9.行き先と装備と
9.行き先と装備と
リーナを連れて「マルタ」上空5000mに転移した。
結界で守っているので、気温や気圧といった問題とは無縁だ。
物理法則が地球と同じかは知らんがな。
「リーナよ、ついてきてほしいといった手前、情けないのだが……、どこか落ち着ける都市を知らないだろうが?」
「そう来ると思っていたけれど、ほんとに聞かれると情けないわね。
そうね、あっちの方角に「四国砦ウィンダズ」という都市があるわ。
近隣国の国境が集まる独立貿易都市よ。そこに行けばどこに行くにせよ便利なはず。
とはいえ、その見た目は何とかしないといけないけれどね。」
「そうか、見た目はおそらく魔法で何とかなると思う。
創造・ボーンレスボディ!」
おれは骨だけが無い肉体を創造し、骨にまとった。
おれ自身を変化させる魔法は、自分の耐性と干渉して使えないんだよね。
ちなみに、作った肉体は元々のやつね。
「これでどうだろう?」
「……やめた方がいいわ。あちこち弛んでいるし……、どう見ても人の皮をかぶった何かにしか見えないわ。
ところで、あなたは裸族だったの?骨の時から何も身につけないからもしかしたらとは思っていたけれど。」
とりあえず、骨抜きの肉体は破棄した。結局骨のままだな……。
「こちらの世界の服がよくわからなかったから作っていないだけだ。
服を着る習慣はあったぞ。しかし、これが駄目となると、どうしたらいいだろう?」
「そうね……、ウィンダズは少し治安が悪いところがあるから、武装はしていたほうがいいと思うわ。全身鎧はかなりの実力者でなければとても買えないものだから、雑魚除けには効果的だと思う。」
「では、3人で冒険者パーティーのように偽装するとしよう。リーナとおれが前衛、リリーは後衛の魔法使いにでもするか」
「それでいいと思うわ。リリーは起こすの?」
「おきてるよー」
「リリーは寝ていても周りのことを知覚しているからな。アンデットや死霊の眠りとは、多くの場合そんなものだ」
「それ、エクソシストも知らない事実でしょうね」
「かもしれんな」
「わいと、りりーにふくくれるの?りりーすけるからふくきれないよ?」
リリーには「物理完全耐性」があるため普通の服を着ることは出来ない。
しかし、こちらも伊達に「万能創造」なんてスキルは持っていないのだ。
万物を、法則すら創造する我がスキルが火を噴くぜ!
身体は作れなかったけどね!
「問題ない、リリーはどんな服が着てみたい?」
「うーんとね、ひらひらで羽ついたやつ!いろはねーお空のいろ!」
「うむ、まかせろ!
創造・天空の聖衣(蒼)」
雲の糸で編まれたレースがふんだんにあしらわれた、空のように蒼いワンピースが現れる。
背中には小さな天使の羽が付いている。
どっからどう見てもロリ魔法少女天使のコスプレ衣装だが、こっちの世界にそんなもんないし、性能はマジ天使だからリリーが気に入れば問題ない。
セットの靴にも小さい羽が付いてるし、ティアラは白銀のエアメタル製で蒼天石の飾りがアクセントになっている。完璧だ!
もちろん、リリーでも着られるように物理的存在でなく魔法物質だけれどもね。
「リリーよ、どうだ?」
「かわいいー!ほんとうにりりーにくれるの!?」
「もちろんだとも、色違いも作れるぞ」
「ううん、りりーこれがいい!おかーさんもりりーにはあおがにあうって言ってくれてたんだよ!」
「そうかそうか、早速着てみなさい。
リーナはどうする?おれは雑魚除けに効果的という全身鎧にしようと思っているが」
「何でも作れるなら、作ってほしいものがあるんだけれど……」
「今のところ無生物であれば作れないものは無いはずだ、言ってみろ」
「じゃあ、魔動甲冑を作ってほしいの。わかるかしら?
魔法で動いて、動きの補助や自動で障壁を張ったりする機能がある全身鎧で、数年に1度くらいの頻度で発掘されるんだけれど……」
「構わないぞ、おそらくおれの世界でのパワードアーマーみたいなものだろう。機能は動作補助と自動防御くらいでいいのか?なんか物足りないが」
「いやいや、魔動甲冑は勇者の数に次ぐ軍事力の指標だし!?
動作補助付き5機あれば勇者を討てると言われる決戦兵器だぞ!?」
「冒険者がそんなもん持っていて平気なのか?」
「意外に思うかもしれないが、魔動甲冑の所有者はほとんどが冒険者よ。
魔動甲冑は全てが認証機能があって他者には使えないの。」
「あぁ、何となくわかってきた」
勇者に次ぐ戦力だが、発掘品で認証機能があるため、ほとんどの所有者が冒険者である。
ゆえに、その冒険者の囲い込みに各国が躍起になるが、冒険者はそれ以前からギルドみたいなもので横のつながりがある。ギルドと冒険者は自分たちの自由を確保し、立場向上のため国に与するのではなく自分たちを第3勢力とした。
ゆえに、魔動甲冑をもってギルドに所属することで、国による拘束をかなり緩和できる。
また、ギルドにとっても、魔動甲冑の所持者はもろ刃の剣である。
結果的に、魔動甲冑の保持者は隷属されていない勇者に次ぐ自由をこの世界で持ちうる存在だということだ。
リーナに予想があっているか確認すると。
「そういうこと。今、ギルド最強と言われる甲冑の機能が、動作加速と自動魔法障壁を持ったプリンセスメイルと呼ばれるものだ。」
「プリンセスメイルか、甲冑の持ち主は女なのか?」
「そうだ、ギルドの総本山「ホライズン」に常駐して……、そのなんだ……、幼い少年に囲まれて暮らしているらしい。」
「権力におぼれて、ゆがんだ性癖を全開にしているということだろうか?」
「そういうことだが、はっきり言うな!」
「わーいーとー!りりーのふくにあう?かわいい!?」
ロリ魔法少女天使になったリリーが笑顔全開で聞いてくる。
「ああ、とても似合っているぞ。本当の天使みたいだ!」
まぁ、たぶん性能は邪神+大天使くらいだけれどね。
「このふくきたら「ひかりまほう」つかえるんだよー!
ほーりー!」
天空に直径2mくらいの聖球が18個召喚されどっかに飛んで行った。
周りに被害が出てもこちらにメリットがないから、魔力操作で威力消して、エフェクトも百分の一くらいに落としておいた。
「こらこら、魔法は注意して使わないといけないぞ」
「ごめんなさーい」
たぶん反省してないな。めっちゃ笑顔だし。
かわいいからいいか。
「ワイトよ、それで魔動甲冑は作ってもらえるのだろうか?」
おっと、そうだった。
「その性能の甲冑は間違いなく作れるが、見た目はどんなものがいいんだ?」
「わたしも魔動甲冑など見たことがないが、少なくとも既存の鎧とは一線を書くものらしい。おまえの知っている強そうな鎧で問題ないと思う」
「そういうことなら、適当に用意しよう。
創造・戦女神の聖凱!」
戦女神ヴァルキリーが身につけたとされる鎧を創造した。
蒼い甲冑に羽飾りの付いた兜、周囲を自動で守る2枚の浮遊盾、チラリズムを引き立てる膝までのグリーブに短めのアーマースカートから出る白い布。
セットの武器は神を討ったと言われる神代の剣、予備武器に同じ神話のグンなんとかって槍に、魔弓をおまけしといた。
もちろん全部専用装備ね。
平時は質素な服になる機能があるので、常着可能だ。
機能は動作加速と物理・魔法障壁はもちろんのこと、おまけで飛行に状態異常無効と治癒、疲労軽減をつけておいた。
好きな人に物を送るのこれが初めてだったから、少し奮発してみました。
「ワイトよ、これは本当に魔動甲冑の枠におさまるものなんだろうな?
あと、スカートのあたりに邪念を感じるのだが」
バレテラー……。
「魔動甲冑と名乗ればそうなるのだろう。参考にしたのはおれの元いた世界の神話の存在だ。おれの意思はこれの創造には介在していない。」
「そ、そうか。しかし、素晴らしい鎧だな。武器まで作ってもらってすまない。」
「気にするな、おれやリリーの近くにいるのであれば、これくらいは必要だろう。
もっとも、勝算を持っておれの前に現れる者がいればの話だが」
「居ても勇者くらいだろう。勇者はこの国の1人にあとは、各国でそれぞれ1から2人程度しかいないはずだ。勇者を動かすと別の国の勇者が攻めてくるから碌に動かせない。まず会うことは無いだろう。」
「だといいのだが、教会は少なくとも10日に一度は勇者召喚を行っているようだが、なぜそこまで勇者の数が少ないのだ?」
「言われてみればおかしいな。しかし、なぜかなんて聞いてみないと分からないだろうな。」
「とりあえず、今は捨て置くか」
全知を使って知ることもできるかもしれないが、余計なことまで知りたくないし、ここは放置するか。
「リリー、目的地が決まった。出発するぞ」
「はーい!ねえねえ、ひかりのまほうつかってもいい?」
「移動中に敵が出たら使ってもいいぞ」
「ほんとー!?いっぱいつかっていい?」
「必要な分だけにしなさい」
「えー、いっぱいつかえるにー」
ションボリしてしまったリリーの扱いに困っていると、リーナが話しかけてきた。
「ワイトは裸のままだが、何を装備するんだ?」
「あ、忘れてた
創造・強化外骨格!」
おれは某ゲームのサイボーグ忍者の強化外骨格を作り出した。光学迷彩は標準装備です。
みんなに合わせて蒼の身体にぴったり付くような装甲、細みのゴーレムのような全容で、顔は開閉するが、一つ目だ。
武器はメンテとかめんどくさいので、全てビーム兵器にした。
とりあえず、ビームソードにクナイ、ライフルだけ作った。
ちなみに、これも普通の服にできるオールタイムアーマーだ。
服にしたらガイコツだとばれるけどね。
やはり、ニンジャはジャパニーズの魂だね。スケルトン!サイボーグ!ニンジャ!
あとは、これが壊れないように力をセーブしていけば、無駄に破壊を振りまかなくて済むと思ったんだ。
「わいと、ださかっこいいー!」
「あなたの元の世界ではそれが普通なのかしら?ま、まぁ、特殊な魔動甲冑に見えなくもないのかしら?」
この世界でニンジャはあまり好評で無いらしい。
ナンデー




