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どうやらギルドは騒がしいようで……

よろしくお願いします!

 毒のない上薬草は残念だったけど、無事に薬草を採取したから問題ないもんね。

 それに、嬉しい精霊アイテムもゲットしたしね。

 よし、早速報告に行こう!


 という訳で、冒険者ギルドにやってきたんだけど、何やら騒がしい。

 いろんな冒険者が、あっちに行ったり、こっちに行ったり、なんだか大変そう。

 一体どうしたんだろ。気になるな、気になるな!

 ミランダお姉ちゃんに聞けば、何かわかるかな。


 さてさて、ミランダお姉ちゃんはどこだろう。周りを見渡してみても、ミランダおねえちゃんの姿が見えないぞ。

 あれれ、どこだろう、どこだろう……あ、いた。

 なんか、綺麗なお姉さんとお話をしている。

 綺麗なお姉さんは、今にも泣きそうな表情をしているなぁ。一体、なぜ、なぜ!


『直接聞けばいいじゃないですか。ベルゼ様らしくない。

 そんなにミランダが怖いんですか?』


 べべべ、別に怖いとかじゃないんだからね!


『その感じだと……図星ですか?』


 うぐ、だ、だって~

 ミランダお姉ちゃん、怒るとすっごく怖いんだもん。


『でも、今は怒っていないでしょう。なら大丈夫なはずでは?』


 お、よく考えたら、今は怒っていないじゃない。

 じゃあ大丈夫だね!


『ベ、ベルゼさま。怒られるフラグを立てているような気がするんですが……』


 いやいや、そんなことある訳ないじゃん。

 ベルフェって心配性だね。

 見てなさい!


「ミランダお姉ちゃん!」


『あ、ベルゼ様が早まったことを!』


 もう、うるさいな。ベルフェは黙ってて!


『はう』


「ん、ベルゼちゃん。もう帰ってきたの?」


「うん。薬草をいっぱいとってきたよ。それで、なんで冒険者ギルドがこんなにも騒がしいの?」


「ん~これはベルゼちゃんに話しちゃいけないような気がするんだけど……」


「別にかまわん。今は人手が欲しいからな」


 なんだろう?

 綺麗なお姉さんがミランダお姉ちゃんに話しかけたけど。

 ちょっと偉そうだな。

 なんだこいつ。


「でも、ギルマス。この子はまだFランクですよ。あれは絶対に無理です」


 ん、ミランダお姉ちゃんは、いまなんて言った?


『ミランダと話している女性をギルマスと呼びましたけど……』


 あれがギルマス。この冒険者ギルドのトップ!


「どうしたの、ベルゼちゃん。変な顔しちゃって」


「べべべ、別になんでもないよ。ギルドマスターの事、なんだこいつ、とか思っていないんだからね!」


「ちょ、ベルゼちゃん何言ってんの!」


「だって、だって。ギルドマスターの顔なんてわかんなかったんだもん。ミランダお姉ちゃん、怒ってる? 怒らないよね?」


 うう、怒られちゃうのかな、怒られちゃうのかな。

 ミランダお姉ちゃん怖いんだもん。

 いくら、虐殺大好き大魔王でも、怖いものはちゃんとあるんだよ?

 し、知ってた?


『またですか?

 本当に、誰に言っているのやら……』


 そんなのわかんないよぉ。

 ガクブル……


「ちょ、ベルゼちゃん。私、怒らないからね。大丈夫だからね。そんなに震えないでよ!」


「ひう、ガクブルガクブル」


「ほら、お嬢ちゃん。大丈夫?」


「う、うん。おねえちゃ……じゃなかった。ギルドマスター、ありがとう」


「ふふ、いいのいいの。私はギルディっていうの。よろしくね。ベルゼちゃん」


「あれ、私の名前……そっか。ギルドマスターだからか。うん、よろしくなの、ギルディお姉ちゃん。ところで、なんでこんなに騒がしいの?」


「あの、ギルマス……」


「ああ、わかってるよ。新米の冒険者は行かせたら危ないけど、話をして釘を刺しとくぐらいはしないとね」


「はぁ、分かりましたよ。ギルマスの好きにしてください」


 ワクワク、ワクワク。一体どんな話が聞けるんだろうな。

 すっごく楽しみだよ。


「実は、ここら辺で、キングキラーベアが現れたんだ。

 そして、そいつが目撃された場所に、私の大切な娘が向かっちゃったんです」


「へーへー、それで、それで」


「ちゃんと聞きなさい!」


「ひゃ、ひゃい!」


 うお、ギルディおねえちゃんも、怒るとめちゃくちゃ怖くなりそう。

 この人も怒らせないようにしないと……


「ーーという訳で、私の娘を助けるために、みんなに動いてもらっているんだ」


 うん、大体わかったよ。

 ここら辺に出現するはずがない、超危険な魔物、キングキラーベアが現れた。

 んで、目撃があった場所に、別の依頼でギルディお姉ちゃんの娘さんが行っちゃったと。

 行ったあとで気がついたもんだから、冒険者ギルドが大騒ぎってわけね。

 なるほど、なるほど。

 これは一大事だね。


 ちらっと、ギルディお姉ちゃんを見てみると、へへへ、と笑った。

 でも、その笑顔はちょっぴり歪んでいて、不安がにじみ出ている気がする。

 やっぱり、娘が心配なんだよね。

 ふふ、このシチュエーションはあれができるかも。

 しかも人助けをして、お礼が貰える可能性あり。

 楽しい娯楽にお礼、まさに一石二鳥だね!

 これは、やるしかないよね。


『あ、ベルゼ様。やめたほうがいいですよ』


「私に任せ……いたい……」


『あ、やらかした。怒られるフラグを完全に立ててしまったみたいですね』


 ベ、ベルフェうるさい!

 うう、私に任せなさいって言おうとしたら、ミランダお姉ちゃんに叩かれた。しかも頭。とっても痛い……


「ベルゼちゃん。一体何を言おうとしたのかな?」


「私が探してきてあげるって言おうとしたんだけど……」


「それは嬉しんだけど、無理はダメよ。ミノタウロスとキングキラーベアじゃ、全然違うの。わかった?」


「わからない!

 私なら、そんなものぱぱっと倒せるよ!」


「あぁ、そんなこと言うのはこの口か、この口なのか!」


「ちょ、ミランダ!」


「ギルマスは黙っていてください!」


「は、はい」


 うぐ、顔を鷲掴みするのやめてほしい。

 ていうか、ギルディお姉ちゃんがミランダお姉ちゃんの一言で黙っちゃった。

 やっぱり、ミランダお姉ちゃんの方が迫力が……


「ねぇ、今失礼なこと考えたでしょ?」


 私は、フルフルと首を横に振った。

 そうしないと殺されると思ったからね。

 背筋がゾクゾクして、体が震えてきたからね。


「まぁいいわ。ゆっくり話をしましょうか」


 ミランダお姉ちゃんの眼光により、体が震え始め、私が見ている世界が歪み始めたよ。

 うん、瞳に涙が溜まっているんだろうね。

 私は一体どうなるんだろう。

 うう、怖いよ、怖いよ……



***



「ぐす、ご、ごめんなさぁぁぁぁい」


 私は泣きながら冒険者ギルドを走って逃げた。

 そうしないと、心が保てそうになかったんだもん、ふぇぇぇぇぇん。


 ぐすん、ミランダお姉ちゃん、とっても怖いよ。

 なんで三時間もお説教されなきゃいけないのよ。

 私は悪いことしてないのに!


『ベルゼ様。そろそろ泣き止んでくださいよ。

 激写しますよ?』


 ……そんなことしたら、消すからね!


『ベルゼ様、怖! めっちゃ怖!』


 いいもん、いいもん。

 もう冒険者ギルドの外に出てやったもん。

 だから、もう関係ないもんね!

 ぐすん、勝手に助けに行くから!


『ミランダにあれだけ怒られて、派手に泣いたのに助けに行くんですか?』


 いいじゃない、怒られたら怖くて泣いちゃうもんなんだよ。

 でも、助けに行かなきゃいけないの!


『その心は?』


 たぶん私のせいだから。


『まぁ、そうでしょうね。

 ベルゼ様が調子こいて狩りすぎたせいで、食料となる魔物がいなくなったことが原因ですね』


 でしょ!

 そして、私には魔王だから、どうにかできる力がある。

 だったら助けに行かなきゃいけないじゃん!


『魔王さま、変わりましたね……いや、全くかわてませんね。

 なんですか、その手に持っているものは!』


 ……せ、精霊アイテムだけど?


『私には分かりましたよ。分かってしまいましたよ。

 ベルゼ様がやりたいことはつまり……』


「ベルフェ、強制ログアウト!」


 ふう、うるさいベルフェと接続を切ってやったぞ。


『ベルゼ様、強制アクセス!』


 な、なんだと!


『どうせ、遊びに行くんだから、私も一緒でいいじゃないですか!

 なんで接続切るんですか。

 泣いちゃいますよ』


 だってだって、ベルフェがグチグチ言うんだもん。


『はぁ、ベルゼ様が変わったような、変わっていないような?

 これは喜んでいいんでしょうか?』


 ふん、ベルフェなんて勝手にすればいいのよ。


 まぁ、助けに行く前に、しっかりと確認してからにしないと。

 右よし、左よし、下よし、上よし、後ろよし。

 誰もいないね。

 これで、私が外に出ても、ミランダお姉ちゃんにバレる心配ないよね?


「秘技、空間転移!」


 空間が歪んで、視界に映る風景が次第に変わっていく。

 移動した先は、いつも狩りとか採取をしている森の奥深く。

 日も落ちかけていて、若干暗くてよく見えない。


 ベルフェ、サーチして。


『サー・イエス・サー』


 まわりは暗くなってきたけど、目に魔力を通せば問題ない。

 人間みたいに、明かりの魔法なんて使わなくても、悪魔としての魔力暗視で、どんなに暗くてもちゃんと見える。これで問題ない。

 あとは、見つけて助けるだけ。


 ふふ、精霊アイテムの出番かな?


『ベルゼ様、ここより西方に反応があります。

 どうやら既に襲われているようです。

 急ぎましょう!』


 了解、ベルフェ。

 これで、これで私がやりたい遊びができるぞ。

 しかも人助けまでして、私って超いい子。

 ……所詮魔物だし、ちょっとぐらい遊んでもいいよね?

 と、とにかく、急がないと!

読んでいただきありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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