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責任とってもらえるよね

「ご安心ください、わたしも最初この画面を見たときは愕然としましたが、

 必勝の策をミツオ様がすでに用意して出さっています。」


「・・・・・」


 この人何言ってんだろ?


 周りの視線が俺に集中する。

 なんか、異様に期待されてしまっているような気がする。


「・・・・・」


「ミツオさん・・・?」


 アイリスさんが斜め下から上目遣いで声をかけてくる。

 かなりかわいいアングルだ。ちがう、そうじゃない。


「いあ、無理だろう」


 素直に、そう答える。微妙にも噛んでしまってはずかしい。

 ゲーム上のプレイでは確かに可能ではあるが、実践ではおそらく破たんするだろう。

 まあゲーム上でも裏技に近いんだが。


「ミツオ殿もし腹案だけでもあるのでしたら、案だけでも聞かせていただけませんか?」


 公爵らしい人が真正面から俺をみつめて声をかける。

 そのとなりの公爵夫人らしき超美人からも明らかに期待されているようなまなざしを向けられている。


 人妻萌える・・・


 ちがう、そうじゃない。


 ぽりぽり・・・、特にかゆいわけではないが頭をかきむしる。

 出し惜しみをするわけではない、正直いうと、俺には覚悟がないのだ。


 さらには、統制がとれた行動ができるのだろうかという疑問ももちろんある。


 しかし、ここで何もせずにこの公領が蹂躙されるのを目にするのもきっとダメだ。

 ファリス達の話を聞いた限りでは、王軍は俺たちの持っているような軍隊秩序はない。

 ファリス達、金狼族の逃げ遅れた者たちは老人、幼児は軒並み虐殺され、

 労働適齢者は奴隷として王都へ送られたらしい。


 今の王軍にとっての人族の純血腫以外はすべて人間として見ていないかのような苛烈さである。

 奇襲によっての攻城も騎士的な考えが主流のはずのこの世界での常識では考えられない。


 まあ俺の考え方もこの騎士的なことをやってこなければ、

 こっちも騎士的な作戦でなくてもいいよね~

 というノリでもあるのだが。


 ただ、指揮命令系統を確立できるのか、

 おそらく低練度であろう実行部隊で対応できるのだろうか。


 問題は続々と出てくる。


 グルグルまわる。


「・・・まあ・・・とりあえず・・・作戦とか大したものではないんですよ・・・」


 口の中はからから、胃がしくしくする。


「おおっ、ミツオ殿」


 そんな期待した目で見るな!


「とりあえず、これを見てもらいましょう」


 再びALL war を起動する。

 アイリスに昨晩見せた仮想モードのセーブデータを開く。

 かなりこちらに都合のいい動きをするようにセッティングされているので、どうよとは思うが。



「こ・・・これは・・・」


 その部屋にいるすべての人たちがうめいた。


 再び静寂。

 どちらかといえばぽかーーーんという感じである。


( ゜д゜)ポカーン. ← 公爵らしい人

( ゜д゜)ポカーン ← 公爵夫人らしい人

( ゜д゜)ポカーン ← カイゼルひげの美中年

( ̄ー+ ̄)どや ← アイリスさん


 こんな感じであろうか。

 終了後にこの作戦の概要を口頭で説明した。

 もちろんリスクもきちんと説明した。

 むしろ、リスクの方を強く説明する。


 というよりリスクしかない。成功率は正直わからない。

 なぜなら、この世界での武器、装備等のレベルがわからない。

 この世界での軍隊の練度もわからない。


 この世界を中世と仮定すれば系統的な訓練等は行われていないので

 組織的な錬度はないと言っていいだろう。

 騎士団などは確かに訓練等しているだろうが、

 大多数を占める徴収兵などは個人個人の資質と訓練のみだと思う。

 通信系統などはあってないようなものだろう。


「うん、おもしろい。」


 カイゼルひげの美中年が顔を赤くしてパンと手を叩きながらどなる。

 でかい声が。

 耳にキーンとなった。

 俺より至近距離の公爵らしい夫婦などどれだけ耳に響いたんだろうと心配になる。


 鼓膜大丈夫なんだろうか?

 あと顔真っ赤にして血圧も心配になってくる。


「この戦法だと騎士団よりもわれわれ向きな仕事だろう。

 うん、結構、結構、この作戦が成功の暁にはアイリスの嫁入り先は決まりだな。」


「お・・・お父さん!!」


 なんか、めちゃくちゃ不穏当なセリフとこの美丈夫から吐き出される。

 この美中年がアイリスさんの父親なのかギルド長でもあるわけか・・・。


 そういえば、嫁ってなんだっけ?


「んっ・・・もちろん1週間も同居させたんだからもちろんあれだろう」


 ボン!アイリスさんが真っ赤になる。


「勇者かどうかはわからんが、訪人の血は何事にもかえがたい。

 しかも、お前はいろいろ理由つけてはここまで結婚や婚約を伸ばしてきた正直行き遅れだ」


 おいおい、ぶっちゃけすぎだろ。

 公爵らしき夫妻爆笑してるぞ。アイリスさんプルプルしてるぞ。


「ミツオ殿ももちろん責任はとってもらえるんだろうねー」


「1週間も男女が同じ屋根の下で二人っきりで起居して何もなかったとはいわさないよ」


 アイリスの親父さんが突然真顔俺に向かって。


「もちろん!アイリスさんとはなにもないですよ。」


 実年齢32才童貞なめるな。

 どんなに手を出したくても出していい雰囲気なんてよめないから童貞なんだっつーの。


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