい普通よ!」
「これが普通なわけあるか。お前みたいな奴が、こんなことを簡単にできるわけがない!」
「なんでそんなことが言えるのよ」
『それは、私が解説しましょうベルゼ様。私的にもうちょっと構ってほしいので!』
ベルフェ、構って欲しいの?
『それは、もちろんです。だから、私に説明させてください。お願いします!』
仕方ないなー。
それじゃあ、お願いね。
『共通界にいる人類で、腕の骨を簡単に折る腕力を持つ種族は獣人ぐらいです。神でも腕力のみでは無理でした。それに対しベルゼ様の体は、人間っぽく、それも子供レベルの体型です。その体型で骨なんか折ったら、誰だって驚きますよ』
悪魔的には普通なんだけど、悪魔意外だと違うみたいだね。
一般常識の問題かな?
さっき、ダウンロードし忘れちゃったようだね。
後で、再ダウンロードしよう。たぶん忘れると思うけど……
それはそれとして、魔王であることは隠しておかないね。
あまりやりすぎると、この世界で遊べなくなっちゃう。
それは、私にとって大きな問題なのだよ。
娯楽は何よりも大切なこと。そして、暇は最大の敵だ!
娯楽がないと、暇すぎて生きていけないよ!
「畜生、畜生。なんでこんなガキに」
「こいつは、殺すしかないな」
あれ、ベルフェちゃん?
殺人は、犯罪じゃないの。
この人たち、私の事を殺そうとしているんですけど?
『この人たちは、犯罪者なので関係ないんじゃないですか? ちなみに、犯罪者でも、殺した人は罪に問われます』
なんてロクでもない世界だ。
いや、逆に考えて、こういう世界だからこそ面白いものがあるに違いない。
ふふ、楽しみだな~
冒険者……もといい犯罪者たちが、私に襲いかかって来る。
いい度胸だよ、本当に。
神から奪った魔法【クリエイト】の出番かな?
上位神から【暴食】の力で奪った概念魔法【クリエイト】
構造さえ理解していれば、なんでも作ることができる最強の魔法だ!
ただ、本当に細かく分かっていないとつくることができない、使い勝手の悪いやつ。
『ベルゼ様。その魔法は下手に使うと世界のバランスが壊れるので、私がダメって言ったものは作らないでくださいね』
大丈夫。
私だってそのぐらいわかるよ。
それより、今欲しいのはロープかな。
『ああ、なるほど。あれを吊るすんですね。ロープの構造をベルゼ様にロードさせます』
きたきた、ロープの構造情報が来たよ。
これで、魔法の準備は整った。
「創世魔法【クリエイト】」
魔法を使った瞬間、空間が歪んだっと思ったら輝きだした。
なんかあれだね。
神様が使う魔法だけあって、無駄に派手だね。
そして、私が魔法を使ったことで、冒険者……じゃなくて、犯罪者たちが慌ててる。
「お、おまえは魔道士か!」
「畜生。魔道士だったら、人間じゃない可能性が」
「あの神々しい魔法……まさか、天人か!」
天人、なにそれ。
そんな種族がいるの。
『はい、いますよ。天人は、人間と天使のハーフ、もしくはその子孫に当たる人たちのことを指します。魔法特化型で、見た目が弱々しい人間なので、よく襲われるらしいですよ? さっきダウンロードした情報に入っていませんでしたか?』
……どうでもいいかなって思ったから、すぐに忘れちゃったよ。
そ、そんなことよりも、なんて残念な種族なんだ。
そして、そんな残念なものと間違えられたことがイラっときた。
「私は天人じゃない。悪魔だ!」
「あ、悪魔なんている訳無いだろ」
「そ、そうだ。魔界にいるって噂はあるが、誰も見たことない存在なんだ」
あれ、悪魔がいないことになっている。
まぁいいや。悪魔の恐ろしさ、見せてあげよう。
不敵に笑いながら、犯罪者たちに近づいていく。
その手に、完成したロープをもって。
「楽に死ねると思うなよ」
「「「ぎゃあああああああああああ」」」
平和な森の中に、犯罪者たちの悲鳴が響き渡った。
さて、犯罪者たちを吊るしてやったぜ!
しかも、ただ吊るすだけじゃない。
おそらく、魔物がギリギリで届くであろう位置に吊るしてやった。
これで、ちょっとずつ噛み千切られて、じわじわと食われていくぜ!
しかも、それだけじゃない。
魔物がよってくるように、ちょっと刺して血を流してやった。
これで、あの犯罪者と会うことはないだろう。
あんな犯罪者なんかよりも女の子の方が心配だな。
女の子に何かあったら人里まで辿り着けない。
という訳で、馬車の様子を見てみよう。
中を見てみると、女の子がぐったりとしていた。
やばい、もしかして……と思って見てみると、気絶しているだけで、命に別状はない。
そういえば、襲われているときに気絶しちゃったんだっけ?
なんともなさそうで、ちょっと安心した。
「ん、ここは……」
「あ、起きた?」
「キャ、あなたは一体……」
「あ、ごめん。ちょっと驚かせちゃった?」
「い、いえ。大丈夫です。えーっと、私は確か、護衛依頼した冒…険……者……に……」
おろ、顔がどんどん青くなっていく。
もしかして、襲われているときの事を思い出したのかな?
女の子の頬にホロリと、何かが流れた。
私、同じものをよく見たから覚えているよ。
恐怖した時に流れる涙だ。
私が一番見てきた、つまらない涙。
そんなもんより、もっと別のものを見てみたい。
じゃないと、面白くないのよ。
『ベルゼさま。一つ提案します。きっと楽しいので聞いてください!』
なんだね、言ってみたまえ。ベルフェくん。
『慰めて、笑わせてあげてください。笑顔という別の表情が見れ、好感度が上昇し、人里まで連れて行ってもらえる可能性が上がります』
助けてあげただけじゃダメなんだ?
『相手が助けてもらったことを認知していれば、新しい護衛として雇ってもらえる可能性がありますが……今回は、気絶して覚えていないようです。だから、慰めましょう。愛でるのも娯楽の一種です』
魔王が人を慰めるってなんぞや、とか思うけどやってみよう。
なんだか楽しい予感がするんだ。
泣いている女の子を、そっと抱きしめた。
抱きしめて見るとわかるが、力を入れると壊れてしまいそうなほど、脆いとわかった。
だから、そっと、優しく、壊れないように……
「ふぇ?」
急に抱きしめられた、女の子は戸惑いの声をあげる。
「なぜ、私は抱きしめられているんだろう」と思っていそうな表情をしている。
なんだろう。天魔戦争のときは、人間を見ても何も感じなかったけど……
この子、すごく可愛い。
ああ、目がキラキラしてる。
しかし、さっきの恐怖が残っているのか少しだけ、表情が曇っている。
畜生、あの犯罪者どもめ。
こんな可愛い子にひどい事するなんて。
魔王として許せないよ!
ふむ、これが愛でるという娯楽なのね。
ベルフェが言った通り、なかなか面白い。
よし、この可愛い子を慰めて、笑顔にさせてあげよう!
きっと、いいものが見れそうな予感がする!
読んでいただきありがとうございます!
ゆったりペースのつもりですが、今日も投稿できました!
女の子も助けたし、人里まであとちょっと。
次回もよろしくお願いします!