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ダリア

作者: 武田道子
掲載日:2026/08/15

ダリア



「ぱらっ」と音を立てて

ダリアの花びらが同時に

七枚、テーブルに落ちた

あっけない一瞬の出来事

花瓶の水は今朝変えたばかり

冷たく透き通っている

最後の水を吸い込むこともなく

まだ美しい花びらが

散った


時間は留まることもなく

空気がわずかに揺れ

花びらが落ちた音が

耳の奥まではっきりと届いた

潔く、美しく

ダリアは散った

黄色の花粉が落ちたそこだけが

ドキッとするほど

生きている


桜のように

ゆらゆらふわふわと

優雅に舞いながら散るではなく

生きていたことや離れていくことに

名残惜しさも、涙も

感じさせることなく

あっという瞬間

生から身を切り離した


花が咲き始める時は

桜もダリアもそのほかの花々も

ゆっくりと優しく

一枚一枚皺を伸ばすように

ていねいに

花びらを開かせていく

ダリアは終わりを

キッパリと美しく

桜は終わりを

あくまでも優雅に

花を落としたダリアの茎は

シャンと真っ直ぐに立っている


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