冒険者ギルド
翌日、領都につき二人に付き添われる形で街に入る。
本当ならば身元引受人かそれなりの入関税をとられるらしいのだが、二人はやはりそれなりに顔が効くらしくフリーパスではあった。
このまま、公爵の館までこないかと誘われたが正直戦力にもならない役たたずが同行しては申し訳ない。
現在にらみ合いのようだが今後はかなりきな臭い状況でいまの俺のスペックでは敷居が高すぎるのでお断りをさせていただいた。
ただ、今後の生活(実は食費等は現行では心配していないのだが)を考えると、なにか仕事をした方が良いかと思っていたところ、
そういったやや身元不明的な者はやはり冒険者ギルドが良いのではないかとロバートは言った。
実はかれもかっては冒険者ギルドに所属いたそうだ。
現在この大陸では共通ライセンスとして最高位を7級の冒険者を筆頭にいるが、
初級ならば配達、採集、掃除等のアルバイトで生計を立てることはできるだろうとのことだ。
ただ、この場合のレベルを上げるのは難しいだろうとのことではあるが。
俺としても戦闘行為だとおそらく基本スペックから見てもまったく役に立つことはないだろうから、
そういった雑用仕事でまずは生活基盤をたてていければと思い、
その方向で行こうと思ったところギルドまで案内してくれるとのことだ。
彼女はなぜかロバートの思っていることがわかるようで時折通訳してくれる。
まあロバートも無口なだけでしゃべる時は普通にしゃべれるのだが強くて無口で忠誠心が高いってまるで灌嬰のような人だ。
「そこまでしてもらうのはさすがに申し訳ないけど、ここまで来たら最後までお世話になるよ。
厚かましいけどよろしくお願いします」
二人にぺこりと頭をさげる。
「ううん、私たちがここにいるのはミツオのおかげだよ、もっと図々しくてもいいんだよ。そうじゃなければ冒険者なんて続かないよ!
ほかの冒険者なんてすごいよ、ちょっとでも先に借りをつくったら、川にはまったブルにかじりつくピラードみたいにあっというまに骨にしちゃうくらいなんだから」
いたずらっぽく俺に微笑んでくる。
ここ数日で本当にいろんな表情を見せてくれるようになった。
特に昨日レトルトのハンバーグをたべさせたあとからは拍車がかかった気がする。
これって餌付けに成功したってことだろうかとちょっと心配になる。
ファリスとロバートとは冒険者ギルドの入り口でわかれた。
ファリスはなんどもなんどもこちらを振りかえりつつ大通りに消えていった。
この主従とはまた会うことができるのかなとかなりしんみりしてしまったが、
まあこの領都を生活の基盤にする以上きっと会う機会もあるだろうと前向きに考えることにした。
冒険者ギルドはこの時間帯は比較的すいているのかすんなりと受付までたどりつくことができた。
受付は全部で5つあったが一番端の受付に声をかける。
「すみません、冒険者登録をしたいのですがこちらでよろしいでしょうか?」
カウンター越しに覗き込むとここでも20歳前後の美人のお姉さん(今のおれの年齢からみると)が微笑みをたたえながらこちらへ会釈をしてくる。
氏名 アイリス
年齢 21歳
クラス 白魔導士
種族 人族
LEV 28
スキル 白魔法 Lv4 棍術 Lv4 回避 Lv3 接客 Lv3 強化魔法 Lv3
「はい、こちらでたまわっていますよ、冒険者登録は初めてですか?」
「ええ、道中で知り合った人に雑用系の仕事とか探すにはこちらで登録するといいぞと紹介されまして」
「あら、冒険者でブイブイさせたいとかじゃなくて、ずいぶん堅実な方ですね。
事前確認をいたしますのでこちらの魔石の上に手をのせてください。
その際あなたのステータス、犯罪歴等がこちらにすべて記録されますのでそれで問題なければお願いします。」
ふむ、犯罪歴等であまりひどい人間はふるいにかけるのか。
「はい、こうですか?」
受付前の白い魔石の上に手をかざす。
「え・・・・」
アイリスさんが手元と俺と魔石をなんども見直す。
手の空いている他の受付の女性達もなにかとおもって集まってくる。
どの受付嬢も普通に美人ぞろいだドコセやOUよりも美人がそろっている。
「なにこのステータスふざけてるの?」
「でも、この異世界人って」
「てか、冒険者ギルドに来ること自体おかしくない?」
「他の冒険者の紹介のようだけど・・・どうする・・・」
しばらくのあいだ、なにか話し込んでいる。
さすがに、列が混んできている。
「もうしわけありません、ミツオさま、あなたの登録はこちらではできませんので、
恐れ入りますがこちらへいらしていただきますか?
副ギルド長と面談していただきます。」
アイリスさんは申し訳なさそうに奥の部屋へ俺を案内しようとすると、
前列の他の冒険者たちがからザワザワっと声が上がる。
「おい、どんな犯罪者だよ」
「副ギルド長がでてくるなんてめったにないぞ」
「それとも、すげーのか」
「ないない、あんな若造でひょろひょろしてるんだぜ」:
「しかし、変なかっこしてるよな」
「ほかの国からの流れ者なのか?」
なんか変な流れになってきた。普通にアルバイトの斡旋所くらいに思ってきたのに・・・




