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召喚されて骨  作者: わいとー
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10.四国砦ウィンダズ

10.四国砦ウィンダズ


 ニンジャが不評で悲しんでいる間に、おれたちは「ウィンダズ」に到着した。

妖魔はいたがエンカウント前に消した。リリーがはしゃぐからね。


「ここは王国側の門だから、貴族、商人、民間と門が分かれているはずよ。たぶん、あのテントが溜まってる門が民間用だと思う」

リーナについて行くと、民間用の門に付いた。

溜まっているテントは門が閉まってからここに付いてしまった人たちが張ったものらしく、ほとんどがバラしている最中だった。


「ところで、ワイトとリリーは身分証みたいなものはある?

私はマルタで処分したから、無いのだけれど」

「おれとリリーにあるはずがなかろう、そもそも、無一文だぞ」

「むいちもんー!」

「やっぱりね。じゃあ、この袋と中身を複製できるかしら?」

「中身は金か、このくらいならいくらでもできると思うが、大丈夫なのか?

この世界の貨幣は番号等の管理は無いのか?」

「この近隣国では、貨幣は公式のレートがあって、どこの国でも使えるの。そして、そのレートを決めているのが、魔法金属の含有量よ。変な話だけれど、魔法金属のインゴットなんかが高額取引で、貨幣なんかよりよっぽど重宝されているの。だから、魔法金属さえ入っていれば、石ころでも貨幣として使えるわ」

「なるほどな、今回はそれでいいが、それでも緊急の時以外は禁じ手としよう。働いていないのに金を持っていると碌でもない連中に目をつけられかねん」

「そうね、でも、町に入って冒険者ギルドで仕事をすれば、もうお金の心配はほとんどないと思うわ。魔動甲冑の所有者はかなり稼げると聞いているから」

「だといいのだが……、噂というのは大概あてにならんもんだがな」


財布を複製して、リーナと話しているうちに列は進み、おれたちの番になった。

「身分証の提示か、補償金300マグをお願いします」

衛兵が言う。鉄色のプレートメイルに短槍を持っている。リーナ曰く、衛兵に与えられる装備としてはかなり上等なものらしい。

リーナが支払いを済ませてくれる。

「3人を補償金でお願いします」

「900マグです。お支払い願います」

「これでおねがいします」

リーナは銀色のコイン9枚を衛兵に渡した。

「確かに、ではこちらの木札をお持ちください。無くされますと、出るときに返金分の100マグが返りませんのでご注意ください」


どうやら、王国の貨幣では銀貨がおよそ100マグに相当するようだ。

こういう日常の知識って、スキルだと上手く手に入らないんだよな。

銀貨の魔法金属含有量は0.0000001%単位まで余裕で分かるし、含有魔力量もそうなんだけれど、人が決めた交換レートは出てこないんだよなー。

というか、この世界の計測がほぼ人力で、正確でないので、全知だと定数として出てこなくて困る。およそ○○とかいうときの判断は、やっぱり常識と習慣からくるもので、こればかりはリーナに聞いて覚えていくしかないな。


「リーナあとで常識や習慣、とくに貨幣や相場について教えてくれ」

「わかったわ。じゃあ、今日は宿に泊まって、あしたギルドに行きましょう。常識知らずを見抜かれていいように使われるのも癪だしね」

「すまない。そして、ありがとう。君と一緒でよかった」

心からそう思う。

「急にはずかしいこと言わないの。照れるじゃない」

「りーなのおかおあかーい!おねつー?」

「リーナは元気だ。心配いらないよ」

「そっか、よかったー。わいとー、おんぶー」

「わかった、宿に着くまで寝てていいぞ」

「うん、ねてるー」

「リリーはマイペースね」

「強い子だ。地獄の中でも自分を失わなかった。おれはスキルがなかったらどうしようもなかっただろうに」

「済んだことより、先のことを考えましょ。宿はあれにしようと思うんだけれど、どうかしら?」

「周りの宿から見ると上等そうだな。私とリリーは飯がいらないから素泊まりの方がいいと思うが……、あれだけの宿に素泊まりがあるのだろうか?」

「飯はよっぽどの高級宿でもない限り別料金よ。問題ないわ。あと、女連れであれよりグレード落とすのはけっこう危険よ。とくにこういう都市ではね」

「そういうものか、おれもリリーも不寝番が出来るから野宿でも問題ないがな。いざとなれば不可視結界も張れる」

「町で過ごす以上、ずっとそういうわけにもいかないでしょう?

そのために常識や習慣を私に聞きたいのではなくて?」

「そのとおりだ、やはり、思考がスキルありきの物に傾いている。よくない傾向だ」

「あなたの能力なのだからダメとは言わないけれど、大きな価値観の相違はいつか大きな問題となって私たちに降りかかるでしょうね」

「それを避けるためにも、今晩はしっかり教えてもらうとしよう」

「ええ、ベットでしっかりおしえてあげる」


そんな軽口をたたきながら、おれたちは目当ての宿に入って行くのだった。



そんなおれたちを尾行する軽装の男がいた。

おれにはバレバレだが、リーナは気付かないようだ、それなりの技量があるのだろう。

適当に鑑定してみたらこの通り。



個体名:チャック

種族:獣人(犬) 年齢:38

性別:男

体重:57kg 身長:181cm

スキル:「隠密」「鍵開け」「罠感知」「罠解除」「毒物習熟」「矢・回避」「犬の嗅覚」

状態:「緊張」

個体情報:冒険者ギルド所属のスカウト。門の魔力鑑定値が一定以上の者を尾行し他の勢力が接触しようとする場合それを妨害し、可能であれば冒険者ギルドへ誘導する。冒険者ランクはBランク。所属クランは都市内での依頼を専門に請け負う「ダークダイバー」。



敵ではないが、やはりこの世界は一筋縄ではいかないな。

町に入ってすぐに斥候に付かれるのであれば、マルタで会ったフーリン老のような魔道士に監視されていてもおかしくないのか。

今のところ、魔法による監視は感知できていないが油断はできないな。

そもそも、この世界はアホみたいに召喚者が多いのだから、どんなものが居てもおかしくないんだよな……。

リーナとリリーの安全のためにも、パッシブの感知系スキルは全知に入れておくか……。

でも、どうでもいいことも分かって面倒なんだよなー。

とりあえず、害意だけは全知対象にしとくか……。

メンドイ……。



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