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召喚されて骨  作者: わいとー
11/29

11.リーナとリリーの異世界常識講座

説明回なので長め。しかも前篇。


何事も短く簡潔にまとめられる人は文才があると思う。

11.リーナとリリーの異世界常識講座


 「では、これから王国と周辺国家の常識・習慣講座をはじめまーす」

「はじめまーす!」


宿でひと段落したところで、リーナとリリーがノリノリで常識講座を開始した。

最初はおれからの質問形式で行っていたんだが、リリーが乱入。

カオスになってきたので、講義形式に変更された。


「まず、このウィンダズを起点として、周辺の国家についておしえます。

ウィンダズには、東西南北にそれぞれ門があり、全ての出口は異なる国につながっています。」

「いまーす」

リリーがかわいい。


「南は私たちが入ってきた門で、サウスランス王国。通称:王国につながっています。

王国は地下資源を牛耳った豪族が起源で、現在200年ほどその豪族が王位を守っています。王政ではありますが、国境での貿易で力をつけた貴族の勢力と、治癒魔法や医薬品を独占する教会勢力の前に、権力は風前の灯です。」

「でーす」

リリーマジ天使。


「ワイト、聞いていますか?」

「きいてまーす。というか、王国の情報古くないか?

王族の勢力はもう教会に敗北したんだろ?」

「古いけれど、今の常識はまだこの状態なのよ。下手に知ってることがバレたら碌な事がないからね!」

「あぁ、そういうことか。すまん、まじめに聞こう」

「最初からそうしなさい!」


まじめな話が始まると、リリーは寝てしまった。


まじめに聞いた結果、大まかな地理がわかった。まぁ、現代日本から見たら白地図に国名入れた程度の知識だけれど。


 まず、中心にウィンダズという貿易都市国家とすると、北は寒冷地帯で鉱山の連なる山脈がある。東と南は広い平野で大きな川が2本交差してしてに海へと流れている。交差地点は内陸最大の貿易港になっているそうだ。

そして、西は小さな島がたくさんある海になっている。


 周辺の4カ国は、南にサウスランス王国、東にはイーストランス帝国、北にノースランド同盟国、西にウエスタン諸島連合国がある。

 サウスランス王国とイーストランス帝国はかつて南北に長い一つのランス帝国だったが、現サウスランス王家が鉱山資源を牛耳り独立した。2国は現在も戦争と休戦を繰り返しており、国境では小競り合いがたびたび起きている。


 ウエスタン諸島連合国は、4国の中で最も新しく、その名の通り大小の島が国家として独立し、連合議会を組んで、サウスランス王国とイーストランス帝国に飲み込まれまいと努力している。サハギンやマーメイドなどの魚人に、バードマンと人間が主に国家を運営している。また、島ごとの固有種も多く、ごく少数ではあるが、竜族も連合に参加しており、領海で接するサウスランス王国への大きな楔となっている。

しかし、サウスランス王国の海洋進出に苦しんでいることには変わりない。

唯一の救いは、ノースランド同盟国とは緩やかな友好関係が続いていることか。

 

 ノースランド同盟国はデーモンやジャイアントといった高い知性と社会性を持つ魔人種や亜人種、サキュバスやラミアといった他種族が生存や繁殖に必要な亜人種が、北方の人間族国家ジーパの王:武神王を旗印に同盟を組んだ国家だ。

ノースランド同盟国はかつてのランス帝国よりも前に建国されており、武神王その当時から現在まで代変わりはない。

おそらくは召喚された勇者で長命腫だったのだろうと言われている。


そして、ここ貿易都市ウィンダズは、政治的にはイーストランス帝国の自治領ということになっているが、ここを併呑することはほかの3カ国をすべて敵に回すことになるため現実的でなく、現在までその自治権を確固なものとしている。

 しかし、イーストランス帝国で寒波があった年などは、サウスランス王国が兵を向けたこともある。その時、ウィンダズの独立を守ったのは、魔動甲冑の所有者を集めた冒険者ギルドであった。歴史書では、100を超える魔動甲冑の所有者を集め、王国兵は戦わずして逃げ帰ったとある。その時、魔動甲冑の所有者が集まった場所こそが、現在の冒険者ギルド総本山にして、ウィンダズで最も高値の土地「ホライズン」である。

ホライズンは一般人はもちろん各国の要人ですら入ることは出来ず、冒険者ギルドランクSS以上または、極めて冒険者ギルドに貢献した者のみが入ることを許されるとされている。



「こう聞いて行くと、冒険者ギルドもかなりきな臭い団体だな」

「そりゃ、国を相手にしてる武装集団だもん。それなりに裏もあるでしょ。

気になるなら、魔動甲冑の所有者ってことはしばらく隠す?」

「いや、気付いていたかもしれないが、既にギルドの諜報がおれたちに付いてる。

大方、門で何かしらの感知に引っ掛かったんだろう。おれもリリーも人でないしな」

「たぶん、囲い込みのスカウトではないかしら?

王妃さまの愚痴で聞いたことがあるわ。魔動甲冑の所持者に差し向けた勧誘員を軒並み排除されたって」

「リーナも知っていたか、諜報の目的はその通りだったよ。

おそらく、このままギルドに赴く分には向こうが勝手に安全を保障してくれるだろう」

「間者だったのはダテではなかったのよ。

次はお待ちかね、経済と貨幣についてね」

「うむ、特にモノの相場と、これからやるであろう冒険者の報酬については知っておきたい」

「じゃあ、その辺りから説明するわ」


だいたいではあるが、町で暮らすのに不便しない程度の知識は教えてもらえた。


 まず、金銭の単位は「マグ」。

基本は硬貨を用いて取引が行われるが、価値基準はあくまでも含有する魔法金属だ。

魔法金属は、錬金術で生成できないため、地下資源から精製した物しかない。

価値は、含まれる魔力量によって決定されるため、一時的に魔化した金属が贋金に使われるそうだ。そのため、高額取引では、純魔法金属のインゴットか手形が使われる。

前者は、贋金ではありえない魔力密度を持つため偽造が技術的に不可能なため信用される。後者は、国家がその価値を保障する。

現在もっとも信用のある手形は、大規模な魔法鉱山があるノースランド同盟国の手形、通称「武神手形」である。

語弊はあるが、この世界の経済はまだ、金本位制を脱していないことがうかがえる。


いろいろなモノの相場はキリがないので割愛するが、ここの入国に300マグを支払ったが、これは普通の食事程度の代金だ。

今、泊っている宿の料金が、ツイン5200マグ。

貿易都市のため若干だが相場より高い。

宿の夕食が400マグ、朝食は弁当で300マグだ。

内容は夕食が大きめのパンに肉の入ったシチューで、シチューは食べ放題だ。

朝食は、翌日以降にも持ち越せる、乾パンや干した果物などを包んだ物だ。

あらかじめ、食べてから出ることを伝えておけば、パンとスープが出てくるらしい。

おれたちは、急ぐ用事もないので、後者の食事が出ることになる。

食べ物を食べる必要があるのが、リーナだけなので保存食をもらった方が得なのだが……。

「保存食は飽きた」

と、リーナが言うので朝食はパンとスープだ。



ん?なんか来た。


「にゃーん」

宿の部屋に子猫?が入ってきた。

リリーが飛び起きて飛びついた。

「にゃーだー!!!」


初見のモノはとりあえず鑑定をかけてみよう。


個体名:イオリ

種族:猫又 (転生者) 年齢:3才

性別:メス (元女)

体重:0.3kg 身長:10cm

スキル:「異世界言語理解」「念話」「魂術」「不老不死」「自然治癒」

状態:「精神衰弱」

猫に転生した元女子大生。転生時に不老不死を願うも、担当神が邪神「不幸を笑うモノ」だった。

猫に転生したうえ不老のため目も開かない子猫で成長ストップ。

育児放棄され野犬に食われながらも自然治癒で何度も肉片から復活する。

「魂術」に目覚めるが知能も子猫の脳容量でストップするためほぼ無意味。

ワイトの魂の圧倒的輝きを頼りにここへ至る。

さぁ、どうする?byとある邪神



邪神さん説明ありがとう。

ほんとにどうしよう……。


「わいとー!りりーねー、このねこほしー!」

「リリー、子猫じゃないの、たぶんお母さん猫が捜しているわよ?」

「おかーさんいるの?」


[いにゃーい]

ちゃんと念話で答えてるな。


「いないってー、わいと―かっていい?」

「リリーが世話をちゃんとするなら飼ってもいいよ。

リーナ、この猫は転生者といって、自然発生の勇者みたいなものだ。

少々たちの悪い神様に弄ばれたらしい」

「そうなの?

あなたといるとほんとうに常識が通じないわね。

で、どうするつもり?」

「とりあえず、成長させる

創造・成長」

子猫が大人になる。

おまけで精神衰弱は癒しておいた。魂術はやはり便利だ。


[ここは?私は……、犬に襲われて………イヤーー!!!!!!!

コナイデ…タベナイデ……]

「イオリさん、落ち着いてください」

魂術併用で呼び掛ける。やっぱり、食われた記憶あるのに理性が戻るとこうなるよね……。

同情を禁じ得ない。


[え?]

「あなたはもう安全だ。

もうなにも不安に思うことはない」

[そう……やっと終わったのね……。

ありがとう……]

「にゃーがねちゃったー」

「寝かせておきなさい。

おそらく生まれ変わって初めて安心して眠れたんだから」


目も開かず、碌に動けない状態だ。

何度餓死したのだろう、何度食い殺されたのだろう……。

そんな地獄の終りでも、「ありがとう」といえるこの人は聖者ではなかろうか。


「ワイト、考えているところ悪いのだけれど、その猫どうするの?

急に育って大人になったけれど」

「起きたら話をしてみる。この猫の魂は紛れもなく人だ。

それも、おれと同じ世界から来たな」

「りりーもねこといっしょにねるー」


リリーは猫のまねして丸くなって寝てしまった。

せわしないね。


「とりあえず、猫が起きるまで講義の続きをしましょうか」

「そうだな」


リーナも動じなくなってきたな……。

講義は続く、猫が起きるまで……。




おっさんVRMMO読んでたら土日が終わっていた。

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