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訪人の現状考察

 とりあえず考えをまとめるために一人で宿屋に帰り

 宿屋のカウンターのおばちゃんから鍵をうけとり2階の一番奥の部屋に入る。


 日課である背のうの荷物の整理をする。


 そろそろ、足の踏み場がなくなってきたので悩むところだ。

 まあ、足の踏み場以上に悩むこと満載でもあるのだが。


 今日の会談で公爵側から出されたカードは、


 現ギルド長の長娘 アイリスとの即時の婚礼

 アマデウス公爵の三女 リリーナとの婚約の取り交わし戦後の婚礼

 旧ファーレン男爵の長女 ファリスとの婚約とファーレン領の領有、ファーレン家の継承

 但し この案件はファーレン領を回復した場合とする。


 上記の3枚だ。

 あきらかにおかしいルートである。

 どこのハーレム系のエロゲだ・・・

 プリンセスなんちゃらとかタイトルつけられても良いレベルだ。


 こんなに大盤振る舞いして俺のようなものが、

 ぽんぽんと召喚されたとしたらいったいこの国、

 この世界はどうなるのだろう。


 現代人の俺の感覚では今のおれは自らの意思ではないとはいえ密入国者だ。

 まあ考え方を変えると拉致被害者ともいえるだろう。


 それなのに、実績も何もない俺に対していきなり、実力者が娘を差し出すと軽く言ってきている。


 実際舞台裏はわからないが・・・


 一体全体なんの冗談だ。


 たしかに現状ではこの公領、現状では一種の独立状態のこの国は詰む一歩前だろう。

 一歩手前というのはかなり好意的な見方ではあるが。

 自発に独立をしたわけでなく、あくまで流れでこういった形を取らざるを得ない状況、

 明治維新における北海道政府のようなものだ。


 しかも、地政学的にもかなり厳しい南北は山と海、東西は敵に囲まれている状態である。

 この世界での海軍については決して進んでいないし、

 大きな戦力の運搬もなされていないようなのでシーレーン防衛までは考えないでいいので戦力は実質的には東西への配分となるだろう。

 せめて魔王領となんらかの交渉の余地があればまだ、変わってくるのだろうが・・・


 そうなると士気高揚の窮余の一策として、

 異世界からの召喚者。この世界では一種神か天使の眷族としてあつかわれている、

 訪人としての俺に白羽の矢をたてたということだろう。


 この状況ではどうせ負ける可能性が「十中九、十」というものかな。

 それならば、婚姻の空手形の乱発もおしくないのだろう。


 ただ、俺から見ると防衛戦で1:2という戦力比ならば多分にばくちの要素はあるがまだひっくりかえせる気はする。

 ただし、1戦2戦ならばだが。

 公領への戦力の補充が期待できず、孤立している現状ではすりつぶされる公算は大だ。


 しかし、考えてみろ、俺なんかの実質力は持っていない者より、

 現有の戦力からギルド長の娘、公爵家の娘、男爵領の3枚のカードをそれぞれに出してつかえば、

 ほら、最低でも3人の有力者を抱き込むことができるのでなかろうか。

 そちらの方が士気高揚になるはずだ。


 これが国取りシミュレーションゲームだとしたら俺ならばそうする。

 織田家でのよくしられた婚姻政策が美濃の斎藤家、北近江の浅井家、甲斐の武田家などなどと分散されているのが普通だ。

 間違っても羽柴秀吉に3人嫁をだすなんてことありえないし不経済すぎるだろう。


 ・・・・と言っても、断るなんて選択肢も俺にはないんだよな。

 断るとしたら、この公爵領から出奔するしかないだろう。


 逃げる方向は俺を放逐した王国方向・・・


 この選択肢ははじめからないな


 魔物蠢くイメージの魔王領方向・・・


 入った瞬間にデッドエンドするイメージしかわかない・・・これもないわ


 徒歩で逃げる方向はこの方面となると出奔する選択肢も選ぶのは難しそうだ。


 こう考えると今の俺が自発的な選択をする権利なんてやはり与えられてない・・・と、

 それならば、流れに任せるしかない・・・ぞっと。


 ただ、もし王国側を押し返したとして、

 事後に俺は無事でいられるんだろうか?


 正直それも不安要素である。

 戦時の広告塔で使われるのはまだ良い。

 それが戦争終了後に有力者3名との婚姻をした俺って戦後になんの役に立つのだろうか?


 異世界の知識など期待されても対して出てこないぞ・・・。

 どちらにしてもバットエンドしかやはり思いつかないわ。

 勝手に想像すると、

 勝っても負けてもオールバットエンディングか・・・どこのカノソだ。


 ただ、できることならば王国に負けて蹂躙される未来を見るのは遠慮したい。


 単純に考えれば、

 王国軍との最初の決戦で勝ちをひろいその勢いでファーレン領まで落とし、

 ロードスの森以西の橋頭保とする。

 現在王国内で行われているここで人族以外への開放を訴えるとともに、

 周辺国との連携を模索して王国と対峙する。


 楽観的に考えるとこの流れか。


 実際のところ廃嫡された第一王子、第二王子派は、

 現王妃-第三王子に対しては潜在的の敵対勢力となりえるだろうから、

 決して王国側が盤石な状態ではありえないだろう。


 問題は、公爵がどの程度の政治力を発揮するかだな。


 それとも、公爵領にそれなりの政治家がいればいけるだろうが、

 戦術レベルで勝利を積み重ねたところで、

 政略面での遅れをカバーはしきれないだろう。


 もし俺が公爵家の政治家だったら公爵家と第一王子か第二王子との婚姻を強行して、

 傀儡にするんだがな。


 まあ、リリーナ嬢は第三王子の元婚約者らしいから第一王子や第二王子の面子的なものもあって、

 その線はないのか。


 それとも第一王子や第二王子はすでに国外で害されている可能性もあるかということも、

 考慮にいれんとならんのかもしれんな。


 まずは王国軍との1:2の戦力比を覆さないことにはどうしようもない前提にもどるわけなんだがね。



最後までお読みくださいましてありがとうございます(・w・)


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