魅了の魔法はだめです
『4匹引いていきますのでー』
アイリスさんは俺が手渡したトランシーバーを完全に使いこなしていた。
次に何匹トレインするかを途中で連絡しながら、
ぼーっと待っている俺のところにきちんと引いてきてくれる。
今日は昨日よりややレベルがたかい、
大きなウサギのようなモンスを1匹づつひっこぬいては倒していく簡単なお仕事である。
ただし1匹あたりの単価が高いために昨日よりもレベルアップの速度は上がっている。
氏名 ミツオ アサミ
年齢 16歳
クラス なし
種族 異世界人
LEV 7 (←UP)
HP 100/100 (←UP)
MP 100/100 (←UP)
STR 10 (←UP)
DEX 10 (←UP)
VIT 10 (←UP)
AGI 10 (←UP)
INT 10 (←UP)
CHA 10 (←UP)
LUK 10 (←UP)
スキル
言語変換 Lv8 識別 Lv8 成長補正 Lv 4
安定のオール1アップです。
HPとMPも100にようやく届いて地味に幸せ感じてます。
まあ、自分の力ではまったくないので上げ幅が少ないとかそういった不具合はもう考えないことにしている。
ただ、ふと思うんだがこのステータス表示意味ないんでないかとだんだん思えてきた、
そんなことを考えていると。
ピコーン別にそういった擬音がなったわけではないが。
ステータス表示が突然変わった。
氏名 ミツオ アサミ
年齢 16歳
クラス なし
種族 異世界人
LEV 7 (←UP)
HP 100/100 (←UP)
MP 100/100 (←UP)
ALL 10 (←UP)
スキル
言語変換 Lv8 識別 Lv8 成長補正 Lv 4
うんこれでいいよ・・・これで・・・
というかこれって今後も俺のステータスはすべて同じように上がるのが確定ということだよね。
とにかくクソゲー臭がすごいわ。
こんなことをぼーっと考えながらウサギの大量虐殺はつづいていく。
アイリスさんが言うには所詮10程度のステータス値だとウサギよりも格上のモンスだと、
ダメージが全く入らないだろうということである。
このペースだとレベル10でもまだまだレベル1の平均に達しそうにもない気がしないでもない。
よくつきあってくれるな。
1週間という期間を最初に提示されているので、何事もなければその期間このブートキャンプは続いていくのだろう。
『はーい次は5匹引いていきますのでー準備しておいてくださいね、
この1群が終わったらお昼休憩しますので、お湯もわかしておいてください』
うん、この人余裕すぎるわ。
トランシーバーもなじみすぎだろ。
とりあえずガスストーブにコッヘルをかけてコポコポと水を入れる。
んでもって着火マソで点火して放置。
ガスストーブから少しずれた場所でトレインを待つ。
この1群を処理したらちょうどお湯も沸くだろう。
昨日二人ではじめて狩りに来た時に食事の際にこのガスストーブをみて、
むちゃくちゃ感動していた
確かに、これならばたき火などをする必要もないので、
後片付けも簡単ではある。
まあ個人的にはたき火はたき火で風情があって嫌いではないが。
天気もいいし貫徹なのですこしうとうとマッタリしながらもウサギのせん滅。
現在、在庫が5本になったサバイバルナイフは適宜交換しながら極力切れ味が衰えないようにキープする。
なるべく状態が良いように首筋に1発いれて倒すのがベストだ。
こうして1群を倒してから木に吊るしておけば血抜きをする。
きっと、おいしいウサギ肉になるだろう。
「クリア」
「お疲れ様です。
良いペースですね昨日よりもナイフ使いも慣れてきていますしスキルがないとは全然思えませんよ。」
「ありがとう、アイリス先生の引きがうますぎだけですよ」
そう持ち上げると、とたんにアワアワする。
この人は一見クールに見せてはいるが、こういう風にストレートに褒めると恥ずかしがる。
「そ・・・そんな・・・先生なんて大袈裟ですよ。えっ・・・なにこれ」
・・・と、突然顔色が変わった。
魔法石で俺をサーチしていただけなので、特に俺的にはおかしいことはないと思ったのだが。
あっ表示方法を変えたな。
「ALL 10 という表示なんですがこれって。」
「ああ、さっきどうせ上がっても同じ値しか増えていかないからめんどくさいなーと思いまして、
そう思ったらこんな風に簡易表示になっちゃったんですよね。」
「い、いやいや、おかしいですよ。確かに見やすいですが、
ステータスの表記がかわるとか、それにこれって今後も固定でしか上がっていかないということなのかしら」
なにかぶつぶつ言い始めた。
「ミツオさん、つかぬ事を伺いますが、よろしいでしょうか?」
「んっ、なんですか?」
ちょっと怖い顔をして聞いてくる。
「ステータスとか偽装してませんか?
それだと、なんかすっきりするんですが」
「本当はすごいステータスなのにうんと低くしているとか」
突然とんでもないことを言い始めた。
あっALL 10とかいう数値にしたのでこちらで見かけを書き換えられると誤解したのか。
「ない、ない、ないです!」
もちろん冤罪だ。
両手をハンズアップしてアイリスに答える。
「本当に本当ですか?」
「本当に本当です。」
なにこのイチャラブ雰囲気、おじさん勘違いするよ。
いあイチャラブ雰囲気なんて皆無なんだけどね。
アイリスからすると実はすごいステータスなんだがそれを隠すために適当にステータスを変えてるというんだろう。
俺にしてもそんな素敵設定だったらうれしいのだが。
どう見直してもそんないいステータスではなさそうだ。
インスタントコーヒーとあたためたミリ飯のすき焼きハンバーグをアイリスに手渡す。
ミリ飯とは正式には戦闘用糧食、行軍時に軍隊が食うレトルト食品だ。
まあ缶詰もあるが。
3年ほどほぞんでき、簡単な食器がセットされておりさらに加熱剤もついているので、
こういった野外での行動中にはとても便利なものだ。
通常では狩ったモンスの肉をそのまま火にかけて食べるか、
干し肉、ドライフルーツなどで食事は間に合わせるらしい。
昨日などは、はじめて食べる味付けにおどろきながらも、
ついおかわりしてしまい。
食べ終わったあとハッと我に返り。
「チャームの魔法はダメですよ。」
と、顔を真っ赤にしながらもこちらにメッとごまかしていた。
もちろん魔法なんかは使えないのですが。
チャームか使えたら人生勝ち組だよな。
ストックなしの自転車操業中です。
誤字脱字等お教えいただけますとうれしいです。




