パワーレベリング
翌日、俺たちは街からほど近いダンジョンにいた。
俺の感覚ではこういったときはもっとこの世界の基本的なことの説明とかあっていいと思うのだがそういった説明は特にしてもらえなかった。
彼女としては実際のレベルアップによってのステータスの上昇を成長補正がどんな影響を及ぼしているかを検証したいとのことだ。
早朝よりこのダンジョンに乗り込みめちゃくちゃ単調な魔物狩りをしていた。
「ミツオさん、わたしが魔物を引いてきますので1匹づつ倒していってください。」
彼女は数匹の大型の芋虫のようなモンスターを引いている間にある程度のダメージを与えているようでたいてい1発の打撃を与えるとモンスターは死んでいく。
俺の方に少しでもダメージがくるとすぐに回復が飛んでくる。
「プロテクション」
「リジェネーション」
実際の口の動きを追っていると違う発音ではあるようだが、俺の言語認識(翻訳)を通すとこのように聞こえる強化も途切れずに飛んでくる。
受付で俺のパラメーターを見たとき以外には表情を崩したことを見せてもらったことはない彼女は2PCかボットのようだ。
機械的に作業狩りをも強いられているようだが簡単で単純なお仕事である。
そんな作業を丸1日やってモンスターの返り血で真緑になった結果はこうである。
俺は、上げ厨の気があるのでこういった単調なお仕事ははっきり言って大好物だ。
これがコントローラーまたはマウスとモニターの前だったら72時間だったらぶっ通しで続けられる自信はある。
途中の栄養補給はカロリーフレンドとポプリスェットだけで十分だ。
トイレはポプリスェットの空ペットボトルがあれば戦える。
便秘症だから1週間は大きい方はしなくても問題ない!
自宅から通勤していたころは、奮発した母親がすき焼きを準備したとき、
片手で食べれるおにぎりにしてくれるよう頼んでぶんなぐられたことはいい思い出だ。
氏名 ミツオ アサミ
年齢 16歳
クラス なし
種族 ヒューマン
LEV 5 (←UP)
HP 64/64 (←UP)
MP 64/64 (←UP)
STR 8 (←UP)
DEX 8 (←UP)
VIT 8 (←UP)
AGI 8 (←UP)
INT 8 (←UP)
CHA 8 (←UP)
LUK 8 (←UP)
スキル
言語変換 Lv8 識別 Lv8 成長補正 Lv 4
氏名 ミツオ アサミ
年齢 16歳
クラス なし
種族 ヒューマン
LEV 6 (←UP)
HP 81/81 (←UP)
MP 81/81 (←UP)
STR 9 (←UP)
DEX 9 (←UP)
VIT 9 (←UP)
AGI 9 (←UP)
INT 9 (←UP)
CHA 9 (←UP)
LUK 9 (←UP)
スキル
言語変換 Lv8 識別 Lv8 成長補正 Lv 4
「お疲れさまでした。」
レベルが2つ上がった直後に俺に魔法石をかざしながら、羊皮紙に俺のステータスを書き込みながら営業スマイルを浮かべながら言ってくる。
「しかし、何と言いますかこれは不思議ですね。パラメーターの伸びがすべて同じというのもかなりめずらしいですよ。
おかげでミツオ様の適性がまったくわかりません。
その割にHPとMPの伸びは悪くないかなと思われます。」
「ただ、その割には現在の数値は低いようですが」
「で、ですよね~」
苦笑しながら答えるしかできない。
彼女はメモを見ながら
「クリア」
ととなえると、体の汚れがとれてすっとした気分になる。
彼女が言うには白魔導士の固有魔法らしい、
遠征などの際はこの魔法があるために白魔導士の需要はとても高いらしい。
(この時はめずらしくドヤ顔していた)
俺の常識では、ヒーラーの需要が高いのはある意味普通ではあるので、
軽く笑いながら流しておいた。
ただ、俺の中では白魔導士というのは回復系の魔法使いだったが、
漂白の白だと勝手に決定した瞬間ではあったのではあるが。
「うーん、レベル2と3のレベルアップの時には確かアップしてなかったんですよね、
その時の数値は36で」
「ふむ、そうなると、レベルアップ時のステータスアップでHPとMPも上がっているようですね、となると・・・ふむ・・・」
「まあ一目見てわかると思いますが、おそらく次のレベルアップではステータスALL10で、HPとMPが100になると予想されますね。
このレベルでのステータスの平均的な期待値だと60くらいなので、ほど遠いですがまあ頑張ってみましょう。」
独り言をつぶやく彼女の一言一句が地味に突き刺さる。
気にしないことにはしているのだが、地味に痛い。
はいはい、役立たず、役立たず乙ですよorz
「あっ、でも、レベルが上がる速度は通常の2倍くらいの速度だから実質3レベルと考えれば・・・やっぱり低いですね。」
「は・・・はぁ・・・、まあ、俺がこの世界の住民ではないので基本スペックとかが、
ひくいのではないかと自分で言っていて痛いけど、
元々、機械関係とかそういった物質的には見たところこの世界よりは進んでいるから、
肉体的に退化しているんだろうと思ってください(笑)」
火をおこしたりするのも、魔法とか使わなくてこうった道具に頼っていますしねと着火マソをカチカチやって火を起こしてみたり、USB扇風機をアウトドア用の携帯ソーラーチャージャーにくっつけてブーンと回したりする。
このアイテムも、彼女に初めて見せた時はどうやって動いているだの、
原理などと質問されたがもちろん答えることはできなかった。
「なるほど、しかも、こういった私たちからしてみるとオーバーテクノロジーのものを、
そのものの原理とか仕組みも知らないで使って生活していれば確かにステータスそのものが上がらなくても困らないのかもしれませんね。」
彼女は結構に辛辣なことをさらっという。まあ、この1日半ほど一緒にいてそういった性格なんだなとはつかんできたのでそれほど苦にはならないが。
多少は、日本人的な謙譲な精神とか言動を読み取ってほしい。
「そろそろ、陽も傾いてきましたので、街にもどることにしましょう。」
ニコリとわらいながらすくと立ち上がった。
仕事の日以外で11時間程度で切り上げるってなんてぬるいんだと内心思ってはいた。




