ボロディン反応
自身を緩めて行く
少しずつ放って行く
山吹色の風に乗せて
嬉しいことも
悲しいことも
身についた全ての財産を
プラスにしてもマイナスであっても
ラクダとロバが行く
少しずつ肩の荷をおろして行く
やさしい温もりも
甘ったるいわがままも
身に付けた全ての飾りを
赤いコサージュもペティナイフも
斜めやまっすぐや逆さまの
思いがけない感動があった
好奇心は波のようだった
走り出した淡い色の馬は
嫉妬や憎悪のいななきと
絶望や後悔で生やした
長いタテガミをなびかせ
それは少しずつ抜け落ちて……
出会いを零して行く
別れを脱いで行く
欲望も癒しも涙も飛んで行く
強がりも情けなさも恐れをも流して
全てが無になったとしたら
とても眠たくなった
立ち止まりゆっくりと
来た道を振り返ってみる
あんなにもあんなにも
キラキラと光り輝いているのは
愛であろうか
慈しみであろうか
沈みゆく太陽の眼差であろうか
蠍座の黒猫さん主催の「詩のサークル」に参加させていただきました。今回のテーマは「音楽」です。
ロシアの作曲家ボロディンの交響詩《中央アジアの草原にて》です。荒涼としたコーカサスの草原で、ロシア人と東洋人の交流の様子が描かれています。私は私なりの着想でいってみました。また、ボロディンは化学者でもあったので、このタイトルを使わさせていただきました。